急襲 特命刑事・小日向庸介 龍 一京 著 光文社文庫
☆☆☆☆
龍 一京の刑事ものシリーズの文庫最新刊である。
40才を迎えて独身である小日向刑事の活躍を描いているが、今回は相棒の独身美人刑事若宮あざみが、犯人たちの自動車事故を装った事故に巻き込まれ、活躍する場面がまったく出てこない。
そればかりか、右足切断と言う刑事生命の危機にさらされる。
最終的には警視庁に残ることになるのだが、どのような形で登場してくるのか、はたまたもう出てこないのか、次回作が楽しみである。
当然、小日向刑事の思い入れの深さから登場してくることになると思うのだが、刑事は2人で行動することが本来で、今回の作品にも若手の男性刑事が登場している。
3人での展開はちょっと難しそうに思うので、どのような形に仕上げてくるのだろうか。
それにしてもこの「急襲」は、登場してくるかなりの数に上る人物すべてが犯罪にかかわってくる。
また、一見関係ない事件、事故が後になって関わってくるのであるが、 その構図はかなり把握が難しく、310ページ余りの文庫ではすべてを書ききれていないように感じた。
枚数の制約もあるのだろうが、もう少し様々なエピソードも加えつつ書き上げたら、奥深い作品に仕上がったのではないかと思う。
龍一京の小日向刑事シリーズは小気味良い展開と主人公の小日向刑事の心情の揺れ動きが人間らしく感じられるだけに、惜しい作品である。
しかし、一気呵成に読みきってしまったのは、龍氏の文章のテンポのよさと展開の面白さにあったのは言うまでもない。