「NETでマイム Reloaded」


2003.SPRING〜SUMMER.5.22


 前回の予告通り、今回は『人形振り〜doll mime』です。「フランス人形」や「五月人形」や「五月みどり」など、人形にも様々な種類がありますが、ここで演るのはショーウィンドーの「マネキン人形」ですね。でも動いたりします。それではレッスン開始いたしましょう。


 人形振りのポイントは、
 1.身体を動かさない 
 2.動かすときは一度に幾つもの部分を動かすのではなく、ひと関節だけを動かす。
 3.動かすリズムに気をつける
 です。

 1のやり方としては、まず、足を肩幅に開き、上半身をリラックスさせます。リラックスなんですが、手をブラブラさせたりはせず、ピタっと止めます。
 動かさないというと、どうしても力をいれてしまいがちですが、力を抜かないと力が入りませんし、力が入っていると綺麗には見えません。自然体でピタっと止まっているとそれだけで、不思議感が出せます。
 ちなみにこの時、脇にボール1個が入るくらいあけておくと、立ち姿がより綺麗に見えます。脇が閉まっていると、表現が小さくなり、また、無駄な力が入る原因にもなります。



     
 人形オンパレード。真中の人形、めっちゃセクシー!でも脇が閉まってますね。



 2についてですが、これは、止まっている不思議感が、動き出すことで更に不思議さを増す効果を狙っています。一度に一箇所だけしか動かないのは、見る人には不思議な現象に映るのです。
 一度に何箇所も同時に動いてしまうと、見ている方も、その不思議さから一気に現実に引き戻されてしまいます。ヒトは動くものに目をやるという習性がありますから、一度に何箇所も動かしてしまうのは演者からすると、見せ場を分散してしまい、非常にもったいないのです。

 2のレッスン方法として、2人一組になり、ひとりが相手の腰を掴みます。腰をつかまれている方が人形役。掴んでいる方が、人形を操る“人形師”の役です。

 石山先生曰く、「辻村ジュサブローのように…」との事ですが、僕を含め、生徒さん一同「誰っ?」って顔をしてました。

 人形師が人形の腰を右に回転させます。人形役の人は自分の意志で身体を動かすのではなく、腰に触れている手の動きを感じてから腰(上半身)を回転していきます。
 右まで行ききったら、人形師は手首を奥に返して、腰を折るように仕向けます。人形はやはり、自分の意志ではなく手の動きを感じてから、腰を折り(前傾姿勢)ます。
 注意点として、腰を折る場合、腰の一箇所しか動かしていない。つまり、首や腕や手は止まっている最初の姿勢を崩さないという事です。右に回転するときも、首や腕は越しに乗っかっていますから、ピタっと止めた状態でそのまま回転していきます。
 特に前傾になる場合、首も前に折れてしまいがちになるので、意識して首はまっすぐにしておいて下さい。

 今度は人形師が倒れた上体を起こします。背骨が腰の上にまっすぐ乗ったら、左に回転していきます。人形師が回転・傾斜させる時に「スーッ」という声を出してあげ、人形もそれにあわせて身体を動かすと、3に繋がる一定のリズムが保てます。


   
リカちゃん、ウルトラマン、からくり人形。ウルトラマンの立ち方、きれいです。 



 3のリズムについてですが、これには2つの意味があります。

 ひとつは、一関節を動かすスピードについてです。例えば肘を動かす場合、動き出しのスピードと、途中と、止まる間際のスピードは、全く変わりません。車に例えれば、ギアをサードから入れて、サードのスピードで動かし、止まる寸前までサードで動かす。という事です。ローから入れて、セカンド、サード、トップというように、スピードの変化があると、人形の無機質な感じは無くなり、人間っぽくなってしまいます。最初から最後まで一定の速度で動かしましょう。

 もう一つの意味は、例えば指→手首→肘→腰と動かす場合、この4箇所の動かしている時間を変えるという事です。指3本をを「スーッ、スーッ、スーッ」と動かした後は、手首を「スーーーッ」。肘を「スッ」。腰を「ス〜ッ」。手首と肘の間に動かさない時間があると、よりアクセントが付いて不思議さが増すでしょう。
 全てが一定のリズムになると見る方が飽きてしまいますので、見る側の予測を裏切る(すなわち、不思議さや驚きを与える)ために、リズムは変えておきたいものです。


    
サブちゃん、イチロー、サミー・ソーサー。ソーサーの人形の中味はもちろんコルクですけど。



 最後は人形のノウハウを使っての作品発表です。テーマは公園に集まる人が人形だったら…。鬼ごっこをする子供。犬や子供を散歩させている人が人形の動きでカクカクと動きます。


 この人形のテクニックは色々なところで使えます。会議の途中に報告書を読んでいて、突然ピタっと止まりしばらくしてからその続きを読んでみたり、おにごっこの最中に人形になって、捕まえようと躍起になっている鬼をやり過ごしてみたり用途は色々。
 各人、研究して実生活に役立てて下さい。