捕らわれの災厄の女神 2

事情があって救命に預けられた医師・雨宮こずえ。彼女の行く先々で騒動は起こる・・・

進藤・たまき・拓海は死亡率の高い伝染病に感染したかもしれないこずえを見舞いに、こずえが軟禁されている隔離病室にやってきた。

(こずえ)「こんなもので力が出ると思っているの!アメリカンクラブサンドとサラダ、それにコーヒーを持ってきなさい!」

こずえの怒鳴り声とともに秋山が転がるように出てきてあわてて駆け出していった。進藤がノックをしてドアを開けるとこずえの前の職場の同僚・江木が居た。

(こずえ)「この病院の医師ってのは勇気があるのが随分いるのね。三人そろってお見舞いにくるなんて。」

(江木)「俺は呼び出されたんだと思ったがな。じゃ、これ持っていくから。」

こずえの言葉に江木は苦笑を浮かべながら出て行った。

(香坂)「私が軟禁されたときより部屋の様子が・・・」

部屋のベッドなどの調度品がたまきが軟禁されていたときよりも豪華になっている。

(こずえ)「あんな硬いベッドじゃ安眠できないって言って替えさせたのよ。他のものも安っぽいからイヤだって言ったの。いつもは謙虚に生きているんだから、多少のワガママは許されるわ。」

どこが「謙虚に生きている」のか疑問だが、こんなときまでワガママ放題だったようだ。

(拓海)「なんで江木さん呼び出したんだよ。」

(こずえ)「暇だったから内科の平尾教授と瀬野教授に手紙を書いたの。多分、拓海は『やめろ』とか文句言うと思ったんだもの。江木に届けてもらうことにしたのよ。」

(拓海)「俺がとめるってことは・・・」

(こずえ)「たいした内容じゃないわよ。ただ単に、彼らに対して知っている思い出を書いただけ。あの人達今日は製薬会社の接待で、明日はゴルフだけど落ち着かないでしょうねー。」

つまり、こずえの知っている秘密をネタにした脅迫状を書いたということだ。

(進藤)「なんでそんなことをしているんだ。」

(こずえ)「だって私がこんなところに軟禁されているのに、あいつらは楽しんでいるなんて悔しいじゃない。頭を使うとお腹すくって本当よね。手紙書いてたらお腹がへって。」

(進藤)「八つ当たりじゃないか。」

(こずえ)「そうよ。私は死の恐怖と戦っているの、これくらい許されるべきよ。」

(全員)「・・・・・」

拓海が静かにこずえが座っている応接セットに近づいたと思ったら、テーブルの上にドラキュラの人形を置いた。

(こずえ)「?」

(拓海)「お前は男と駆け落ちした貴子さんを追ってルーマニアに行ったことになっているんだ。土産がないとおかしく思われる。」

(こずえ)「は?ルーマニア??どうしたの、これ。」

(香坂)「事情を聞いたおじ様がカバンから出してきたの。」

秀一がなぜそんなものを持っていたかは謎である。その後、拓海を残してたまきと進藤は戻っていった。

(拓海)「俺にできることは何かあるか?」

(こずえ)「心配しなくてもいいわよ、私は平気・・・・」

こずえは言葉の途中で、拓海に抱きしめられていた。

(拓海)「俺にまで強がるなよ。」

拓海はこずえに顔を近づけていったが、拓海の唇を受け止めたのはこずえの手だった。こずえは静かに首を振った。

その頃、進藤とたまきは屋上にいた。

(香坂)「こずえ、大丈夫よね。」

(進藤)「きっと大丈夫だ、信じよう。」

たまきは頷き、進藤はたまきの肩をだいた。

 

End

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