NOVELS
2002.4


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1.王妃の館 下…浅田次郎
2.陰陽師 生成り姫…夢枕獏
3.インコは戻ってきたか…篠田節子
4.グイン・サーガ84 劫火…栗本薫
5.死にぞこないの青…乙一
6.栄光一途…雫井脩介
7.無間地獄…新堂冬樹

 
 1.王妃の館 下  <浅田次郎>
集英社 1600円 2001.7発行
 超感動巨篇は、超爆笑人情モノ、プリホタイプの小説であった(笑)。
 これってある意味、シチュエーション・コメディ。登場人物が多いけど舞台とかになりそうかも。しかも、過去の太陽王と息子の話のくだりは、どう見ても超感動小説じゃないのさ。ひと粒で二度おいしい。さすがだ、浅田次郎。
 私は、浅田さんは『蒼穹の昴』と『壬生義士伝』という二大シリアス物をイチオシしているが、こういう、読んでいて本当に楽しくてシアワセ感覚一杯の小説ももっと読みたい。気張らず楽しく、それって小説読みの醍醐味だと思うので。     [ 先頭へ ]
 2.陰陽師 生成り姫  <夢枕獏>
朝日新聞社 1400円 2000.4発行 ISBN4-02-257498-4
 安倍晴明と源博雅の陰陽師シリーズ、初の長編。夢枕獏の文体や調子は嫌いだけど、物語は面白かった。博雅が昔出会った女がひとつの綺麗な想い出となっていたが、想い出では終わらなかった。凄惨なんだけど物凄く哀しい話になっていった。人にかける呪いは結局自分の許に返ってくるというが、呪いをかけられた方はたまらない。かの姫が鬼になってしまったのは、もともとはその呪いのせいではなかったか。鬼や呪いがまだ効力と実態を伴っていた頃の話。日本にはいつから鬼や妖怪がいなくなったのかな。     [ 先頭へ ]
 3.インコは戻ってきたか  <篠田節子>
集英社 1800円 2001.6発行 ISBN-4-08-774539-2
 地中海リゾート、の筈の、キプロスに行った女性編集者とカメラマン。と書くとなんか鮮やかな恋愛小説みたいだが、そうはいかなかった。キプロスを巡る政治の話、国に流れる対立の歴史、その中で写真を撮影しようとするカメラマン。なんかね、辛い話だった。クライマックスからラストにかけて、辛くてたまらないが、いい物語だった。「いい物語」って言い方がいいのかはわからないけれど。     [ 先頭へ ]
 4.グイン・サーガ84 劫火  <栗本薫>
ハヤカワ文庫 540円 2002.4発行 ISBN4-15-030691-5
 買ったその日に一気読み。そのくらい楽しみにしていたが、まさかこんな展開で来ようとは。ネタばれします。堂々と。
 もう本気で、ナリスはこれで死ぬのかと思ったね。今も思ってます。竜王に操られたイシュトを前にきっと死ぬんだと。グインと会うこともなく。
 スカールが間に合うとか、ヴァレリウスがなんらかの方策を取るとか、イェライシャがなにかやってくれるとか、グインが手を尽くしてくれるとか、そんな可能性もあるんだけども。
 グイン・サーガ随一のおバカなイシュト、ひたすら「悪役」になってきたなあ。
 さて、次巻、ナリスは死ぬか生き続けるか。     [ 先頭へ ]
 5.死にぞこないの青  <乙一>
幻冬舎文庫 457円 2001.10発行 ISBN4-344-40163-8
 結構最近よく名前を聞く作家さんだったんだけど、ちゃんと読む機会が今までなかった。やっと今回、初読み。文庫書き下ろし。
 そう読みづらい文章ではないし、300枚もない話なのでほぼ一気読みペースで読めてしまった。暗い話で、かなりどつぼなんだけど、それほど「ツライッ」という感じにならないのは主人公の語り口がちょっと冷めてるというか、かなり客観的に状況を読みとっているせいだと思う。最後はなかなか救いのある話だったけど、この一冊を読む限りでは、それほど強い印象を残す作家さんではなかったな。また次に期待。     [ 先頭へ ]
 6.栄光一途  <雫井脩介>
新潮社 1700円 2000.1発行 ISBN4-10-602764-X
 えいこういっと、と読むそうだ。私はずっと「えいこういちず」と読んでいた。すいません。
 新潮ミステリー倶楽部賞受賞作品。柔道を舞台にしたドーピング物。
 最初、文章に「……」が多いのがすごく気になった。なんかテンポが取りづらいと思ったもんだ。巻末に選評が掲載されているが、どちらかというと消極的な理由から推された作品だったようで、確かに成程という感じだった。話のネタは面白いし、柔道の場面をもっと書き込めばすごい盛り上がるのにと思ったものだ。セコム入ってる会社にそんなに軽く侵入できるかとか(笑)。あとはメインどころの女性陣がどうも感情移入できなかった。とりあえず、今後に期待。     [ 先頭へ ]
 7.無間地獄  <新堂冬樹>
幻冬舎 1800円 2000.5発行 ISBN4-87728-959-3
 いやこの本ね、友達がちょっと前に読んでいて、えらくウキウキ状態で薦めてくれたのだ。
 で、あらすじを教えてくれたんだけど、それにしちゃ悲惨な内容、でもその悲惨さが友達にとってはもう楽しくってたまんなかったらしい。読んで読んでと薦められて、記憶に残ってるのは「ヤクザとホモ」くらいなんだけど(笑)、読んでしまった。
 これ、すごい話だよね。ヤクザの悲惨な境遇はともかくとして、キャッチセールスマンのまさに坂を転がりおちる状態が…天国から地獄にどぼん!てな感じだった(^^;。その色男が目をつけられたくだりとか、ヤクザの彼に対する気持とか、アリ?ってところも多少あったが、全体的には力技か。悲惨きわまりなくても愛で持ってっちゃうところが照れてしまうけど、物語としては面白かったぞ。     [ 先頭へ ]