無限の距離


暗闇。何も見えない程の漆黒の世界。

きっとこれは僕の心の中。

どんなに月が僕を照らしても、

僕の心は闇の中。



   小さな月が光る夜

   太陽の来ない朝

僕にとって、どちらも闇には変わりない。




「とくい?」
「ん・・・。」
急に明るい場所に出て、眩しさに目を細める。
目の前には福田。ここが自分の部屋だと気付いた。
「あ、ゴメン。起こした?」
「いや…ええわ。もう起きる…。」
体を起こして、周りを見渡す。

    ――――――――――ここには『太陽』は居ない
                     もう『太陽』は居ない


「隣座んで?」
「んー。」
俺の隣に福田が腰をおろす。ギッとベッドが声をあげる。
俺はぼんやりと、遊ばせている指を眺めた。

「あ、そーいえば昨日なぁ」
「うん?」
他愛も無い話。

                    ――――――僕の隣で笑う『月』


どんなに『月』が目映く輝いても

僕の闇が晴れる事は多分、無くて


『太陽』が光らない限り

僕は暗い闇の中



「なぁ・・・」
「何?」
「大阪と東京てどれ位離れてる?」
「さぁ?・・・知らんけど、300km位ちゃうか?」
「そ・・・か。」
「それが何?」
「いや・・・別に。」
歩けば何日かかるだろう?
なんて、バカな事を考えながら、俺はまた目を閉じる。
黒い闇が溢れ出して・・・・・・
隣で輝いている月光すら飲み込んでいく。


僕達の距離は無限。

ふくらみつづける不安は無限。


僕を闇から連れ出してくれる『太陽』は居ない。

ここには居ない。


手の届かない『太陽』よりも

僕を愛してくれる人を愛そうか、

そんな事を思いながら

『月』の体温が残るベッドの中


あぁ・・・それでも 『太陽 (アナタ)』が好きだ。

(2002.10.4)