ビデオ屋店員的厭世エッセイ
VIDEO屋家業
副題:ビデオ屋店員の告白
■第一話:レンタル店員との差し合い
■第二話:ビデオ屋店員であること
■第三話:ビデオ屋店員の心得◆前編
■第四話:ビデオ屋店員の心得◆中編
■特別編:鉄男の言い訳
■繋ぎ編:「一過性話題作」からみるビデオ屋の品揃え
第一話
題名:レンタル店員との差し合い
99.3.29
◆レンタルビデオ店で働くことおよそ6年。この年月の間に沢山の会員が私の働く店の会員になり、自らの欲求とエゴと好奇心を満たすために様々なソフトをレンタルしていきました。そして今日も、涙を、感動を、笑いを求める人々が店を訪れます。わずが数百円で味わえる娯楽。いまやレンタルビデオ店は、醒めたふりをしながらも実は感動したがりな現代人にとって欠かせない存在となっています。なんの巡り合わせかそんな現代人のやどり木で働くことになった私が、店員の視点からレンタルビデオについて色々と書いてみたいと思います。
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◆店員はどう思いながら接客をしているのか。まさにこれは一種内情暴露告白と・・・・言ったら過言です。ただ私個人的に感じたままを表象するとともに、これを読んだ方々が、店員さん達はこんなこと考えているのか、と、参考程度に頭の片隅にでもとどめてもらえると幸いです。ただ、ここに書かれるのは私個人の考えであって、一般論や統一見解ではないということを一応明記しておきます。
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◆記念すべき第一話は、店員が好きなお客さんと、嫌いなお客さん。店員も人間ですので、お客さんの好き嫌いは当然あります。もちろん、お客さんが店員に対して好き嫌いがあるのも認識しています。実際に私が他の店に行った時に、態度の悪い店員に巡り会ったこともあります(ビデオ屋店員は大概態度悪い)。でもそれは今回の書き物の主旨にそぐわないので、今回はお客さんに限定した話。またその件については後日ビデオ屋店員論の回を設けます。それでは本題。
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◆まず、接客をしていて好印象を受けるお客さんとはどういう人でしょうか。また、どうすれば店員に好印象を与えることができるのでしょうか。最も重要な要素として、「上質のスピード」があげられます。「上質のスピード」は、動作・移動・決断・財布開封等、あらゆる面に置いて問われます。ただ慌てるだけではダメです。店を入り、返却なら返却をし、ゆらりと店内を回遊し、ビデオを選択し、さり気なく会員証を用意し、滞りなくレジを済ませ、店を出る。この一連の動きが淀むことなく行われると、店員はその人を一目置くようになります。
◆「あぁ、いいお客さんだ。」
◆ビデオ屋の店員はカウンター仕事以外に、テープやケースの返却作業があります。大きな店鋪だと分業制が成立しているかもしれませんが、通常の町のレンタルショップは、少ない店員で仕事をまわします。返却作業は、カウンターにお客さんが来なさそうなタイミングで行われます。ですから、一回の接客に時間を取られるとそのタイミングを失うことがあり、また、手早く終わると余裕を持って次の作業に移ることができます。映画の趣味がいいとか、よく来るとか、たくさんレンタルするとかいった事よりも、早い人の方が遥かに店員にとってはいい人という印象を与えます。
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◆次に悪印象を覚えるお客さん。これは、ほぼ好印象の逆と考えてください。つまり、遅い人。カウンターにかりる物をもってきたはいいが、会員証がみつからない、さんざん探した挙げ句に忘れた、お金足りないどうしようどっちやめようかなう〜んこっちかなでもでも。そしてそういう時に限って次々とお客さんが列をなしてしまうのです(これは法則として有意だと思う。必ずお客さんには波があり、一人がかりると何人かが続く。それが一段落すると暫く間があく。そしてまた、一人がくると何人かが続く)。
◆ほかにも、臭いとか、うるさいとか、ままありますが、それは一般の社会でも一緒です。
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◆さて、なぜ店員のくせにこんなお客さん観を書いたのか。店員の分際でお客さんを批評するなんて、失敬ではないかというむきも在るかも知れません。でもここで私がいいたかったこと、それは、店員にいい印象を与えるといい事がある(かもしれない、いや絶対ある)ということをみなさんに知ってほしかったのです。レンタルショップは普通会員制です。来店するお客さんは新会員を除くと決まってます。そして、店員は知らぬ振りをしていても、いいお客さんと嫌なお客さんは大概覚えてます。
◆例えば新作の返却があったとしましょう。その新作は昨日入荷したばかり、誰でもかりたい競争率ナンバー1。店員が返却作業をしようとするとそこにはいつもの嫌な客。店員も人の子、あいつが帰ってから作業しようと思うのも道理でしょう。
◆あるいは探している作品や、誰かの主演作が見つからなくて店員に聞いてみたとしましょう。店員は、普段なら聞かれた事しか答えないけど、いつもいいお客さんだからと、映画カタログや新作カタログをカウンターの下から引っぱりだしてお客さんの要望にできるだけ答えられたらと思うのもまた道理でしょう。
◆他にも、「普段予約やってないけどいい人だからとっといてあげて」とか、「テープこわれちゃったけどいい人だから弁償いいや、もう元とってるし」など、結構いいことがあります。一度いい印象を持ってもらうとかなりの無理が利くようになります。もちろん、そのバランス感覚はつねに敏感に保つべきではありますが。
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◆別にレンタルショップの店員に気に入られろといってる訳ではありません。できればみなさんもレンタルショップの店員をうまく利用しましょう、利用しなきゃ損ですということをお伝えして、第一回を終わらせて頂きます。
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