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TBS 旧石器発掘捏造事件に絡む悪質報道

TBSが非を認め、「つくる会」の反論を放映

代表  藤岡信勝

今回の韓国報道は直接にはテレビの報道をキッカケとしたものだった。「正論」論文の執筆にいたる事実の経過を補足として書いておきたい。

十一月七日午後八時頃、「つくる会」の事務局から一枚のファックスが私の自宅に届いた。その内容は、TBSが午後六時の「ニュースの森」という番組のなかで、上高森遺跡発掘捏造事件と「つくる会」を結びつける韓国報道を伝え、一九九六年十二月に行った「つくる会」の記者会見の映像を流した、というものである。西尾幹二会長の奥様が自宅でたまたまテレビを見て出張先の西尾会長に連絡し、西尾会長から「つくる会」事務局に、このことを高橋史朗副会長、小林よしのり氏、それに私に伝えるよう指示がだされたものである。ファックスには、多分十一時の「ニュース23」でもやるはずだから、できれば見て意見をきかせて欲しいとの添え書きがあった。

私は早速「ニュース23」にビデオ録画をセットし、放送と同時にウオッチすることができた。やはり、ひどい内容である。これは放置できない。私は翌日の午前、西尾氏と高橋氏に電話をして、ことは重大であり、場合によってはTBSを会に対する名誉毀損で告訴することも辞さない覚悟で臨むべきだとの意見を述べた。両氏とも基
本的な立場について同意された。こういうことは、最初が肝心なのである。私は西尾氏と弁護士の手配の件を相談した。高橋氏が、順序として、TBSにまず抗議の申し入れをすることを提案した。

「つくる会」事務局では、みんなでビデオを見たが、どこを問題にしてよいかわからないという。取り上げる必要はないという意見もあるらしい。私は、問題点を指摘して、ともかく抗議文の原案をつくるよう要請した。高橋氏からは、ビデオを文字に起こしたものと、韓国の新聞記事を翻訳した二件の資料がファックスで送られてき
た。夕方、抗議文の原案が送られてきたが、ほとんど私が書き直す形になった。それを、事務局から、いずれも出張中の会長と副会長に送り、何度かやりとりを繰り返して、正文とした。出来上がったのは九日の夜だった。

十日、午後三時にTBSとの面会がセットされた。結局、私が先方と会うことになった。事務局の池田洋一氏に同道してもらった。応対に出たのは、TBS報道局ニュース編集センターのセンター長岡元隆治氏と、編集部長信国一朗氏の二人だった。まず抗議文を読み上げ、若干の補足をした。二人ともビデオはチェックずみだっ
たようで、はじめは、「韓国の報道を意外な反応として伝えただけで、『つくる会』を誹謗する意図は全くないし、何も問題はない」という態度だった。改めて私が持参した「ニュース23」のビデオをその場で見せて私が問題にしたのは、次の点だった。

(1)韓国の報道を伝えること一般を問題にしているのではない。ニュースのなかで、特派員が会の紹介をしている中に「旧石器時代に世界最古の文明が日本に存在した可能性」を会が主張しているようにのべた箇所がある。会は「縄文土器文明」の世界史的意義は視野に入れているが、旧石器時代のことはそのような評価をしていない。記者は韓国の報道に引っ張られている。だから、これはTBSの責任に属する誤報として訂正する義務がある。

(2)韓国の「つくる会」批判を報道するなら、当然当会にも取材して反論の機会を与えるべきである。一方の側だけの言い分を報道するのは報道の公正に反している。

(3)旧石器捏造事件と会を結びつける韓国の報道にキャスターは確かに疑問を呈している。しかし、論理で否定してもイメージは残るのがテレビの特性である。だから、なおのこと明確な反論を当事者に語らせる必要がある。

私は「正論」で引用した『国民の歴史』の当該箇所をコピーにして渡し、さらに同書を一冊研究資料として進呈した。

この会見で結局、TBS側も一定の非を認めざるを得なくなったようだった。検討して回答することを約束した。その後、抗議文を事務局から、朝日、毎日、読売、産経、共同通信の各社にファックスで送り、質問に答えるため事務局の池田氏に待機してもらった。予想通り反応があったのは産経だけで、私が詳しい事情説明をした。この記事は、翌日十一日の産経朝刊に第三社会面のトップに「『つくる会』がTBS抗議」という見出しで掲載された。

TBSへの抗議申し入れを行ったあと、大学で自由主義史観研究会の「授業づくりプロジェクト」の会合があった。その帰り道、夜九時判ごろ、TBSの岡元センター長から電話があり、急遽お茶の水で会うことになった。今度は外信部長伊藤友治氏も同席していた。TBSとして今回の件を調査をしたとのことで、ソウル特派員の記者
は『国民の歴史』を読んでいるとのことであった。それにしては読み方が浅い。ともかく、決して韓国報道に影響されたわけではないが、不十分な点があったことはTBS側としても認めた。そこで、「つくる会」側の反論を放映したいという。

翌日土曜日の午後、スタジオで録画し、日曜日の関口宏の「サンデー・モーニング」で「反論」の放映となった。ただ、これだけでは問題の所在が十分に伝わらない。そこで、産経新聞の「正論」欄に投稿したのである。以上が今回の、問題の経過である。

参照:歴史論争最前線