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バーミン
01年3月

3月23日(金)

 沢木耕太郎「若き実力者たち」(文春文庫)
 題名の通り活躍する若手に取材したノンフィクション。政界からスポーツ界、棋界など幅広い分野にわたる。尾崎将司、中原誠、河野洋平、唐十郎…と登場人物を挙げると全然若手じゃないが、あとがきの日付が昭和48年8月、筆者25歳だというから当時の若手・沢木耕太郎の仕事として興味深い。一歩踏みとどまって嫌み臭みを回避するどこか湿っぽい文章はすでに出来上がっている。読んでいて面白いし書かれた側も喜ぶだろうな。どんな人でもつるっとした美男美女に描くペーター佐藤のパステル肖像を思い出す。
3月22日(木)

 対談原稿を書いていてどうにも面白くない。煮詰まる。初回から先が思いやられる展開…不安だ。まあこれが自分の実力だ、という限界を知るという意味ではいいのかもしれず前向きにとらえているのだが、だいたい今の状況がいつまで続くことやらわからんし、結局は上役の気分次第でくびにさえなりかねない中で、まだわからないけど時給も上がるかもしれないなんていうのは俺だけのようだから、まあ現状の中で精一杯やっていくしか、今のところは仕方がない。…そうなのか?

 できることはできる。できないことはできない。それだけだな。

 気候はすっかり春めいてとても気分がいい。身体の中から「動きたい!」という衝動が湧きあがってくるなんて今まで感じたことがあっただろうか…冬の間はなんだったんだろう。おそらく体力がめちゃめちゃ落ちているんだろう。わずかな季節の移り変わりにも敏感に反応する身体になったということ、今までは季節やところかまわず元気一杯のバカ身体が繊細で都会的な(?)感性を身につけたというべきか…これって悲しいことだよなぁやっぱり。

 久々にMDプレーヤーをリュックのポケットに入れてキリンジを聴く。このあめをみくびるな…言葉の美しい響きとすこしもの悲しい懐かしさを感じさせながらもどこか新鮮なメロディライン。中央線の景色が似合う。今日の空元気の原因なのかもしれない。


3月21日(水)

 今日からNHK−BS2でキャプテンフューチャーが始まる。ビデオセット完了! どんな話かというと…これが全然覚えていない。記憶にあるのは球を棒でつなげたような宇宙船が子供心にも斬新だったことくらいか。どんな理由かずうっとお蔵入りしていた作品だけに、とにかく録画し忘れという事態は避けたい。毎週水曜日午後6時。早く見てみたい。

「他人に考えることを促す思考、それをぼくたちは批評と呼んでいるのである。」

 高橋源一郎「もっとも危険な読書」による“批評”の定義。


3月20日(火)

 昼過ぎ起床。パスタを茹でてビールで食事。「ごっつええ感じ」「ガキの使いやあらへんで」が交互に入ったビデオを見返す。「ごっつ」は「Mr.BATER」(「ざる」二日酔いの松本が喫茶店にコーヒーを飲みにくる)「しょうた!」(「あそぼうや〜」「あかんて!」)「ほっそいヤクザ殺人事件」「兄貴が街にやってきた」など、「ガキ」は“おたまかけ”の検証(なんやこのしょーむない角度!)など。そのまま就寝。夕方、二度目の起床。パスタを茹でてさきイカつまみビールで食事。テレビを眺める。ジャンクスポーツにライダー中野選手が出演していた。そのまま就寝。夜目覚めインターネット。眠くなってきた。

 ヒロシとピョン吉がソルマックを飲むCMを見た。侍ジャイアンツ、あしたのジョー、もちろんルパン三世、平日の夕方の4チャンネルで繰り返された再放送アニメを思い出す。当時アニメは子供のものだった。大人に怒られながら、隠れて見ていた。罪悪感に近いものを感じながら「これ見たら勉強しよう」と思った。今は大人もアニメを楽しんでいる。いや“大人も”というより“大人が”といった方が合っている気がする。俺が子供だったら引いてるだろうな。


3月8日(木)

 映画:
「BROTHER」(01年、英日)
監督・脚本・編集:北野武 出演:ビートたけし、オマー・エプス、真木蔵人、加藤雅也、寺島進
 ヤクザの山本(ビートたけし)は兄弟分の原田(大杉漣)の頼みで日本を脱出する。かつての敵と盃を交わさざるを得なかった原田が、盃の証明として山本殺しを命じられたのだ。山本はロスに留学していた弟・ケン(真木蔵人)を訪ねる。ケンは黒人とつるんでヤクの売人をしていた。売上の分配についてケンと揉めていた売人の元締めを山本は撃ち殺す。シマを手に入れた山本。さらにかつての舎弟・加藤が現れ山本と動きを共にする。

 メンツを潰された密売組織と山本はホテルの一室で会見することになった。重厚なテーブルを挟んで組織の幹部たち、山本と通訳のケンが対面する。ケンが席を外した隙に山本を口汚くののしる幹部の一人、山本は笑顔で応じる。その手はテーブルの裏にガムテープで貼り付けられた拳銃に伸びていた。前日にホテルに潜入した山本たちがあらかじめ仕込んでいたのだ。席に戻ったケン。ビリビリとガムテープをはがす微かな音。突如として部屋中に満ち溢れる銃声に幹部たちは驚くひまもなく絶命していた。硝煙の中を立ち上がる二人。再び山本が引き金を引く、息を吹き返したかのように躍る死体は山本を罵った幹部だった。「ファッキンジャップぐれえわかるんだよ」と吐き捨てる山本。二人はゆっくりと惨劇の舞台を後にした。

 密売ルートを手に入れた山本は「ANIKI」と慕われ組織は着実に拡大していった。更なる拡大を目指す加藤だったが山本は興味を見せない。「ブスなんだか美人なんだか、よく分からない」女を連れて歩き、部下との賭け事を楽しんでいる。日本人街のボスとの共闘を提案するが相手にされない。加藤は命を賭して共闘を実現させるがそれは破滅への引き金であった。

 殺戮を繰り返しシマを拡大してゆく自らの組織にいらだつ山本だが、止める術はない。そして山本にはその気もなかった。上納金をめぐりマフィアとの抗争になだれ込んでゆく。急先鋒だった男は車ごと爆破、山本は女を殺され、部下は母を殺され、逃げ場を失う。黒人の部下と共にマフィアのトップを拉致した山本は荒野へ車を走らせる。途中黒人と別れ、幹部も開放した山本はモーテルに立ち寄る。窓の外には黒塗りの高級車が並び、男たちが出てくる。日本語を話す老店員に「これ修理代」と言い残し札束をカウンターに置く山本。店を出て扉が閉まりきった瞬間、マシンガンの発射音が鳴り響き扉は蜂の巣に。外には血濡れの山本が絶命していた。

 真っ黒なバックに白い文字、シンプルなタイトルロールとエンドロールが印象的。乱暴に言うと嫉妬に狂った男がふられた男を破滅に追い込む話。かな。


3月5日(月)

 読書:
「兵士を見よ」杉山隆男(新潮文庫)
「梶原一騎伝」斎藤貴男(新潮文庫)
 ルポルタージュでドキュメンタリーな2冊を同時に読む。前者は航空自衛隊のエリートパイロットを巡る群像劇。戦闘機F15に体験搭乗する筆者の天空の描写が見事。後者は「あしたのジョー」「巨人の星」という傑作を生み出し、手塚治虫先生とも並び賞されるマンガ原作者・梶原一騎の評伝。梶原の父の生い立ちから、梶原の幼少期、青春、栄光、挫折、全てが描かれているといっても過言ではない。どちらも綿密な取材を重ね、筆者の抑制された思いが行間からにじみ出る。何か意図があって同時に発売されたのでは、と思わせる。
1998年 12月
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