収録曲
1, Cruel Wind
2, If You're Lonely
3, Temptation (Took Control of Me and I Fell)
4, Time Has Come
5, Tonight, the Sky's About to Cry
6, Cry Like a Rainstorm
7, Mother Earth (Provides for Me)
8, When I 'M Gone
9, Someday, My Love May Grow
10, Christ, It's Mighty Cold Outside
参加アーティスト
Vocals: Eric Kaz
Grady Tate, George Duvive, Richard Davis, Tony Lavin
Chuck Rany / Bass
Bonnie Raitt / Slide Guitar
Tracy Nelson / Chorus
Diane Davidson / Chorus
Eumir Deodato / Strings Arrange
Producer: Michael Cuscuna
Engineer: Harry Maslin
Arranger: John Henry Andreolli
アメリカでは1972年に、日本では1978年にワーナー・パイオニアの名盤復活シリーズ第3弾として発売されたエリックのファースト・ソロ作品です。
長椅子に寝そべるエリックの写真による何気無いジャケット。しかし、実際、その中身は、珠玉の名曲が詰まった素晴らしい作品。
1曲目の"Cruel Wind"は、ベトナム戦争という時代背景が感じられる作品で、戦場でかりだされ失われた兵士とその家族の悲しみが歌われています。
物憂げなピアノから鼻にかかったエリックのヴォーカル、コーラスが聴かれるこの曲は、アルバムを代表する曲と言えます。
尚、スライド・ギターはポール・ディッカー、コーラスでホイットニー・ヒューストンの母・シシー・ヒューストン等が参加しています。
続く2曲目、タイトル曲の"If You're Lonely"も、ピアノを基調とした曲で、出だしのブルースハープはエリックによるもの。
"君が孤独なら"目を閉じて気を楽にしてごらん、と、優しくそっと語りかけるように歌われています。
ストリングス・アレンジも、暖かさをより鮮明に出しています。
ボニー・レイットがスライド・ギターで参加している3曲目"Temptation"は、誘惑に負けて街を彷徨い歩く男が、"いつか、君の待つ素晴らしい日に帰ろう"と歌う曲です。
"1000 years of sorrow"でのエリック自身のソング・ノーツによると、"ギターで作った曲。曲全体もそうだが、特にリード・ヴォーカルは、ギター・パートの周りに作り上げられ、ギターは歌にブルージーなキャラクターを与えていると思う"とのこと。
また"トレイシー・ネルソンは、この曲を彼女のバンド、マザー・アースと共に録音してくれた"そうです。
聴き所は、やはり、ボニーのギターです。
4曲目"Time Has Come"は、軽いながらも、どこか陰があるブルース調のピアノに、エリックが"臨終だ臨終だ。最期の時が来た。でも、怖く無かった。天国じゃ、父さんも母さんもゴキゲンさ"といった内容の歌詞を歌っています。
5曲目"Tonight, the Sky's About to Cry"は、ストリングス・アレンジが素晴らしい曲です。
この曲の歌詞の中にも、"If you're lonely"という言葉が登場します。
"孤独で、やり切れない心。そして、今夜、空が泣き出しそうだ"
エリックの曲には、ラヴ・ソングも多いですが、この曲のように、孤独と、その孤独から逃れようとする気持ち、そして、怯える心を優しく包むようなものも多いと思います。
叫ぶのでもなく、かといって、透き通った声で囁くのでもなく、朴訥と歌うエリックの声を、ストリングスの優しい音色がより効果的にしていると思います。
6曲目は、エリックの曲の中で最もメジャーな曲ではないでしょうか、"Cry Like A Rainstorm"です。
リンダ・ロンシュタットが1989年のアルバム"Cry Like A Rainstorm - Howl Like The Wind"でカヴァーしたことで有名な曲で(余談ですが、この作品に収録されている"Adios"では、当時、リハビリを兼ねて、様々な歌手のコーラスに参加していたブライアン・ウィルソンの声を聴くことが出来ます)、アルバム"Craig
Fuller/Eric Kaz"では、クレイグ・フラーも歌っています。
来日公演でも、この曲は、エリックが歌い出すと共に歓声も起こっていて、1番のハイライトとなっていました。
個人的には、ライヴでのピアノだけの弾き語りが1番好きなのですが("1000 years of sorrow"で聴くことが出来ます)、ここでのアレンジでは、バック・コーラスやストリングスが、ムードを盛り上げています。
7曲目は、"Mother Earth"。
トム・ラッシュもカヴァーしている曲で、エリック自身、ライヴでもよく歌った曲の1つです。
来日公演では、エリックのアコースティック・ギターに合わせて、"Mother Earth"の部分を、観客も一緒に歌い、盛り上がりました。
"これはギターで作った曲で、僕の作る曲は殆どがラヴ・ソングだけど、これは違う"とは、エリック本人の弁。
確かに、大地の自然に対する讃歌、といった趣の歌詞です。
個人的にも、特にお気に入りの1曲です。
8曲目は、"When I 'M Gone"
どうやら主人公は旅に出るようです。"でも、旅に出ても、君のことは忘れないよ"、という決意が語られる曲です。
望んだ旅にせよ、望まぬ旅にせよ、そして、旅がどんな理由であれ、出発を前にしている気分を、ストリングスが盛り上げ、その一方で、"君"との別れへの寂しさも感じる、どことなく感傷的なメロディです。
9曲目"Someday, My Love May Grow"も、出発、旅立ちに関する歌。
ここでの旅は、決して楽しいものではなく、悲しみを忘れるための旅のようです。
ピアノに、中盤のハーモニカだけ、というシンプルなアレンジが、恋の痛手を抱え、独りただずむ男の姿を浮かび上がらせます。
最後を飾るのは、"Christ, It's Mighty Cold Outside"
まるで、前曲の旅の末、想いを断ち切ないまま、教会に辿り着いた主人公が、神に対して、ひどく疲れた自分の心を吐露しているかのようです。
救われない自分の心を吐き出した主人公のキリストへの問いかけ
"僕が呼んだ時に、答えてくれますか?僕が失敗した時に助けてくれますか?....."
これは、神への信仰というよりも、主人公の愛を救ってくれなかった神への懐疑的なセリフのようにも聞こえます。
でも、それでも、神を信じたい。何故なら、"ずっと信仰を抱き続けてきたから"
だから、"その信仰に力を回復させなければなりません"、と言っているのかもしれません(←あくまでも推測です(^^;))
(小倉エージさんの解説を参考にしています)
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