白髭 蚊トンボの冒険 藤原伊織 著
☆☆☆☆
藤原伊織の作品は、読むのは2本目。
今回の作品は、蚊トンボ「白髭」が突然頭の中に入り込んでしまって、主人公の筋肉組織を操作するという奇想天外な話である。
主人公は、水道配管工の見習い。
そこにヤクザ、経済アナリスト、施工主の娘(業界紙記者)、コンピュータオタクがからんできて・・・・
蚊トンボの白髭が妙に存在感があるのが不思議。
これは、僕だけに感じることなのだろうか・・・・。
あまり詳しく言ってしまうとこの本の中身がばれて無粋な感想になってしまうのだが、一言だけ。
この配管工の見習君、一般的な教養は余りあるとはいえないが、知識を吸収する優秀な頭と、人を自然と思いやる優しさを優しく見せずに動き回れる一種の痛快さを持っている。
そこに絡んでくる脇役のヤクザと経済アナリストの関係には、ややご都合主義もみられ、現実感の喪失もみられるが、それを補うだけの筆力で読ませきってしまう。
ただ、最後は・・・・・こんなものなのかなと思うが、どっちにころんでも「こんなものか」と思ってしまうような気がする。
もちろん、その結末で左右されないだけの一冊になっている。
で、恒例にしたい、この本の中の一言
「インテリは自分の知っている世界が、当然だれにでも通用すると考える習慣があるらしい」
「教養ってやつは、無自覚であればあるほど手に負えない不作法なところがあるらしい」
当たってるな〜とつい思ってしまう。
自分の知ってることは、得意な分野については、なんでもないように思ってしまう。本当に簡単なことだと思ってしまうのだが、それを知らない、不得意な人々にとっては、訳の分からないものでしかないのだ。
それを自覚しないと、ほんとうに不作法になってしまっているのかもしれない。
考えさせられる二言である。