NOVELS
2002.5


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1.レイクサイド…東野圭吾
2.波のうえの魔術師…石田衣良
3.比翼…泡坂妻夫
4.聖ヨゼフ脱獄の夜…藤本ひとみ
5.自由戀愛…岩井志麻子(5.19)
6.黒と茶の幻想…恩田陸(5.25)
7.少年計数機 池袋ウエストゲートパーク2…石田衣良(5.28)
8.象牙色のねむり…柴田よしき(5.30)

 
 1.レイクサイド  <東野圭吾>
 子供の受験勉強合宿の付添で来た親達。そこで起きる殺人事件。事件を隠ぺいするために動く主人公達。
 最初から判っていた犯人、動機。けれど実は誰が犯人?動機は何?の話だったのかもしれない。
 ストレートな正統派ミステリ。すごく綺麗にまとまったこういうミステリは読んでいてとても気持いい。途中からもしや犯人は…と思ったとおりの展開だったが、最後で明らかになった(のかもしれない)動機は、ちょっとやられたと思ったね。     [ 先頭へ ]
 2.波のうえの魔術師  <石田衣良>
 長瀬智也くんただいま絶好調ドラマ放送中『ビッグマネー』の原作である。
 と言っても、やはり長瀬くん主演『IWGP』こと『池袋ウエストゲートパーク』の原作者の作品である。ちょっと青くさい青春小説という感じだった『池袋〜』をあまり評価していなかった私なので、ちょっと手が出遅れた。
 でも手を出してしまったのは、ひとえにドラマが面白かったから。フジテレビの長瀬智也ドラマはいつもよくできているので、今回もそういうものだろうと思っていたが、実はかなり面白かった。ドラマも面白いが、まだクライマックス前の今の時点では、ドラマよりも面白かった。すごいレベル高い!
 株の話は、本当に自分もやってみた〜い状態だし(危険(笑))、ただの株だけじゃなくてそこから生まれる人間模様が面白い。銀行との対決とか、もう一気読み。なぜ「魔術師」が銀行を狙うようになったのか、そのあたりのくだりも説得力あって、ラストまで一気に引っ張った。すごくおすすめ!     [ 先頭へ ]
 3.比翼  <泡坂妻夫>
光文社発行・1700円・2001.2発行・ISBN4-334-92330-5
 短編集。ミステリっぽいもの、全然ミステリじゃないものと色々。ネタとしては似たのもあるけど、やっぱりマジック関係のものもありで、本当に色々な雰囲気が楽しめる本だ。
 やっぱり文章もうまいしね。構成も文章も綺麗にまとまった一冊だった。     [ 先頭へ ]
 4.聖ヨゼフ脱獄の夜  <藤本ひとみ>
講談社・1600円・1999.7発行・ISBN4-06-209775-3
 藤本ひとみさんのフランス物。いやもう相変わらずドラマティックである。
 無実の罪を着せられて徒刑囚となった男の物語…というと、男がいかにして無実の罪を晴らすか物語だと思うんだけど、実は違う。これは男がいかにして新しい人生を踏みだすかという物語だ。
 大体、普通は牢獄生活の小説なんて、ドラマティックになんてなんないよ(笑)。脱獄計画と礼拝堂の幽霊と通称「マドモアゼル」と呼ばれる娘、もうラストなんて凄い恰好いいもん。
 こういう物語の作りを嫌う人もいるんだろうけど、これは藤本さんの持ち味のひとつ。ほんっと、面白いよ。     [ 先頭へ ]
 5.自由戀愛  <岩井志麻子>
中央公論新社・1400円・2002.3発行・ISBN4-12-003247-7
 レトロチックなお話。女学校時代の同級生の明子は幸せ一杯な結婚生活を送り、清子は不幸にも離縁となり実家に戻っている。学生時代に夢見ていた『自由戀愛』とは何だったのか。やがて一人の男を挟んで妻と妾という関係になる二人、その立場の逆転、そして彼女たちのその後まで。
 それほど重い書き方をしている訳ではないので結構すぐに読みきれるが、なかなか二人の対立関係や位置関係の変化が面白い。私はもともとこういう時代背景の話が好きなので、本当に一気読みしてしまった。     [ 先頭へ ]
 6.黒と茶の幻想 <恩田陸>
講談社・2000円・2001.12発行・ISBN4-06-211097-0
 重い。でも読みたい。ということで通勤行き帰りと珍しく昼休みまで真面目に読んで、まる3日重い思いをしてました。
 はー、切ない。
 学生時代に友人だった4人が時間を経て某島に旅に出る。本格ミステリだったらここで殺人事件でも起きるんだろうが、恩田陸は違う。「美しい謎」をテーマにした旅の中で、4人はそれぞれ自分の過去の謎と対峙していくことになる。
 読めば判るけど『麦の海』がすごーく好きな私は、この話もとても好き。ふたつの物語の関連性なんて気にしないけど、雰囲気がね。大人になってもまだ過去にどこか縛られている彼らと、今彼らが置かれている現実のギャップが、なんか本当に夢物語だなあと思わせる。辛い夢。だけど幸せな夢。
 彼らが51歳になったときの旅物語が読んでみたい。      [ 先頭へ ]
 7.少年計数機 池袋ウエストゲートパーク2 <石田衣良>
文藝春秋・1619円・2000.6発行・ISBN4-16-3192280-8
『波のうえの魔術師』があまりにも面白かったので、ついついこちらも手にしてしまった。1のときはちょっと辛かったんだけど、今度は面白かった。この話がなんで池袋とか若者文化の色をよく出しているのかを考えながら読んだけど、すごく文章にメーカー名とか店名とか固有名詞が多いのだ。「時計を見た」じゃなくて「カシオを見た」とかね。こういう雰囲気の出し方がうまいなあ。
 物語も短編がいくつか入ってるけど、それぞれに濃い人間が出てくる。イカれていると言ってしまえばそれまでだが、そういうキャラクターに魅力を感じたのも確か。面白かったぞ。      [ 先頭へ ]
 8.象牙色のねむり <柴田よしき>
 ある金持ちの、けれどどこか歪んだ家族の暮らす家庭で起きる殺人事件。お手伝いの主人公は、さらに旦那の浮気、その浮気相手が殺害されるという事件も抱えこむことになる。
 ばりばりストレートなミステリ。でもそこがうまい。数がある程度限られてしまう閉塞した空間の中で、犯人は誰なのかと思いながら読んでいくのだが、なるほどね。
 最後にすごくこのタイトルが効いている。柴田よしきの文体も加わって、なかなか綺麗な作品に仕上がった。      [ 先頭へ ]