American Flyer
(1976年)


収録曲

1, Light Of Your Love
2, Such A Beautiful Feeling
3, Back In '57
4, Lady Blue Eyes
5, Let Me Down Easy
6, M
7, The Woman In Your Heart
8, Love Has No Pride
9, Queen Of All My Days
10, Drive Away
11, Call Me, Tell Me
12, End Of A Love Song



参加アーティスト
Eric Kaz / Harmonica, Keyboards, Vocals
Craig Fuller / Bass, Guitar, Vocals
Steve Katz / Guitar, Harmonica, Vocals
Doug Yule / Drums, Vocals

with...
Alvin Taylor / Drums
Scott Edwards / Bass

Produed by George Martin


エリック、クレイグ・フラー、スティーヴ・カッツ、タグ・ユールの4人によるグループがアメリカン・フライヤーです。
グループ結成のきっかけは、ルー・リードのマネージャーであったデニス・カッツがニューヨーク近郊のスティーヴ・カッツ宅にタグとクレイグを呼び、セッションを通じて意気投合した3人にエリックが加わった、ということです。
本作は、1976年に発表されたアメリカン・フライヤーのファースト・アルバムで、ビルボード誌のアルバム・チャートで87位を記録しました。
アルバムからは、"Let Me Down Easy"がシングル・カットされ、トップ100入りしています。

1曲目は、マイナー調のピアノにドラム、ヴォーカルと続く"Light Of Your Love"。
エリックとクレイグ・フラーの作品で、"毎日、君を感じていたいんだ。だから離れないでくれ。可愛い子よ、いかないでくれ。君の愛の光の中で生きたいんだ"と歌っています。
最初は暗い出だしなのに、曲が終わる頃には、とても明るい曲になっているのが印象的です。
Fred Beckmeierがベースで参加しています。

続く、楽しげで、明るい2曲目"Such A Beautiful Feeling"は、エリックの作品。
ピアノとアコースティック・ギターが絡み、"Guardian of my spirit..."と歌いだす出だしから引き込まれます。
"僕の魂の守護神が守っている。君は神聖で自由、僕の心をろ過した結晶から引き出した全ての感情を引き連れるんだ。それは、こんなにも美しい感情で、美しい日。君はこんなにも美しい女性で、本当に素晴らしい生き方を持っている"と歌っています。
エリックの来日公演では、彼がピアノで優しく弾き語ってくれ、その個人的には、その時のヴァージョンの方が気に入っていますが、このスタジオ・ヴァージョンも、魅力的です。

3曲目は、"Back In '57"。
スティーヴ・カッツの好バラード作品で、"君という女性は冷たい世界のキャンドルだ。僕は君にとって唯一の存在だって知っている......人生の友を見つけるのは難しいが、君は僕の真の友人だ。高校時代のことを考えていた。でも、君は、君を愛し、良くしてくれ、尽くしてくれる女性の男にしかなれないだろう。そして、いつか天国があると信じていた1957年に戻るんだ"と歌われています。
最初の"you"は、愛する女性に対する、次の"you"は、友人に対するものでしょう。
後半のサックスは、Emi Wattsです。

4曲目は、タグ・ユールの"Lady Blue Eyes"。
"時間が経つのを座って数えて、陽はまた戻るかと考える。この曲はいつだって時期外れ。でも、曲の背後にある愛はゴキゲンさ。城の守衛、青い目をした女性"と歌っています。
後半のコーラスが美しく、オシャレな作品です。
尚、フェンダー・ロードスはJoe Sample(クルセイダーズ)によるものです。

5曲目は、"Let Me Down Easy"。エリックとクレイグ・フラーの作品です。
どことなく、"Such A Beautiful Feeling"とも似ている曲ですが、綺麗なアコースティック・ギター、そしてベースが全面に出ています。
"なぁ、なんで俺から去らないといけないんだ?これ以上孤独になりたくなんか無いよ。俺の一部を連れて君がどこかに行ってしまうなんていつだって見てられないさ"と歌っています。

6曲目"M"は、スティーヴ・カッツの作品。
"昨日、僕は幸福への道を見つけたよ。でも、そんなに長くは続いていないんだ。....希望無しじゃ、人は孤独と対峙出来ない。何がいけないのか、分からない。僕は僕の曲を歌っている。君が来て、僕に触れる。"M"。僕はそうやって、また生きられるんだ"と歌っています。
ジョージ・マーティンによるストリングスのアレンジが効果的な曲です。

7曲目は、クレイグ・フラーの曲"The Woman In Your Heart"。
ジャケットの歌詞には、この曲だけ、バースやブリッジが記載されています。(どういう順番で演奏して欲しいのか、オーダーも書いてあります)
"君を正しく愛していないと?君に優しくないと?僕は出来る限りやってるさ。僕がやらないことなんて無いさ。君は僕の楽しい時間、愛の全てを持ってるんだから。でも君の心が壊れてるのが分かるんだ。僕も結局、そうなりつつある。何がいけなかったのか・・いつから存在したのか?探してるんだ。それは君の心に存在する"女"なんだね"と歌っています。
この曲でも、コーラスの良さが目立ちます。
ベースは、Leland Sklar(ヤング・セクション)によるものです。

8曲目が、エリックの中でも代表曲の1つ"Love Has No Pride"。
Libby Titus(現ドナルド・フェイゲン夫人)との共作で、1972年、ボニー・レイットがカヴァー、1974年には、リンダ・ロンシュタットが取り上げ、一躍、エリックの名を知らしめることになった作品です。(共作者のリビー・タイタスも1977年に歌っています)
"君の名前を呼ぶ時に、愛にプライドなんて無い。誰も責めるべき人がいない時、愛にプライドなんて無い"という歌詞は、とても印象的です。
歌詞カードと実際のヴォーカルが若干違っています。("I'd give anything to see you again"でなく"I'd do anything to see you again"と歌ってたりします)
尚、これも印象的なフィドルは、Byron Berlineによるものです。

曲調が一転して、リズミカルで明るい、タグ・ユールによる9曲目"Queen Of All My Days"は、アルバム中でも白眉。
"彼女が僕を喜ばせ、遊び、いじめるやり方って言ったら・・・彼女は僕の日々の女王なのさ"と歌っています。
結局、彼女のことが好きなのね、と言いたくなるような歌詞ですね(笑)

10曲目は、エリックらしいゆったりとしたバラード"Drive Away"です。
"今でも、君の顔をはっきりと見ていて、君が僕を呼ぶのを聞いている。この冷たい雨の中、虚しい闘いをしていたんだ。僕の痛みを払い去るために"と歌っています。
エリックの歌詞は、こういう内省的で、素直で、美しいものが特に素晴らしいと思います。

11曲目は、グレイグ・フラーの"Call Me, Tell Me"。
私は、この曲を聴くと何故か久石譲さんっぽさを感じてしまうんですが、なんでだろう?
効果的にストリングスを使っているからでしょうか。久石さんもジョージ・マーティンが好きなのかな。
と、話が逸れましたが、この曲では恋人と別れそうな主人公が、"僕を呼んで。話そうよ。明日会おう。君と同じ見方をすることは出来ないけど、君に示すことは出来ると思うんだ。君の考えや言葉に横たわる物事を"と言いながら、要するに、"考え直して"と説得しています。

で、最後の12曲目"End Of A Love Song"は、インストゥルメンタルなんですが、これが物悲しいんですね。
タイトルも、"ラヴ・ソングの終わり"だし、もしかして、結局、11曲目での説得も虚しく、別れてしまったんだろうか?(^^;)

と、ハイ・クオリティなラヴ・ソングが集まった本作は、名盤であり、のんびりと聴きたい1枚です。

また、その他、Larry Carltonがエレクトリック・ギターで、Rusty Young(ポコ)がペダル・スティールで、Gray Colemanがパーカッションで、Earl Dommlerがオーボエとイングリッシュ・ホルンで、Vince Derosaがフレンチホルンで、Harry Bluestoneがコンサート・マスターとして参加しています。
尚、カヴァー・ジャケットのデザインとイラストは、Bob Catoによるものです。

(日本盤CDの中田利樹さんの解説を参考にしています)