Dolls
| 映画DATA | 2002年 | 日本映画 | ![]() |
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| 監督 | 北野 武 | 『HANA-BI』『菊次郎の夏』『BROTHER』 | ||
| 主演 | 菅野 美穂 | 『富江』『催眠』『化粧師』 | ||
| 西島 秀俊 | 『マークスの山』『LOVE/JUICE』 | |||
| 上映時間 | 1時間53分 | |||
| 配給 | 松竹映画/オフィス北野 |
☆☆☆☆(難解だな、映像の美しさとストーリーの展開が光る映画)
北野武監督10作目の作品。
いままで、北野作品はTVで宣伝されるたびに敬遠してきたのだが、今回は試写会が当たってしまったのでついつい観てしまった(笑)。
過去の作品としては、「その男、凶暴につき」をビデオで途中までみて、ちょっとね・・・という感じがあったので、観ることはなかった。
観終った感想としては、これをなんでベネチア映画祭で箔をつけなければいけなかったのだろうか、ということだった。
TVではベネチアで落選したことで、この映画自体が余り評価されていないようだが、僕としては傑作の部類に入ると思っている。
残念ながら今までの北野作品を評価してきた人にとっては、この映画は北野武らしくないということで、酷評もあるだろう。でも、北野武作品ということを抜きにして考えれば、いい映画に仕上がっていると思うのだけど。
文楽の近松門左衛門「冥土の飛脚」をモチーフにして、ある程度忠実に従ったことで、結末は見えているのだが、北野なら・・・という期待を抱いてしまった。
それが裏切られるか、やはり北野か・・・は見てからのお楽しみ。
他の映画批評では、「映像の美しさ」「日本の風景を見事に映し出し、幻想的な映像の世界」にした、と謳っているものも多いが、単に映像の美しさなら、他にいい映画はいくらでもある。(最近では「阿弥陀堂だより」など)
しかし、ここで北野武が捉えた「日本の四季」は、映画のテーマとなっている「情念(愛というべきなのかもしれないが、僕は敢えて情念という言葉を使いたい)」を感じさせている。
「Dools読本」の中で、北野自身がいっている「桜は咲いて散るものという、すごく儚いものとしての扱いがあるし、紅葉の赤というのは死んでいく葉が落ちていくという。雪の白さもそれなりの意味はあるし、それを説明すればいくらでも説明できる。だけど説明のいらないことも同じ価値があると思うしね」の中にすべて集約されているのではないだろうか。
あえて余計な台詞は一切省いて、映像ですべてを見せていく。すべてを語っていくという手法は、この作品になくてはならない手法であったと思われる。
それにしても、情念は死によってでしかその炎を消すことができないのだろうか。
3組の愛を取り上げているが、すべて情念としかいいようのないものである。
人間の儚さ、脆さはそうなのだろうか。
いい作品で、難解な作品だけれど、もう少し・・・というところを感じたので、ここでは批難を恐れることなく「こうしたらもっと良かった」と思ったことを臆面もなく書いてみる。
最初の文楽の場面・・・観客の映像は必要だったのだろうか?観客は映さず、文楽だけのほうが良かったのでは?
春奈の追っかけ温井の最後の場面・・・死体を見せる必要があったのか?血と杖だけで語ってしまうのは良くないのだろうか?
佐和子と松本の最後の場面・・・転がり落ちていくよりも滑っていくのでは当たり前すぎるのだろうか?それと最後は遠景だけではいけないのか?
いい作品だったと思う。しかし、難しい。