1999-NOVELS
DECEMBER

[ INDEX ]

1.アンハッピードッグス…近藤史恵
2.恋愛中毒…山本文緒
3.転生…貫井徳郎
4.夜光虫…馳星周
5.グイン・サーガ69 修羅…栗本薫
6.死国…坂東眞砂子
7.弥勒…篠田節子

 
1.アンハッピードッグス 近藤史恵
中央公論新社99.10発行1600円ISBN4-12-002941-7
早く読み終えるのはいいか悪いか度 (--;(--;(--;
恋愛小説〜度 ☆☆☆☆☆
ミステリが読みたい度 ★★★★★
 薄い本だったので、1時間とかからずに読んでしまった。まあ、この人得意の愛憎渦巻くミステリとは違って、ただの(と言うぞ)恋愛小説だったからなあ。まあ、恋愛小説も好きなんですが、うまけりゃね。
 個人的には、いつものミステリの方が独特の雰囲気が漂っているので、好きなんだけど。        [ 先頭へ ]

2.恋愛中毒 山本文緒
角川書店98.11発行1800円 ISBN4-04-873140-8
ドラマも楽しみ度 ♪♪♪♪♪
これはうまい恋愛小説度 ♪★★★♪
自分も壊れそう度 ◇□◇□▼
 ストーカーになってしまう女が怖いなんて言えないのは、きっと自分もそうなる可能性があるからだ。なにが怖いって、自分の中の可能性の方が怖い。
 離婚した前の夫の浮気相手にストーカー行為をはたらいてしまった女は、有名人の愛人のひとりになる。そしてやがて、男を自分だけのものにするために、彼女は再び同じことを繰り返してしまう。
 自制しているのに恋にのめりこんでいく気持、安定しているように見えて少しずつ移っていく時間、変化していく気持。そんなものがうまく書いてあるなあ。人は些細なことから壊れていくものだしね。
 でも、恋愛ってするもんかと思ってしなくてすむもんじゃないし。個人的には恋愛好きだし。面白かったぞっと。        [ 先頭へ ]

3.転生 貫井徳郎
幻冬舎99.7発行800円ISBN4-87728-310-2
こんなに地味でいいのか度 (^_^?(^^;
個性をどう出していくか度 (^^;(^_^?
モチーフは面白い度 (^^)(^^)(^^)
 心臓移植された男の身に起きる不思議な出来事、そして夢に出てくるようになった女。これらはドナーの記憶なのか。
 レシピエントとドナーの関係、心臓移植の話を興味本位でなく(けれど読み手には興味をそそる形で)書いたなかなかうまい話。でも、結論の付け方とか少し呆気なさすぎた感じもするんだけども>でも話を広げすぎると難しいのかな、それとも興味本位になっちゃうのか。うーん。
 ただ移植に関するこの手の話って、似たような感じの話を読んだこともあるし、個性を出すのが難しい気がする。地味な話だしね〜これ(しかもタイトルが地味すぎだぞ(^^;)。まあ、テーマやモチーフとして興味をそそられるってのはわかるんだけども。        [ 先頭へ ]

4.夜光虫 馳星周
角川書店98.8発行1900円ISBN4-04-873121-1
実は恋愛小説度 ★★★★☆
血みどろ度 ☆★★★★
台湾の雰囲気アリ度 ○○○○○
 私が読むのは3作目だけど、この人が拘るのが「文体」と知ってから読むのははじめて。この本では、どんどん積みかさなっていくような地の文、ちなみに一人称は「おれ」だった。
 さて、台湾のプロ野球で八百長をするピッチャーと、やくざとの関わりから、家族の話に進んでいくが、やはりやくざが絡みはじめたところで予想がついたとおり、すごい展開。最後はみんな血みどろ。でも、最初に主人公が殺した男の妻との恋愛があって、そこだけが最後に救いとなっていた。もしやこれは血みどろだけど恋愛小説かもしれないと思ったくらいだ。
 どうしてこうなってしまったのか、歯車が噛みあわなくなって人が堕ちていく過程をうまく書ける作家は、物語も面白い。新宿ではなく、台湾の暗黒街、その町は夜光虫のようだそうだ。面白かった。        [ 先頭へ ]

5.グイン・サーガ69 修羅 栗本薫
ハヤカワ文庫99.12発行520円ISBN4-15-030629-X
今回は怖かった〜度 ((((;^^)
本当に怖かった〜度 ((((((((;^^)
めっちゃ怖かった度 (((((((((((;^^)
 ネタバレ有り。
 モンゴール宮廷でのイシュトが立たされた法廷。…しかしまさか、アリストトースの亡霊がいたとは…こ、怖かった、この亡霊シーン、めっちゃ怖かった(^^;。
 イシュトの本性に、やっとアムネリスも気づき、そしてカメロンもまたイシュトに対してなにかを感じはじめている様子。なのに当人だけがこんなにマイペースなのはどういうことだ。
 あと、法廷で、アムネリスが語った、一番物語の発端となったモンゴールのパロ襲撃の裏の事実が面白かった。最近、1巻とか初期の巻の記憶を呼びおこす出来事がよく出てくるのも、やはり物語が収束に向かって動きはじめているということかな。        [ 先頭へ ]

6.死国 坂東眞砂子
マガジンハウス93.3発行1456円ISBN4-8387-0426-7
映画も見たいが怖そうだ度 ★((((;^^)★
後半よりも前半が怖い度 ・・〜〜・
ラストも怖い度 ・・・・〜
 映画化もされて話題になった一冊。「狗神」でも思ったけど、板東さんてすごく日本の地方色を出してる感じがするなあ。
 後半よりも、これからなにが起こるかわからない不気味さが漂う前半の方がひたすら怖かった。ラストはアンハッピーだし、もしかしたら昔死んだ少女は再び甦るのかもしれないという終わり方が、お約束であるけれど、やはり怖い。お約束というのは大事なのだった。        [ 先頭へ ]

7.弥勒 篠田節子
講談社98.9発行2100円
世界を変えられるのか度 ☆★★★★
人の心から神を排除できるのか度 ★★★★
ただの繰り返しの毎日で人はなにを考えるのか度 ☆★★★☆
 書きたいことはたくさんあるのに、言葉にならない。すごく色々なことを考えながら読んだ。厚いし、周囲の感想を聞いても「?」だったのでどうかな〜と思いつつ手にとった本だが、面白かった。
 遠藤周作さんの「沈黙」を思いだした。
 たとえばテレビも本もCDも娯楽もなにもなくなってしまって、そこで心の拠り所になるのは、いったいなんだろう。拠り所がなくて生きていけるんだろうか。
 なぜ神はわれわれを救ってくれないのか、の「沈黙」、神を排除した世界はありえるのか考えてしまった「弥勒」…難しいよねえ。
 でも面白かった。1999年最後に、なんかいいものを読んだって気がする。        [ 先頭へ ]