「NETでマイム」


2002.AUTUMN〜WINTER.12.12


いよいよパントマイムの授業も残り2回となりました。テクニックはさることながら、演技や表現に重点をおいての授業です。パントマイム講座と銘打ってはいますが、パントマイムを使わないこともやります。JAROに訴えられても文句は言えません。なぜなら、パントマイムでは言葉を使わないから・・・。さあ、残り2回黙々と頑張りましょう!

 まずは大きな輪になって歩きます。前後の人との間隔を大事に取ります。特に後ろは見えないので背中で感じ取ってください。石山先生が手をたたくと全員がいっせいに止まります。一人でもタイミングがズレたり、グラついたりするともう一度やり直しです。全員が一瞬でピタっと止まると、見ていてとても綺麗で気持ちのいいものです。群集マイムの醍醐味です。
 もう一度歩きましょう。今度石山先生が手をたたくと皆さんは「象」になって歩き続けます。ここで、「象」といっても鼻をブラブラさせたりという形態模写ではなく、気持ちが「象」の気持ちになって歩くという事です。イメージとしては、堂々として、それでいて気は優しくて力持ちといったところでしょうか?手をたたくと元の人間の歩きに戻ります。
次に手をたたくと百獣の王「ライオン」に。次は「キリン」に。「ネズミ」「ワシ」「ドイツ人」「30年後の自分」になります。このレッスンには正解はありません。その人の気持ちが入っていればそれが正解なのです。


ゾウ・キリン・ライオン・ネズミ・ワシ・ドイツ人(ゴールキーパー)・30年後の自分



今度はテクニックも使用した「気持ちとスピード」のマイムです。設定は探検隊。一本橋を渡り、草村を抜け、人ひとりがやっと通れるだけの絶壁の崖を渡ります。テクニックのポイントとしては、「一本橋」は綱渡りの要領で、自分でバランスを崩します。「草村」は足元から上から覆い繁る木々を掻き分けて進みます。「崖」は壁を背中に作り横移動です。これら3つの気持ちのポイントは、探検隊ですから、これから何が起こるかわからない「不安」な表情。そして、探りながら進みますから自然とその歩みはゆっくりなものとなります。崖を渡りきると、そこには想像をしなかったものが・・・!(これは何かは表しませんが、いかにビックリしたかは表現者の表情で見せます。)急いで今来た道を戻ります。「驚き」「焦り」で帰り道はスピードアップです。来た時の丁寧なテクニックはいりません。テクニックがあまくなっても「気持ち」と「スピード感」を大事にします。最初の場所に戻って安堵感からの大きな深呼吸で終わります。


この日最後の発表のテーマは「釣り人」です。4人一組になって釣りをします。竹竿を伸ばし、糸を手繰り寄せ、餌となる虫を付けて池に釣り竿を投げ入れます。ここからが即興。魚が掛かった人。引きだけで餌を取られる人。掛かった魚の活きが良く隣の人の釣り場に干渉してしまう人。糸が絡まる人達。一人ひとりでストーリーをこなすより他の人と絡んでいくとそこにドラマが生まれます。糸が絡まったら怒る人あり、恐縮するひとあり。人の釣り場まで進入してしまった人はどんな気持ちなのか。テクニックよりもその場の表現者の気持ちを大事にします。



釣りと言えばこの人。あまり釣れないんでしょうか?険しい表情です。さすが演技派。


頭で考えるのではなく心で動く、その瞬間が表現をしている人の一番本当の姿であり、一番輝いているのです。



引き続き
今クール最終回!「NETでマイム」



2002.AUTUMN〜WINTER.12.19

 さあ、最後です。今クールもご愛顧いただきましてありがとうございました。受講された皆さんが、そして、これを読んでいる皆さんが少しでもパントマイムを好きになって貰えればこのコーナーを続けてきた甲斐があります。来年からも石山先生の下、力いっぱいマイム三昧でお送りいたします。それではファイナルレッスン・スタートです。


 この日はいままでのレッスンの集大成。パントマイムは「カベ」に始まり「カベ」に終わるといわれているように、カベのおさらいから始めました。手のひらに緊張感を持続させるのを大切に。そして、カベを「押す」押される」です。押す場合は胸の前に作ったカベを腕を伸ばすことによって前へ移動させます。腕が伸びたら、手をその位置に固定しておいて一歩前へ進んで肘を曲げます。押される方は腕を伸ばした状態でスタートです。押す側のスピード・呼吸を良く見て肘を曲げます。手をその位置に固定しておいて一歩下がります。
手だけで「押す」「押される」とカベ(透明な箱)は軽く感じます。腰を入れ、胸を突き出してから腕を伸ばすと箱の重さが表現できます。押される側は手、胸、腰の順で下がります。
ひとりでカベを作るのと違って二人で行う「押す」「押される」のマイムはかなり高度です。相手の動きを見て、呼吸を感じ、合わせなくてはいけません。この「見る」という作業、普段はあまり意識しませんが、マイム(特にデュエットや群集マイム)では重要です。しかし常に意識していれば意外と簡単に身につきます。今度はもうひとり交えて3人でやってみましょう。透明の箱を「押す」「押される」とその箱の中に入っているマネキンです。マネキン役の人は「人形」でやったように動きません。しかし箱が押された時にすり足で移動しなくてはなりません。顔は正面を向いていますから、あからさまに「見る」のではなく、「盗み見る」(舞台人は「盗む」という言い方をします)ことで、押される瞬間を感じ取ります。これもかなりの高等テクニックです。


さて、いよいよラスト即興です。いままでの集大成ですね。お題は「今日の出来事のワンシーン」。昔ドゥー企画で松元ヒロさんにパントマイムのレッスンを受けていた頃、その日の新聞の記事をマイムで発表するという訓練をやりましたが、それに近くとても高度で難しいレッスンです。その人が思い描く日常をとても短い時間で表現しなくてはいけません。ストーリーを構築する構成力も必要になります。しかし今回はそんな難しい事を抜きにして皆さんの「楽しく演ずる姿」を大切にしました。上司から頼まれごとをされた時の「自分でやればっ!」という気持ち。朝、慌てて目覚まし時計を止めた時の焦りの気持ち。家で折り紙をする時の夢いっぱいの気持ち。そんな皆さんの気持ちが見ている人全員に伝わってきた良いレッスンでした。

何度も同じ事を書いていますが、石山先生は常にこう言います。「パントマイムは飽くまでテクニックでしかなく、大切なのは表現する人の気持ちである」と。そして気持ちを表現する為には「恥をかくことを楽しむ」のだと。
 
 来年もいっぱい「恥をかいて」もっともっとうまくなりましょう。今クール、そして1年通してお付き合いくださいました皆様、お疲れ様でした。そして来年も宜しくお願いします。
講師・石山博士
アシスタント・エディー




皆さん、お疲れ様でした。笑顔で記念写真!




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