1999-NOVELS
SEPTEMBER

[ INDEX ]

1.翡翠の城…篠田真由美
2.十三番目の人格(ペルソナ)-ISOLA-…貴志祐介
3.黄泉津比良坂、血祭りの館…藤木稟
4.霞町物語…浅田次郎
5.今はもうない…森博嗣
6.マンダレーの夕日…祐未みらの
7.グイン・サーガ外伝16 蜃気楼の少女…栗本薫
8.ノックの音が…星新一
9.ヤマダ一家の辛抱 上…群ようこ
10.バスティーユの陰謀…藤本ひとみ

 
1.翡翠の城 篠田真由美
講談社ノベルズ95.11発行816円ISBN4-06-181873-2
建築度 ☆☆
キャラクターが?度 ★★★★
題名は綺麗度 ★★★
 建築探偵桜井京介シリーズのその3。建築探偵というフレコミがある以上、今回はまあまっとうに話が進んだ感じがするが、話がうまいかというとやはりあんまりそうは思えない。
 京介、蒼、深春というなんか少女漫画的なキャラクターに加えて、新しく出てきた教授の人物造詣もありきたり。なんかミーハーっぽい作りなんだよね。これがライトノベルだったら別に気にならないと思うんだけど。
 建築に関する蘊蓄はなかなか面白いんで、もう少し建物自体をメインにした話でもいいんじゃないかな。事件を起こすのは人間なんだから、人間に比重がかかるのはあたりまえだけどどうもいまいち。
 …で、もしや次は蒼の過去の話になるってこと? でもやっぱり話同士の繋がりが見えないんで…うむむ。        [ 先頭へ ]

2.十三番目の人格(ペルソナ)-ISOLA- 貴志祐介
角川ホラー文庫96.4発行660円ISBN4-04-197901-3
話が早い度 ★★★★
「黒い家」より前だ度 (゚_゚)(。_。)
最後は怖い度 ((((;^^)
「黒い家」の前に、ホラー大賞長編賞の佳作となった小説。
 阪神淡路大震災のときに心のボランティアをしていた主人公が出会った少女が多重人格であったという、大ざっぱな話をすればそういうものだが、先に「未明の悪夢」を読んでしまったから、ちょっと地震の扱いがね…。
 あと、主人公と多重人格の少女がうちとける過程がずいぶん早いなあって感じはめっちゃ強かった。表面だけをばばっと書いてる感じは、全体的にそうだったし、なんか途中は全然迫ってくるものがなかったなあ。
 ただ、最後は結構怖かったぞ。「黒い家」にも言えるけど、ここで終わりじゃなくて、このあとの悲惨さを想像させるような書き方はすっごくうまい。
「黒い家」への通過点。まさにそんな感じのする小説。余談だけどこの話も映画化されるらしい。角川、なんでもアリ?        [ 先頭へ ]

3.黄泉津比良坂、血祭りの館 藤木稟
徳間書店(TOKUMA NOVELS)88.11発行1000円ISBN4-19-850432-6
「よもつひらざかちまつりのやかた」度 ★★★★
これって続くのか度 ?????
マニアック度 ★(^^;(^^;★
 …なんつーか…前2作に較べて、果てしなく異様でマニアックで輪をかけて世俗的、悪いけどさっぱりわからん小説だったなあ。まあ、前の作品も結構世俗的(というかミーハーというか野次馬的というか)なところがあったけど、これは極めちゃったよ、やばって感じ。続編読んだらもう少しどうにかなるのかなあ。
 まあこっちもちょっと急ぎ足で読んでたってことはあるんだけど、どうも大時代がかりすぎちゃってね、ついてけないって感じはあるな。ともかく続編も読んでみるつもりはあるけど、いったいいつになることやら。        [ 先頭へ ]

4.霞町物語 浅田次郎
講談社98.8発行1500円ISBN4-06-209202-6
ゴブラン織り〜度 (*^^*)(*^^*)(*^^*)
懐かし度 (*^^*)(*^^*)(*^^*)
泣かせ度 (*^^*)(*^^*)
 最近浅田次郎作品はとんとご無沙汰してましたが、久しぶりに読むとやっぱりいいなあとしみじみしてしまった。短編集、というか、連作というか、いや少し普通の連作とも形が違うんだけど、写真館の家・ぼけているのか正気かわからない祖父・主人公とその周囲の風景がすごく懐かしい感じで書かれている。景山民夫とか椎名誠あたりの同系列の作品とも似た雰囲気があるなあ。
 この中のいくつかの作品に登場する、祖父の死に方「ゴブラン織りの絵柄のような」というのがすごく気に入ってしまった。祖母もすごく鮮やかな人だしね。
 なんというか、すごくいい話を読んだ。浅田作品はこの泣かせ具合がダメだという人もいるが、私はやっぱり好きだなあ。自分の青春時代をこんなふうに暖かく懐かしく書けたらすごく素敵だぞ。        [ 先頭へ ]

5.今はもうない 森博嗣
講談社ノベルズ 98.4発行880円ISBN4-06-182016-8
ひっかけられ度 ★★★★★
本筋には無関係だったけど度 ★★★★★
文章読みやすくなった度 ★★★
 ネタバレ!
 久しぶりに読んだ森博嗣。なぜ久しぶりかというと、気を抜いたらシリーズをどこまで読んだかすっぱり忘れていたのだ。自爆。
 西之園萌絵が犀川に話す、ある過去の密室殺人事件。ある男の一人称で語られるその中には西之園嬢も登場する。
 …ということで、物語の本筋とは基本的に関係ない叙述「西之園嬢」にうまくひっかかった私。うはは、やられた〜(このやられた感がいいぞ♪)。
 このシリーズは、相変わらず犀川のジョークがよくわからないものの、少しずつ面白くなってきた。ときどき、地の文で、おお理系の思考回路と思う比喩とかあったりして、少し前に「理系ミステリ」という言葉が流行ったころの森さん初期作品に較べて文章がうまくなってきたというか、理系の人の鬱陶しいほどの理論的な思考回路が、うまく小説としての文章に馴染んできたような気がする。すっごいミステリとは言い難いけれども、なかなか面白くなりかけの小説という感じ。一応褒めているのだよ。        [ 先頭へ ]

6.マンダレーの夕日 祐未みらの
角川書店99.5発行2400円ISBN4-04-873164-5
面白かった度 ★★★★!
スケール大きい度 ★★★★!!
期待満点度 ★★★★!!!
 戦争である兵士が残した石、現代日本で起きた殺人事件、ある有名社長の子息の結婚式、有名なルビーのネックレスをつけたイギリス貴族。まったく関係ないと思っていた話がどうやって収斂されていくのか、その過程が面白かった。
 ふたつの出来事を追っていたふたりの人間が交錯し、一緒に事件を追うようになるが、そのふたり、暁子と亮の性格づけもいい。暁子の中の変化とかわかってくるようになるからね。
 なんというか、久々に読んだ面白い小説っ!という感じがした。私の中で定評があるこの作者のいい面がとても出ていて、スケールが大きく、話はもちろん日本だけでは終わらない。時間軸も空間軸も広く使われた話で、こういう作品は大好き。
 すべての真実が明らかになったとき、ルビーはどうなるのか、その他色々なことはどうなるのか、そこまでひっぱり、さらにエンディングではちょっとほろりとさせられるようなところもあって、もう最高。厚いし2段組だけど、一度手に取ったら最後までやめられない〜!        [ 先頭へ ]

7.グイン・サーガ外伝16 蜃気楼の少女 谺健二
栗本薫 ハヤカワ文庫99.9発行520円ISBN4-15-030624-9
こっちが本編度 ★★☆★
色々懐かし度 ☆★★★☆
もしや核心!?度 ★!!★
 外伝というより、こっちが本編じゃないのかって気がしてきたこの巻…。カナン滅亡のその瞬間とか、はっきり言えば物語の核心だよね〜(^^;。
 うん、世界の最後ってこんなカンジなのかなあって思ったね。しかもとうとう宇宙人も出てきたし。
 さて、いまいちまだよくわからないのは、シルヴィアって女の子なんだよね。最近かわいげのかけらもないわがまま娘かと思ってたんだが、今回はちょっとだけ(あくまでもちょっと)可愛い。ユリウスもよくわからんが…ま、この人はなんか鬱陶しいだけだからどうでもいいや(笑)。
 グインもとりあえずノスフェラスに「帰って」きたね。最近、色々な約束が果たされているってことは、やはり集結に向かって物語が進みはじめたってことなのかな。        [ 先頭へ ]

8.ノックの音が 星新一
講談社文庫72.8発行240円ISBN4-06-131113-1
昔買った本だ度 ★☆★☆★
さて誰が来るのか?度 ★☆★★★
ショートショート度 ★★★★★
 某雑誌で某Tグループの某Jくんが紹介していた本の1冊…BadBoysClub本家サイトをご覧の方にはおわかりかもしれないけど(^^;。
 もう10年以上部屋にあった本だったんだけど、ショートショートよりも個人的には長編好きということがあって、買っても気合いを入れないと読めないのだよ。で、これも全部読みきったという記憶がないまま本棚の奥にずっとあったんだけど…内容に記憶はなかったものの、なんと解説に記憶があって、全部読んでいたのを思いだしたという(笑)。解説でも最後の最後、二つの文だけで書かれた怪談、のその内容だったんだけどね。なぜかそれだけインパクトが強くて憶えていた>我ながら不埒な読者だなあ〜。
 しかし、本当にすごく久しぶりに読んだショートショートだが、自分の予想通りに進む結末、自分の予想を裏切る結末、自分の予想のはるか上をいく結末、さまざまで楽しかった。「ノックの音がした」ですべての話がはじまり、すべてが部屋の中だけで終わる。でもそれだけで充分ドラマになるといういい見本。しかもこれからどうなるんだーってところで終わる楽しみ。文章も小刻みで、こういうのがショートショートの文章なんだなあと思いながら、楽しく読んだ。これを読む気にさせてくれた某Jくんに多謝(*^^*)。        [ 先頭へ ]

9.ヤマダ一家の辛抱 上 群ようこ
幻冬舎98.6発行1400円ISBN4-87728-235-1
ドラマにも期待大度 ★★(^^)/
下巻が読みたい度 ★★★(^^)/
ユーモアってこういうのを言うんだね度 ★★★★(^^)/
 この秋からドラマになる小説の上巻…んがっ、下巻がすごく読みたくなるところで終わってしまったあああ。しかもこういうときに限って図書館は整理期間で1週間ばかり休みなんだよね。
 夫婦に娘ふたりというどこにでもある一般家庭のヤマダさん家に起こる出来事を書いているが、もう本当にこれがどこにでもありそうな話。なんか、こういうことってあるよねえとしみじみ納得しながら読んだ。父とか哀愁も漂わせているが、その哀愁具合もなかなかいいのだ。哀愁と気取らせずにさらっと書いてさらっと読ませるのはうまいっすねえ。
 まだ上巻だけだけど、いやほんっとに面白かったよ。        [ 先頭へ ]

10.バスティーユの陰謀 藤本ひとみ
文藝春秋99.4発行1429円ISBN4-16-318470-8
ベルばら好き度 ☆★(*^^*)★☆
陰謀って奥深い度 ☆★★★★
歴史って奥深い度 ★★★★
 フランス革命初期を描いた作品。ベルばら愛読者の私にとってはその経緯とかおおまかな流れが一応わかる時代だったりする。
 一介の庶民にすぎなかったジョフロアが「陰謀」にむかって立ちあがり、民衆の上に立ち、そして死んでいくまでを書いたこの作品。読んでる途中で、陰謀ってどういうことを言うのかなあと思っていた。この時代には、それこそたくさんの陰謀が渦巻いていたはずだよね。王家を守ろうとする人、王家を陥れようとする人、自分の身を守ろうとする貴族、貴族を追いおとそうとする民衆…そのひとつの、あったかどうかも不明な陰謀のために死んでいった少年と、その少年の死によって目ざめたジョフロア。きっと現実にもこういう青年がいたのかもしれないと思うと、歴史って奥深い。
 ところで前々から思ってたんだけど、藤本ひとみ作品は、文章が現在進行形だよね。>この意味わかる? 感覚的なものなので、わからなかったらそれはそれでいい。        [ 先頭へ ]