2000-NOVELS
NOVEMBER

[ INDEX ]

1.陰陽師 鳳凰の巻…夢枕獏
2.幽霊刑事(デカ)…有栖川有栖
3.麦の海に沈む果実…恩田陸
4.天国までの百マイル…浅田次郎
5.天切り松 闇がたり 第1巻闇の花道…浅田次郎
6.天切り松 闇がたり 第2巻残侠…浅田次郎
7.新宿鮫 風化水脈…大沢在昌

 
1.陰陽師 鳳凰の巻 夢枕獏
文藝春秋2000.6発行1286円ISBN4-16-319320-0
「晴明と博雅のゆこうゆこうシリーズ」第4弾。
 で、やっぱりこの呆気なさすぎな文体は、内容にそぐわず風流もへったくれもあったもんじゃないが、それでも話としては面白い。
 今回は、ラストの「晴明、道満と覆物の中身を占うこと」が面白かった。こういう騙し騙されみたいな話は、一方的に晴明側が頑張って終わりというのではないのがいいね。        [ 先頭へ ]
2.幽霊刑事(デカ) 有栖川有栖
講談社2000.5発行1800円ISBN4-06-182122-9
 結構軽めのタイトル(だと思うぞ)なので、コメディとかかと思いきや、こりゃまたシリアスな話。上司に撃たれて死んでしまった刑事が、幽霊になって、自分を殺した犯人と、そのうしろにいる黒幕を追いつめようとする話なんだけど、なにせ幽霊、人に見えない、婚約者にも見えない、というなかなか可哀想な状況。
 そしてラストもまたちょっと(>_<)な感じで、綺麗にまとめた小説。幽霊が主人公ということで、一種ファンタジーみたいな感じもあったけれど、物語の筋がしっかりしているのはさすがなので、それほど非現実的な話には思えなかった。マル。        [ 先頭へ ]
3.麦の海に沈む果実 恩田陸
講談社2000.7発行1800円ISBN4-06-210169-6
 外国のお伽噺を読んでいるみたいだった。ある一人の人物が作りあげた王国の中で操られている少年や少女。これは痛くて辛くて凄い話だった。
 もちろん日本で、ある学園を舞台にしたものなんだけど、どうにもこうにもお伽噺。これは凄くいい意味で。理瀬から見た黎二の書き方とか、うわ〜、好み〜〜。そこで起きる殺人事件と、その結末。真実はどこにあるのか、なかなか癖のある登場人物たちがいて、ライトノベルっぽさもあるので、好き嫌いは人によって大きく別れるとおもうが、物語の世界に浸るだけでも面白い。
 ところで、校長先生が、先日観た舞台に出演していらした加納幸和さんのイメージと重なって仕方なかった。が、そこで気づく。恩田陸の小説って、とても舞台っぽい。舞台化しやすそう。        [ 先頭へ ]
4.天国までの百マイル 浅田次郎
朝日新聞社2000.11発行476円ISBN4-02-264248-3
 会社も金も妻子も失った中年男が、心臓に病気を患った母の命を救おうと、東京から百マイル離れた病院まで車で運んでいくという、メインはそこ。
 でもそこまで至る話も、その病院での話も、最後も泣ける。浅田人情話にありがちなあざとさは感じないいい話だった。男の前にいる元妻と、今の恋人、どちらもいいし、百マイル走ったことでこの男は運を掴んだのだと思いたい。        [ 先頭へ ]
5.天切り松 闇がたり 第1巻闇の花道 浅田次郎
集英社1999.9発行1500円ISBN4-08-774404-3
 1996年に徳間書店より発行されたものが再版されて出てきた。徳間版で読んで、続編があったらいいのになと思っていたら、なぜか2冊編成で出て、あれ、この1巻は以前読んだ一冊と重複しているのかいないのか?と不思議に思って、ずーっと書店で考えこんでいた本(笑)。
 で、その徳間版は、この1巻そのままらしい。お姉さんの話とかすごく好きだったのを記憶している。あとは結構忘れていて、憶えていたのが「たいそう面白かった」という感想のみ。というわけで、またもたいそう楽しませてもらった。
 痛快さもあり、もちろん人情もあり、ほろりとする場面もあり、今よりほんの少し昔の時代の盗人一味の物語。語り具合が、本当にいいのよ。        [ 先頭へ ]
6.天切り松 闇がたり 第2巻残侠 浅田次郎
集英社1999.9発行1500円ISBN4-08-774383-7
 謎の人物・清水の小政の話から始まって、主人公松蔵の恋物語、父親の話なども入った相変わらずお伽噺みたいな素敵な短編集。なんか、すっごくよくできた時代劇を観ている感じ。表紙の装丁も好みだし、時代背景が私の好みにばっちりはまってるのよ〜。
 実は天切りの栄治にイカれてしまってるけど(笑)、なかなかこうしてどんどん他の仲間の話も書かれていくに違いない。粋な人たちってきっと本当にいたのだな〜。        [ 先頭へ ]
7.新宿鮫 風化水脈 大沢在昌
毎日新聞社2000.8発行1700円ISBN4-620-10615-1
 新宿の地下に流れる水脈が、とても古い遺体を白骨ではなく屍蝋とさせた。その遺体が出てきた井戸のそばにいつづけた老人、刑務所から出てきたやくざ、鮫島が追っている自動車盗難グループ、それらの物語が交錯していき、人が追いつめられていく姿がうまい。
 ああそれで、こういうタイトルなのだな、と読み終えてしみじみ思った。うまいタイトルだと思う。
 それほど鮫島が「活躍ッ」したわけではないし、すっごいクライマックスがあったわけでもない。でも、染みる話だった。        [ 先頭へ ]