BlackNote
背景曲:森田童子


神無月 弐拾九夜
  ほぅらね。 島育ちの婆やが鞠を蹴っておどけた。
  うふふあはは。 おかしいねとってもおかしいね。
  少女はわらいながら家宝の壺をかかえ、白髪が赤く染まるのを思いうかべた。

神無月 弐拾八夜
  泣きすぎて頭がわれてしまうよぉ。 ふいに 酉がうたった。
  浜の父鼠 軒下にうづくまる陽差しとともに、喜びをさがせとばかりに。

神無月 弐拾七夜 上弦の月
  お薬もらった少女は苦くてそれを口にできない。ひと口したなら悪夢のとおりになりそうで。
  白い床に赤い水。 点々と垂れる少女の目から。 それはかなしみの汗そのもの。

神無月 弐拾六夜
  病の床に伏した少女はお医者さまでも治せない。こころの病はあの御方しか治せない。お薬ください。

神無月 弐拾五夜
  独りあそびが好きな少女はお人形とおしゃべり。月夜のお庭はお人形だらけ。
  しゃべり疲れた少女は、お庭で凍るよに眠る。

神無月 弐拾四夜
  暗闇にあこがれた少女は日記をつけはじめた。今宵は何してあそびましょう。日が暮れてからのお遊戯は、いとたのし。