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題名:火車 著者:宮部みゆき ジャンル:サスペンス 出版:新潮文庫 初版:1998年2月1日 価格:¥743(税抜き) |
展開と感想
| 怪我で一時的に休職中の刑事・本間俊介のところに遠縁の親戚(彼の妻の従兄弟の息子)栗坂和也が訪ねてくる。七年もの間連絡を取り合っていなかった彼が本間を訪ねた理由は、彼の前から突然姿を消した婚約者・関根彰子を探してほしいからだった。 結婚寸前の幸せの絶頂期に突然姿を消した彼女は、栗坂に出会う前に自己破産をしていたらしいのだが、それを栗坂に知られた事が、失踪した思い当たるただ一つの理由だった。本間は休職中という立場を利用し一人で捜査を開始するのだが、彼女の足取りは一欠片も残っておらず、簡単と思われていた彼女の捜査は、思いも掛けず難航し、根が深いところにある事が分かりかけてくる。 そして、進むうち本間の心に芽生えたのは、「関根彰子が二人いるのではないか?」というとんでもない疑問であった。そして徐々に誰にも予測できない恐るべき真実が明かされていく・・・ |
複雑にからまった糸を一つ一つ解きほぐしていく、という言葉が凄まじくぴったりとくる、読んでる間総毛立つ感覚を何度も感じてしまう小説でした。私は今までほとんどサスペンス物とミステリー物は読んだ事がなく、当初あまり買う時でさえそれほど面白そうだとも思ってなかったのですが、見事に裏切られました。 こう書くと大袈裟ですが、「読んだ後もしばらく本の世界から思考が現実に戻ってこれないほど」、でしたからこの面白さはなんとも言いようがありません。同時に、現実に絶対起きない事ではないため、深く考えれば考えるほど恐ろしく思いもします。題材がクレジットカード、消費者金融、自己破産、となればもちろん普通は「難しそう」あるいは「暗い、恐い」という気持ちが湧きます。 たしかに法律に関係する文章も多くでてきますしクレジット社会、カード社会の法律の落とし穴を描いてますが、それを何度も読み返し理解すればするほど、その何度も読み返す面倒臭さを、はるかに凌ぐ恐ろしさとおもしろさがありました。 |