何かを伝える…
そのためにもいろいろな手段があります。伝えたいことが、一番自然に現れてくる形がある。
短歌という姿を取るものもやはりあるのです。
季節(とき)過ぎし桜ひとひら手から落つ 淀みに浮かぶ花の亡きがら
2003年春、北の丸公園。
お堀には、散った花びらが放線状の模様を創っていました。
園内の小川にはたっくさんのおたまじゃくしもいました。
黒くてちっちゃかったので、ヒキガエルの赤ちゃんです。
会社から近いこの公園は、とーいのお気に入りの場所。
冬雨に濡れて艶めく黒き樹皮 道に散らばる たくさんのフレディ
朝の雨のせいで、局に向かう途中の代々木公園の木々は黒く濡れていたのでした。
かすかな霧の中に見える彼らは、
静寂を音楽たらしめんと静かにその存在を顕示していました。
フレディはもちろん「はっぱのフレディ」、だれもがフレディであったはずなのです。
夢見しは夕日を染める花火でも 人が魅入るは対極の在
夕日も花火もそれぞれが輝きを持つものたちです。
でも夕日のなかで花火を打ち上げてもその輝きは増すことはありません。
相殺。願わくは夕日のなかでより輝きを放つ花火を…。
種子たらん水待ち馳せる大地から いざ大輪の花を咲かせん
これも鴇のHPに書いたもの。
大輪の花を夢見る自分に種を重ねる。
このときはすらすらと言葉が流れ、勢いのある歌になりました。
心あらず後から気付くガス欠に テールランプも哀しき蛍
ヤクルトレディーと社用車で接触した日。警察からの帰りの東名高速です。
かなりへこんでました。ぼーっとしてたためガソリンが残り少ないことにも気づかず、
ぎくっとした嫌な記憶がこの歌を見ると甦る・・・。
宵闇に美しく並ぶテールランプの列もはかない光としか映りませんでした。
川風に終りを告げぬ夏の恋 胸に伝うは消えぬ花火か
僕の告白は振動を伝える花火の音に消えていきました。
大学四年の夏、江東区花火大会。
相手がうなずくのを見て心が満たされていくのを感じながら、
この恋が一夏の想い出で終わる不安もどこかで感じていたように思います。
このまま消えることのない輝きを夜空に刻んでごらん・・・
川から吹く風は僕にそう告げていきました。
かねてより高き美空に何を見る その透明に碧雲のかかる
自分が何をしたいのか分からなくなる瞬間。
幼い頃ほど澄んで見えた空に精一杯手を伸ばすけれど。
君を知り少しの勇気我にあり 君に等しき思い持たんと
恋をすると人は強くなるのか弱くなるのか、とーいには分かりません。
好きでいる限り、相手にふさわしい人間でありたいと願う。
好きでいる限り、相手が望まない自分は殺されてしまう。
故郷に幼き心駆け巡る 己の後の姿知りつつ
とーいは時々自分が悲鳴をあげているのを感じます。
町の雑踏、休息を忘れた人々、ダンボールハウス、刹那主義・・・
そんなとき、とーいはザリガニをつかまえたあの通学路に自分を解放していきます。
今を知らなかったあの頃に、今を知った僕が帰っていくんです。
幹桜 溢れる息吹の躍動を 素直に見つめし心は何処
かんざくら?みきざくら?
桜って太い木のところから花だけパッと咲いてたりするでしょ。
それをなんて言ったらいいかなあと考えてたら、ことば作っちゃいました(笑)
語感からいったら「かんざくら」のほうがきれいだけど、「寒桜」とごっちゃになるかな…
かねてより胸に宿りし灯火は 霧に消えたる遠き街かも
自信喪失歌。すべての自信がただの思い込みであったかと。
それでも限りある人生に留まることはしたくないですね。
あるか分からない町でも、それを求めて歩いていかなければ。
恋心 秋の夜空の底の赤 そのまま君はあきらめられるの
秋の夜空は夕焼けの燃えるような紅を内包している。
それはあきらめきれない想いとどこか似ている。
その心 君の心のみぞ知る 何に素直に 何にうつろい
本当は何がしたいか自分の心は知っている。
本当はどうしたらいいのか実は分かっている。
悩みは単純化して整理しなくては、時は無情に過ぎていくから。
雪残る八幡平の頂に 登りて空の青さに気づく
中学校の東北への修学旅行で作った歌。
ありがちだなあと思っていたのに担任がべた褒めし、
世の中よく分からないなあと思いました。
ちなみにとーいはその担任が大嫌いなのであった。