NOVELS
2002.6
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1.
あやし〜怪〜
…宮部みゆき(6.4)
2.
精霊流し
…さだまさし(6.6)
3.
ジャンヌ・ダルク暗殺
…藤本ひとみ(6.10)
4.
グイン・サーガ85 蜃気楼の彼方
…栗本薫(6.12)
5.
蜻蛉始末
…北森鴻(6.14)
6.
煙か土か食い物
…舞城王太郎(6.21)
7.
写楽
…皆川博子(6.26)
8.
白夜行
…東野圭吾(6.29)
1.あやし〜怪〜 <宮部みゆき>
角川書店・1300円・2000.7発行・ISBN4-04-873238-2
宮部時代劇は、ホントに穴場で、ふと気づくとこれも読んでなかった(^^;。
これは例の角川の『怪』に掲載されたものをメインに収録されていて、そのせいかちょっと不思議な話シリーズ。謎なしモノもいいけど、こういう読み終えても謎が残るものもいいね。短編集。後味のいいものもありーの悪いものもありーの。個人的に『影牢』が印象深い――と書いて、前なにかで短編集は2作目がポイント云々という話を読んだことを思いだした。この話も2つめに掲載されている。
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2.精霊流し <さだまさし>
幻冬舎・1429円・2001.9発行・ISBN4-344-00111-7
去年話題になったさだまさし処女小説。
さださんの歌にもある『精霊流し』という行事は長崎のもので船を流すらしい。それは地方によって流すものが変わるようだが、私は母の田舎で灯籠流しという行事を見たことがある。火(だったのか、ともかく明かりがついていた)でほんのりオレンジに映る灯籠を川に流すものだった。翌朝、その川べりにまた行って、岸にひとつ灯籠がひっかかっていたのを憶えている。
連作で、主人公のモデルはご本人で、さだファンの私は物語の端々からご本人を感じてしまうのはいいことか悪いことか。
さださんの歌は一曲一曲がとても上質の小説のようだ。この本物の小説もまだ荒さや書きたりなさは残るがいい小説。
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3.ジャンヌ・ダルク暗殺 <藤本ひとみ>
講談社・1900円・2001.11発行・ISBN4-210987-5
フランスの歴史に名を残すジャンヌ・ダルクことラ・ピュセル。だが私は彼女のことを殆ど何も知らない状態で読んだ。
タイトルでジャンヌ・ダルクは誰かに殺されるのか? でも確か異端で処刑されたんじゃなかったか??と思いながら読んでいた。聖女ジャンヌと野望のために彼女のそばにいる娼婦ジャンヌ。どちらが幸福でどちらが不幸か、どちらも幸福か不幸か、誰にも決められない。結局ジャンヌ・ダルクを殺したのは<何者>だったのか。
なんか、遠藤周作先生のかの素晴らしい名作『沈黙』を思いだした。また読みたいな。
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4.グイン・サーガ85 蜃気楼の彼方 <栗本薫>
ハヤカワ文庫・540円・2002.6発行・ISBN4-15-030695-8
この日昼休みに買って、帰りの電車でずーっと読んでた。寝ずにひたすら読んだ。
ネタばれします。
なんか今回、イシュトがみんなにバカバカ扱いされていたなあ(笑)。いやホントにバカだけど。
しかーし、今回のメインはやっぱりイシュトとナリスの再会、イシュトとグインとリンダの再会、ここに尽きる! 特にリンダは感慨深かったみたい。そうだよ私もむかーしはイシュトとリンダの幸せな未来を疑わなかった時期があったんだから(>_<)。
なんにせよ、次はナリス奪還、か?
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5.蜻蛉始末 <北森鴻>
日記にも書いたけど、最初読みだしたらどうも記憶がある。途中まで間違いなく記憶がある。図書館で借りた本だが、途中まで読んで一度返却期限になったらしい。で、そのまま借り忘れていたらしい。迂闊。
江戸から明治への時代の変わり目で人はどう変わっていったのか。商家の次男に生まれた主人公と、彼を守るよう育てられたとんぼこと宇三郎の絡み合う人生。主人公を追いおとした贋札事件の裏に誰がいて何があったのか。
半眼になって人の心を読み取る――宇三郎は本当に主人公の影となっているのかもしれない。
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6.煙か土か食い物 <舞城王太郎>
講談社ノベルズ
すごい文字数多い(笑)。
地の文がものすごいことになっている。スピーディーな文章は読んでるうちに慣れて面白くなってきたし、これはすごい個性だと思う。
ある一家の内紛というか顛末というか抗争というか…まあ平たく言えばそんな感じで、故郷の町で起きる連続襲撃事件。犯人は誰か、そして犯人の裏にいるのは誰か、犯人の狙いは誰か、まあ結構面白い。
でもどう見ても理論的には思えない推理展開、勘がただ当たっただけみたいなノリは辛いな。どうしてその推理が当たってるってアンタ確信持ってるの、と(^^;。展開に紛れてきた(としか思えない)探偵の扱いとか、ちょっとアンチミステリなノリは面白いけど。なんにしても、次があるならまた読みたい作家ではある。
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7.写楽 <皆川博子>
東洲斎写楽という人にまつわる謎をきちんと認識したのは、高橋克彦の『写楽殺人事件』なんだけど、結構その後いろいろな人のいろいろな推理を読んだ。その展開の上で出てくる同時代の方の名前もそれなりに憶えてきたので、どういう雰囲気で書くのか楽しみではある。
皆川さんは、舞台で怪我を負った大部屋役者を写楽に仕立てあげた。
なぜ彼が写楽になったのか、その辺もっとツッコミかけてもよいとは思うけど、江戸の当時のちょっと崩れた雰囲気が伝わってくるのと、その雰囲気が好みなんだ。
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8.白夜行 <東野圭吾>(再読)
集英社文庫
先日文庫化されたこの本を買ったのをきっかけに、再読に入る。全然気づいてなかったのだが、突然、これを今読んだのは必然だと思った。実は今興味があるテーマに、この作品がひとつの例を示していた。こういう必然は運命的かも。
さて、初読の感想は
こちら
。3年くらい前に読んでいるので大筋しか憶えてないんだけど、やっぱりまたたいそう先が読みたいモードで、通勤電車の帰りも2日寝ずにずーっと読んでました。やっぱりこの筆力はすごい。
しかも、主人公(であるはずの)ふたりは、あくまで語られる上では脇役でしかない。そういう書き方のうまさを痛感。
白夜の中を歩いてきたふたり。太陽の代わりに夜を照らした男、その下を歩いた女――すごく切ない話だった。多分、初読のときよりも、私はこの物語が好きになった。
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