「NETでマイム Reloaded」


2003.SPRING〜SUMMER.6.12


 前回はテクニック三昧のレッスンでしたが、今回はその真逆。受講生の皆さんが大好きで、大嫌いな『即興』の時間です。頭で考えると憂鬱になりますが、いざ演らざるを得ない状況になってみると、身体が勝手に動いて楽しいモノです。身体をふんだんに使ってお付き合いいただきましょう。


 即興コーナーpartTは前回使用した『棒』のマイムを使った、『棒のリレー』です。
 これは頭を使って考えるのではなく、身体の動きから、徐々に違った動きにスライドしていく、身体で考えるレッスンです。


 
棒のリレー…ってそのまんまじゃーーん!


 例えば棒状のもの、ここではバットを振っているマイムを演ります。次に演じる人は、まずバットを振る動きをしてから、身体の動きを止めないで、違う動きに変えていきます。バットを振るには腕を軽く伸ばし、腰を回転します。それを何度も繰り返していくうちに、いつかは腰の回転が止まり、腕だけが動いています。
 腕は動かしつづけます。腕を大きく、今まで横に振っていた動きを、少しずつ斜めに、そして、縦に動かしていく。すると、これは何の動きに見えますか?剣道の竹刀を振る動きにも見えますし、畑でクワを振り下ろしている姿にも見えます。「あ、この動き、剣道に似ているな。」と思えば、そこから足を前後にステップして、いままでおぼろげな剣道の動きだったものを、しっかりと、「剣道のマイム」に作り上げていけば良いのです。

 次の人は「剣道の動き」を一度演ってみてから、崩して違う動きにスライドしていきます。以後繰り返しです。

 ポイントとしては、「棒」はマイムで“作って”いますから、棒の長さは演者の思い通りに変える事が出来ます。先ほどの例ですと、バットから棒を縦に振った時、その棒の長さは必ずしもバットの長さにとらわれる事なく、長ーくなって釣りざおにしてみたり、短ーくして指揮者の指揮棒にしてみたり、演じる人の想像力(創造力)でいくらでも違ったものに変化できるのです。

 この日のレッスンでは受講生の皆さんが順番に演って3回りする位、充分な時間を割きました。演っているうちに皆さんコツが掴めてきたようです。あまり真剣に考えないで、気楽に楽しんで演るのが上達の鍵でしょう。



動きから連想していきましょう。頭で考えてはダメですよ。


 即興コーナーpartUは即興の楽しさを更に満喫してもらう『即興演技』です。
 お題は「喫茶店で待ち合わせた男女」です。男女ペアで1チームになり、女性が喫茶店でお茶(この場合のお茶は焙じ茶ではないです。)を飲んでいます。椅子に腰掛け、テーブルに肘を付き、カップを指先で掴んで口元に運ぶ仕草はすべてパントマイムです。

 そこに、男性が遅れて入ってきます。自動ドア?それとも押すタイプのドアで、明けた瞬間にカランカラン鳴っている?これもマイムで表現できます。
 男性が椅子に座り注文すると、離れたところに座っているあの女性は、もしかして?僕の知り合いじゃないか。女性に向かって手を振ってみる。それに気がつく彼女。しかし、衝撃の事実が・・・

 男性は女性を知っているはずが…女性はその男が誰なのかさっぱり解らない。女性の近くに移動し、何とか自分だよと告げる男。言い寄ってくる自分の知るはずもない人物から何とかして遠ざかりたい女性。ついにふたりは…。

 ここからは即興で皆さんが考えて下さい。女性が怒って喫茶店を後にするのか?それとも女性がド忘れしていただけで、彼の事を思い出して意気投合して店を変えるのか?それとももっと違った展開が生まれるのか?



人生は“即興”ですよ。だからといって、煮詰まったり壁にぶつかった時に、
こんな人には相談したくないものですね。


 今日行った『即興』には正解はありません。どれもが正解であるし、どれもがもっと工夫すれば、より面白い作品になりえます。
 ただ唯一言えるのは、演じている人があれやこれや頭で難しく考えるのではなく、身体を動かしながら楽しく考える。そしてそれが身体を通じて表現できた時にこそ、それが“正解”なのでしょう。