2000-NOVELS
SEPTEMBER

[ INDEX ]

1.グイン・サーガ74 試練のルノリア…栗本薫
2.ダブル・キャスト…高畑京一郎
3.凶笑面…北森鴻
4.芝居せんべい…村松友視
5.依頼人は死んだ…若竹七海
6.もういちど…矢口敦子
7.壬生義士伝 上…浅田次郎
8.壬生義士伝 下…浅田次郎
9.ぼっけえ、きょうてえ…岩井志麻子
10.続・推理冴子のお見合いと推理…山口雅也

 
1.グイン・サーガ74 試練のルノリア 栗本薫
ハヤカワ文庫2000.8発行540円ISBN4-15-030644-3
 さて、パロの内乱の続き。一体こんな体力で大丈夫なのかナリス>しかし私も人のことは言えないへたれ管理人(^^;。もうこうなったら、ノスフェラスまで行ってるヴァレリウスに、早く帰ってやってよと言いたいのだけどね。でないと鬱陶しくて(笑)。
 さらに早く、スカールがナリスに合流してやってくれ。スカさんは、物語を正しい方向へ導いてくれる人だと思うからね。グインとリンダに続き。
 パロとノスフェラス、グインとナリスとスカールとイシュト、この辺の繋がりがそろそろ見えてくるかな、という感じなのだ。でも、グインとナリスが会うことってあるのかなあ?       [ 先頭へ ]
2.ダブル・キャスト 高畑京一郎
メディアワークス発行(主婦の友社発売)1999.4発行1600円ISBN4-07-312024-7
 発売当初からすごく読みたかった作品。この人の「タイム・リープ」が大好きなのだ。
 殺された川崎涼介、そして彼が死ぬ瞬間を見ていた浦和涼介。川崎涼介の意識が浦和涼介の中に入り、川崎涼介は、自分を殺した男と、なぜ自分が殺されたのかを探ろうとする。
 まったく正反対の少年が、同じ体に入ったことで起きる事件や、最初の殺人事件を探るアクション込みの物語。で、やっぱりラストはそういう(どういう?)感じだけど、後味のいい青春小説。でき具合と好みでは、「タイム・リープ」が一番、でもこちらもなかなか面白い。この青春小説具合は、ほんといい感じに私にはまるんだよね〜。「タイム・リープ」のときよりも主人公たちの周囲が書けるようになってきたしね。次も楽しみ。        [ 先頭へ ]
3.凶笑面 北森鴻
新潮エンターテインメント倶楽部SS2000.5.20発行1400円ISBN4-10-602648-1
 蓮丈那智フィールドファイル1と銘打ってある連作短編集。
 短編よりも長編好きなので、今度この登場人物たちを使って、長編書いてくれないかなあ。
 民俗学者が探偵役というのは、今どきの作品と言えるかもしれないけど、そこは北森鴻、歴史のあるものとかに関する執着を書かせたらうまい。「狐罠」を思いだしてしまったけど、そうしたら、あの人って…。        [ 先頭へ ]
4.芝居せんべい 村松友視
文藝春秋1993.7発行1456円ISBN4-16-314120-0
 友視の「み」はこれでいいのか? 字が出ないっス。
 はじめて読んだ作者、こういうのもたまにはいいかも、の深川あたりの人情モノ。なんかぼ〜っと落ち着いて読めるのだ。
 題名にもなっている「芝居せんべい」って小道具がこれまたいい。これって実際にあるの? ないのかな? なんにしても実際に見たいな。        [ 先頭へ ]
5.依頼人は死んだ 若竹七海
文藝春秋2000.5発行1762円ISBN4-16-319230-1
 連作短編で、同じ主人公の短編集なだけかと思っていたら、最後の話に収斂されていくのがお見事って感じだった。
 数ある収録作品からこの題名を選んだってのもまたうまい。なんかちょっと雰囲気とか好みで、どの話もそれぞれうまさを感じさせる。これ、逸品だよね。        [ 先頭へ ]
6.もういちど 矢口敦子
徳間書店2000.2発行1600円ISBN4-19-861139-4
 人工移植されたドナーと、そのレシピエントの話。レシピエントの魂がドナーに宿り、そしてドナーはレシピエントが死んだ原因を探りだすことになる。そこで起きる事件。
 まあ、薄い本だってこともあるし、なかなか面白くて勢いよく読んでしまったけど、これは話の展開は、まあ面白いミステリだけど、最後がびっくりって感じかな。事件に巻きこまれた人物の死による、もうひとつの人工移植が、最後に「えっ、この先こういう展開になるワケ!!??」で意外でびっくりした…(^^;。        [ 先頭へ ]
7.壬生義士伝 上 浅田次郎
文藝春秋2000.4発行1524円ISBN4-16-319140-2
 吉村貫一郎とは、どんな侍だったのか。彼はなぜ脱藩して、新選組に入隊したのか。
 そして、一番最初の部分。なぜ鳥羽伏見の戦いのあと、新選組から逃げて南部藩蔵屋敷に助けを求め、そこで腹を切ることを命じられねばならなかったのか。
「新選組」の話だと思っていた。新選組の話も確かに描かれてはいるが、それは決して美化されたものではなく、そしてこれはただの新選組の話でもないぞ、と思いはじめた上巻。        [ 先頭へ ]
8.壬生義士伝 下 浅田次郎
文藝春秋2000.4発行1524円ISBN4-16-319150-X
 電車の中でぼろぼろ泣いてしまった後半だった。
 最初は「なにこの人? こんな隊士知らないよ」みたいに思った、無名の新選組隊士が、話が進むにつれてどんどん魅力的に見えてくるようになる。彼と、他の隊士との関係、南部藩にいた頃の人となり、そして蔵屋敷での最期。新選組の旗に書かれた「誠」の文字、武士や義士といった言葉がどんどん重みを増してくる。吉村に切腹を命じた大野との関係も含めて、彼がなぜ死んだのか、なぜ死ななくてはならなかったのかが哀しくてたまらない。その後の彼の家族の話もこれまた泣ける。幕末に生きたひとりの義士を、周囲の人々の語りと、その最期のモノローグだけで、これだけ書ききった筆力は、見事だった。最近の浅田次郎作品の中では出色の出来。
 人が人を斬ることがあった時代だから存在しえた「義」は、本当に見事だった。誰もがあの時代だから生きて、あの時代だから死んだに違いない。私が期待していた物語とは、まったく違っていなかったけれど、これは期待をもの凄くいい意味で裏切ってくれた。こんな物語をもっと読みたいと、心からそう思えた小説。        [ 先頭へ ]
9.ぼっけえ、きょうてえ 岩井志麻子
角川書店1999.10発行1400円ISBN4-04-873194-7
 日本ホラー大賞は、本当にレベルが高いと思う今日このごろ。第6回の大賞に輝いたのはなんと短編。
 岡山地方の方言で「とても、こわい」という意味のタイトル。遊女の寝物語という形態をとったこの話の他、書き下ろしで3編、計4編が入っているが、いや〜、土着物ってやっぱり怖い。怖いのは女なのか男なのか…女だろうな、うん。
 表題作、最初は雑誌掲載時に流し読みしたけど、真面目に読んだのは今回がはじめて。怖かった〜、素直に怖いというより、徐々に湧きおこってくる怖さ。爪の先から鳥肌が立ってくるみたい。エンターテインメントというより純文学みたいな文章で、これやられたらそりゃ怖い。4つ全部がまさに「怪談」という感じだった。寝る前に本を読むのが習慣化していた私だけど、これは夜に読んでいたらイヤ〜な気分になったもんだ。夢見が悪くなりそうで(笑)。        [ 先頭へ ]
10.続・推理冴子のお見合いと推理 山口雅也
講談社2000.5発行1700円ISBN4-06-210170-X
 推理冴子シリーズの2作目。山口雅也作品にしてはノーマルな設定が、実はかなり好きだった1冊目だが、そういえばこのシリーズって2時間ドラマにもなっていたよね。
 今回も何作か話が入っているけれど、それほどぱっとした話ではないかな、どれも。うまいとは思うけど、そこから滲み出る面白さはちょっと物足りない。        [ 先頭へ ]