災厄の女神 笑顔の行方
救命にあずけられることになった問題医師・雨宮こずえ。彼女はどこにいてもマイペースだった。
矢部と太田川が注射の練習をしており、進藤はその様子を見ている。
そこに、専門書を読みながらこずえが入ってきた。
カルテを読んでいるたまきの隣にある自分のデスクに座った。しかし、視線を感じたのか顔を上げた。
(こずえ)「進藤先生、私のことを見つめるんなら鑑賞料として十分につき一万円取るわよ。」
(進藤)「専門書もいいが、患者との会話も勉強したらどうだ。」
こずえが言ったことを無視して進藤は言った。
(こずえ)「?」
(進藤)「クレーム入っているらしいぞ、恐いって。」
(こずえ)「私の笑顔は安売りできるものじゃないわ。宝石でも、絵画でも本当に価値があってすばらしいものは、なかなか見せてもらえないことが多いじゃない。」
(矢部・太田川)「・・・」
(進藤)「患者とその家族は色々不安があって医者と話がしたいものなんだ。もっと笑うことを心がけろ。」
(こずえ)「ふーん、なるほどね。」
数日後、ICUにて・・・
(患者の家族)「先生、どうなんでしょうか?」
(こずえ)「豪華客船に乗ったつもりで安心なさって結構ですわよ。なんたって私が主治医なんですからオーホホホ!」
進藤が見たのは患者とその家族の前で高笑いをしているこずえの姿だった。
(進藤)「まだ何かが間違っているんだよな・・・」
(桜井)「進藤先生。『あの女医さんで本当に大丈夫なのか?』っていう問い合わせが増えているんですけど・・・」
それはそうだろう、患者達の前で高笑いをする医者なんて港北医大、いや日本中探したってこずえくらいのものだ。進藤がそう思っていると、いつのまにかたまきが隣にいた。
(香坂)「こずえに変なこと言うからよ。あなたの責任よ、自分でなんとかするのね。」
たまきは言いたいことだけ言うとさっさと出て行ってしまった。
その後、しばらくの間
(こずえ)「『患者を安心させる笑顔』ってどんな笑顔なの?ねぇ人に指示ばっかりしてないで、やって見せてよ。」
と言って進藤を追い掛け回すこずえがいたるところで目撃された。