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はじめに、私がなぜジブリ作品を取り上げようと思ったかというと、ただ単にジブリ作品が好きだということもあるが、何度見ても飽きないドキドキ感や見るたびに新鮮な感動を持てるこれらの作品についてよりよく知りたいと思ったからである。
スタジオジブリとは1985年に設立された。イタリア語で”砂漠に吹く熱風“という意味のギブリを宮崎監督が間違ってジブリと読んでしまいそのまま名づけられた。
まずジブリ作品とその記録を紹介する。
一作品目は1984年に公開された『風の谷のナウシカ』。この作品はスタジオジブリ設立前に作られたものである。映画化するという案を会議に出したところ原作が無いものなど無理と言われたことから1982年に雑誌上で漫画として連載開始されてから作られた。観客動員数91万4767人、配給収入7億4200万円を記録した。
二作品目は1986年公開の『天空の城ラピュタ』はスタジオジブリ設立後初の作品でジブリ作品の人気ランキングでは常にトップになるほどの作品である。
三作品目は1988年公開の『となりのトトロ』。はじめタイトルは『ところざわのとなりのおばけ』であった。この作品も案を出したところ「昭和三十年代の日本(戦後の貧乏な時代)の映画なんて誰も見ない、その上お化けの話とはなんだ」ということで反対された。そこで二本立てならどうだということで『火垂るの墓』を高畑監督で作るという案を出してみたところ「お化けだけでも頭にきていたのに墓までつけるとは何事か」と怒られた。しかし、火垂るの墓の出版社新潮社から製作を買って出てくれたことから映画化決定となった。
高畑監督作品の『火垂るの墓』は実写を超えたアニメーション、日本をきちんと描いたアニメ作品としてその年の映画賞では大きな評価を得た。観客動員数80万1680人、配給収入5億8800万円。火垂るの墓はいまでも終戦記念日近くになるとテレビで放送されている。『となりのトトロ』と『火垂るの墓』この両極端なドキドキ感を受ける作品を同時に見た人は一体どんな気持ちになったのだろうか。
四作品目は1989年公開の『魔女の宅急便』。この作品から日本テレビが製作に参加し、観客動員数も一気に伸び、今までの約4倍の264万619人、配給収入21億7000万円となり、その年の邦画1となった。宮崎監督の新作が出るたびにこの作品が金曜ロードショーで放送される確立が高いのはその為であると思われる。
五作品目は1991年公開、高畑監督作品の『おもひでぽろぽろ』。この作品では多くの新人スタッフを使い、リアルな人の動きを追求していった。観客動員数216万9435人、配給収入18億7000万円。
六作品目は1992年公開の『紅の豚』。宮崎監督の趣味全開で作られた作品で、後に監督自身があまりにも趣味に走り過ぎてしまったので作らなければよかったと発言したほどだった。観客動員数304万9806人、配給収入27億1300万円。
七作品目は1993年公開高畑監督作品の『平成狸合戦ぽんぽこ』。観客動員数325万4132人、配給収入26憶5000万円。
八作品目は1995年公開、近藤善文監督作品『耳をすませば』。『OnYourMark』という短編作品と同時上映された。観客動員数208万8967人、配給収入18億5000万円。
九作品目1997年公開『もののけ姫』。企画段階のとき『毛虫のボロ』という毛虫が隣の木に移るまでの冒険を描いた話と『もののけ姫』のどちらを映画化するか迷っていたが宮崎監督の体力的にも今戦いを扱った体力のいる作品を作っておかなければ後に作れるかどうかわからないというプロデューサーの意見から『もののけ姫』が選ばれた。宮崎監督はこの作品を最後に引退すると宣言していたが、やり残した事がある、煩悩には勝てないというようなことから引退はなくなった。この作品からディズニーと提携。観客動員数1512万人配給収入120億円を記録し、夢の配給100億円を突破した。そして、興行収入は193億円で日本歴代1位となったが『タイタニック』によってその記録は破られた。
十作品目は1999年公開高畑監督作品『ホーホケキョとなりの山田くん』。
この作品でジブリは設立以来の挫折を経験した。16億円かけて作られた作品であったが配給収入が約半分の8億円ほどにしかなかった。配給目標を60億とし、主に今まで公開してきた東宝だけではなく、たて直しをはかり初めて参加した松竹に大きなダメージとなった。いろんな原因の一つに期待が大きすぎた事があった。前作の『もののけ姫』の記録的な大ヒット、ジブリ作品に外れはないといった周囲の大きすぎる期待から松竹は大型の映画館を用意した。しかしこれが裏目に出た。今まで主だっていた東宝では中小劇場をあてがい、いかにも人気で超満員で立見まで出ているといったちょっとした作戦から動員数を増やしていたのに対し、大型劇場ではやはり空いているように見えてしまったようである。「この映画で不況を笑い飛ばして欲しいと思っていたのだけれど思うようにはいかなかった」とプロデューサーも語っていた。
そして十一作品目は2001年公開、宮崎監督作品『千と千尋の神隠し』。
この作品から宮崎監督が体力的にも疲れてきたことから今までは1人ですべて見てきた作業を安藤さんと言う30代の若い人と分担していく形となった。この映画は私も劇場へ見に行ったが凄い人気で昼の部の放映を見る為に一時間半ほど早めに行ったにも関わらず夕方の部、しかも一番後ろの席となった。
観客層は老若男女問わず様々。親が子供より真剣に見入っていて子供は帰りたいと泣き叫んでいた。ただただ不思議で何かよく分からないというのが正直なところである。しかし、見終わった後も数回お金を払って見てもいいと思えるほど良い気分になれた。観客動員数00000配給収入000000.
以外に知られていないジブリ作品としては日本テレビの金曜ロードショーのオープニングの映写機を回すおじさんがある。あと1993年にテレビ放送された『海がきこえる』と言う作品がある。この作品では『おもひでぽろぽろ』に携わっていた新人ばかりで作られた作品で、夕方放送では視聴率一位の17.4%を記録した。
なぜ人はジブリを見るのかを考えてみたところ、まず絵の凄さだと思った。とにかく綺麗の一言だ。ディズニーと比較してみるとディズニーは本当に絵本からそのまま飛び出して動いているといった感じがする。あくまでも登場人物が主役といった背景であるのに対し、ジブリ作品は裏の主役といえるほどの背景、現在どこかに存在しているであろう風景、より現実に近いように思う。その風景の中に実際自分は存在しないし、経験したこともないはずなのに懐かしいものを感じることができる。『おもひでぽろぽろ』の中で「田舎が無い人ほど田舎に憧れるものだ」というシーンがある。昔から憧れていて手に入れたいと思っていたもの、昔は手に入っていたもの、何でもあるはずの現代で昔よりも手に入れるのが難しくなってしまった今、現実よりも更に美しく変化することなく生きている様が描かれたそれらの風景は人の欲求を満たす薬となっているのではないだろうか。
宮崎監督作品と高畑監督作品を比べてみると、宮崎監督作品はどこまでも夢を見せてくれ、その中で人の間違いを諭している。高畑監督作品はただひたすら現実を淡々と見せてくれているように思う。