1999-NOVELS
AUGUST

[ INDEX ]

1.六の宮の姫君…北村薫
2.黒い家…貴志祐介
3.グイン・サーガ67 風の挽歌…栗本薫
4.クリムゾンの迷宮…貴志祐介
5.塔の断章…乾くるみ
6.青らむ空のうつろのなかに…篠田節子
7.未明の悪夢…谺健二

 
1.六の宮の姫君 北村薫
創元推理文庫99.6発行
再読しても難しかった度 ★(^^;/★
歴史ミステリー度 ★★★★
現代の女子大生!?度 ?????
 読んだときには、えらく難しかったなあと思って再び読んだが、やっぱり難しかった(笑)。
 なにが難しいかというと、文学の謎、てなもんなんだけど、その辺に興味がない人にとっては話に入っていくのが辛いのだ。芥川とかね。私も少しだけど大学時代にこの辺の文学を読んだけど、それでも辛かったもん。
 第一今どき、これだけ文学に造詣の深い女の子がいるもんかい。…いや、絶対いないとは思わないけど、なんかその辺で今回ちょっと嘘くささを感じながら読んでしまった。大体これでも一応文学部出身で国文学専攻を横目で見ながら(私は国文じゃなかった)大学の講義を受けてたけど、…やっぱりいないだろ。我ながら斜から眺めてるようで厭なんだけどね。
 でもこういうのも悪いとは思わない。もうちょっととっつきやすく書いてあれば歓迎。そういえば、私の周囲でこの本に対する感想は「難しかった」以外聞いたことがない。        [ 先頭へ ]

2.黒い家 貴志祐介
角川ホラー文庫98.12発行680円¥ISBN4-04-197902-1
何度読んでも本気で怖い小説度 ★★★★★
小説とはリアリティだ度 ★★★★★
素直におすすめ度 ★★★★★
 こちらも再読。去年の私の読書ベスト2の作品だけど…再読しても怖かった〜〜。夜読むのがひたすら怖くて、そんなときにいきなり部屋のドアをノックされた日にゃ、もう心臓が飛びだすかと思っただよ(^^;。
 ホラーだけど、幽霊とか呪いなんて出てこない。出てくるのは人間だけだ。でも人間が一番怖いと本当に思う。黒い家で起きた子供の自殺、それは本当に自殺だったのか、保険金目当ての殺人だとしたら殺したのは父なのか。すごくうまいのは、登場する人々がとても真実味溢れるからだと思う。嘘くささがない。だからよけい怖い。
 似た事件が現実にも起きたけれど、本当に最初にこの本を読んだとき、どこで起きる可能性もある小説だなあと思ったもんだ。人はどこまで悪になれるのか、それとも善なのか。本当に「この世に悪人なんていない」なんて嘘っぱちだと思うなあ。いや、私は基本的には「悪人はいない」と思いたがる人なんだけど、この小説を読むと揺れる、本当。
 ともかく2度読んでも怖かった。また読んでも絶対怖いと思う。本当にこの怖さは他の本では感じたことのない怖さだった。フィクションだって笑いとばせないからね。未読の方、是非読んで。       [ 先頭へ ]

3.グイン・サーガ67 風の挽歌 栗本薫
ハヤカワ文庫99.8発行520円ISBN4-15-030622-2
グインの出てるグイン・サーガ度 ★★★★★
懐かしかった度 ★☆☆☆★
第二部は遠慮だぞ度 (^^;(^^;
 グインが本編に戻ってきた。何巻ぶりよおお。嬉しい〜〜(>_<)。
 今回は、なんと言ってもグインとカメロンの邂逅がよかったな。ふたりが今のイシュトのことをどう思ってるのかわかるし、カメさんもやっぱりいい人だな〜。
 それと、やはり一巻からのエピソードがひとつ果たされたのが嬉しい。最初に一巻を読んだのは15年も前のことになるが(笑)、すごく懐かしくなった。そうだ、確かに最初はあんな感じだった。グインとリンダとレムスとイシュトのスタフォロス城でのことが、今になってみると羨ましいというか…あの頃に戻ってもう一度始めたらと、イシュトファンとしては思うんだけれどもさ。
 ひさびさのオクタヴィアも実はすごく好きなキャラクターなので登場してくれて嬉しい。彼女とマリウスの娘のマリニアは、これからはたしてどんな役割を果たしていくのか。このままじゃ終わらない…だろうな。楽しみ。
 しかし…「第二部」はやめてくれ(^^;。        [ 先頭へ ]

4.クリムゾンの迷宮 貴志祐介
角川ホラー文庫99.4発行
ホラーの定義も難しい度 ★☆★★★
「黒い家」よりはこちらが一般的にはホラーだ度 ☆★★★★
どっちが怖いかは人によりけり度 ☆★☆☆☆
 貴志祐介の小説は怖い。「黒い家」の方がそりゃ怖いが、これもなかなか怖かった。
 謎のゲームの登場人物にされてしまった主人公。生きるか死ぬかのサバイバルにはびくびくさせられた。こういう追われるような状態は嫌いなんだよね〜。怖いから。なんか最後があれ、って感じだったのが残念だけど、それにしても途中の死闘って雰囲気のところはかなり怖かったな。
 個人的には「黒い家」の方が好きだけどね>怖さも段違いだし…というか、怖さの種類がちょっと違うんだけどさ。        [ 先頭へ ]

5.塔の断章 乾くるみ
講談社ノベルズ99.2発行740円ISBN4-06-182057-5
ミステリ感あり度 ☆★☆★★
何度も読み返したくなる度 (^^)(^^)(^^)
薄い本ていいなあ度 (笑)(笑)(笑)
 ある小説のゲーム化のために集まったグループの中の一人がある朝塔の上から落ちて死んだ。
 彼女は自殺だったのか。誰かに突き落とされたのか。
 突き落とされたとしたら犯人は誰か。
 最後まで読んで、もう一度冒頭に返って、その最初と最後を何度も何度も繰り返し読んだ。この悩める感がすごくいいミステリだった。個人的にはこういうエンディングというか構成は結構好きなのだ。
 結構薄い本だからすぐに読めるし、なかなか期待をいい意味で裏切らなかったので、よかったぞ、と。某デビュー作には悪い意味で裏切られたからさ(笑)。        [ 先頭へ ]

6.青らむ空のうつろのなかに 篠田節子
新潮エンターテインメント倶楽部SS99.3発行1600円ISBN4-10-602644-9
SSとはショートショート度 ★★★★★
現実って壊れやすい〜度 ☆((((;^^)☆
一番ひいきは「幻の穀物危機」度 ★★★★
 日常が壊れていくきっかけなんてどうでもいいんだ。些細なことで壊れてしまって、そのあとは人間の本性が出てくるのかもしれない。いやあ、なかなか面白い短編集だった。
 最近ホラーづいてたので、しょっぱなの「幻の穀物危機」なんてめちゃめちゃ面白く、というか怖く読んだし。これ、関東で大地震があったら本当に起きるかもしれないな〜〜。
 どの短編も、篠田節子らしく細部がきっちり描かれていて、すごくうまいなと思わせる。
「幻の穀物危機」「操作手(マニピュレーター)」「家鳴り」「水球」が個人的には気に入った。7編中4編が気に入ったってことは、私の中ではかなり当たりな短編集なのだね。        [ 先頭へ ]

7.未明の悪夢 谺健二
東京創元社97.10発行2000円ISBN4-488-02353-3
地震嫌い度 ★★★★★
地震怖い度 ★★★★★
地震辛い度 ★★★★★
 第8回鮎川哲也賞受賞作、阪神淡路大震災を扱ったミステリで、作者も被災者とのことである。
 ミステリというよりは、ドキュメンタリーとして読んだら凄い話。それほど地震のあとの神戸の街の様子や人々の気持が丁寧に書かれていたと思う。きのうまであったものが一瞬でなくなってしまった人々の哀しみや怒り、けれどそれでも生きていく人々の気持が伝わってくる。これを遠い世界の話としちゃいけないなってことで、読んでて本当に怖かった。
「未明の悪夢は正夢になるという」どこまで正夢は続くのか、それを思うと本当に辛い。先日のニュースで見たが、大地震への備えや関心が薄れているとのこと。でもこのまま忘れてしまったら、次はもっと大惨事になることは間違いないし、戦争と一緒で忘れたらいけないことなんだと思う。
 しかしこれがなんで鮎川哲也賞かっていうと…やっぱり謎は大きい。        [ 先頭へ ]