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野神

 

 三郎は心が乱れていた。それでつい魔が刺した。幼女の太ももを撫でてしまった。ああ。すまん。いかんことをしているな。俺は大人の男としていかんことをしている。

 しかし三郎は再び幼女の髪を撫でた。いかんというのに。なんで俺は。

後ろで材木が倒れる音。振り向くと、三軒隣の家の女子大生が、両手を放り出して喚いていた。「稀名子ちゃん!」

 こうして三郎は近所の者に目撃され、警察署で取り調べを受けた。幸いにも初犯であるということと、普段は大人しい会社人であるということを考慮され、事は内密にされた。三郎は自主的に精神科の診察を受けた。医者は言った。

 「出世によるストレスです。お薬出しますから。毎日飲んで下さいね。」

二〇〇五年 七月 十日

写真は筆者の七五三の時。今見てみると、子供は悪魔だと思わざるを得ない。
なんてことだ。なんてずる賢いんだ。利己的遺伝子。

荒巻圭子・短編小説集 目次

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