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T 11:00-1:00 / W 11:30-2:00 Diane Shalet

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9月9日(火)
−Physical approach to the character
−Game

このクラスはレクチャーっぽいことが多かったです。
まずは恒例リラックス。
椅子に座り各筋肉を個別に緊張させた後脱力、という方法でした。
次に歩くのですが、そのときどこか一箇所の筋肉を緊張させて歩く。
これだけで身体は何らかのメッセージを発するようになります。

彼女がオーディションで役を取ったときの話。
「神経質な女性」の役とだけ聞かされていて、準備は数時間。
そのとき彼女がした選択は、「自分のお尻はガラスでできている」と信じること。
すると立ち居振る舞いや座り方も変わってくるでしょ?(割れたら困るもんね...)
で、一言も台詞を発する前に審査員から笑いが漏れて、見事パスしたそうです。
紋切り型の表面的な役作りに陥らない工夫って、こんな風になされているようですよ。

ゲームは集中力を試すもの。
二人一組で、片方は7や8の倍数を頭で計算し続ける。
もう一方はひたすら集中を邪魔する。どこまで計算できるか?

もう一つは、リズムに乗ってクラスメートの名前を言っていくもの。
これでみんなの名前もほとんど入りました。

9月10日(水)
‐Mirror exercise
‐Observation
‐Story telling
‐Complementary figure
‐Place improvisation

ミラーはその名の通り二人一組になって片方が片方の真似をするエクササイズ。
わざと意表をついて相手を陥れるのではなく、
二人で一つになって動けるよう助け合います。(もちろん無言)

まずはどちらが動きをリードするか決めて始め、
先生の合図でリードする役を交代します。
で、最後にはなんと「リーダーなし」と言われるの。
こうなると本当にどちらがどう動くか、って決めないのに
二人の間で自然に動きやリズムがでてきたりするんです。
面白かった。

観察(Observation)のエクササイズは決められた時間内にパートナーを観察し、
その後相手を見ないでどれだけ詳しく描写できるか、というもの。
このとき「綺麗な」とか「かわいい」とか、主観を介して Judge する言葉は使いません。
例えて言うなら警察の捜査で容疑者の特徴を述べる感じ。あくまでも客観的に。

Story telling は、またまた自己紹介っぽいけど、
自分のフルネームと、自分や家族のことで何か「面白い」話をする。
ただし、前もって先生に(こっそり)指名された二人は嘘をつきます。
さて、誰が嘘だったでしょう?...というもの。

Complementary figure は一人ずつポーズを取って静止し、
五人でアンサンブルの像を仕上げるというもの。

最後に同じことを動きを入れてやります(言葉は無し)
最初の人がある場所を設定し、見ていてそこがどこかわかった人は参加していく。
これ、かなり難しいです。

Scene assignment:『Criminal Hearts』 by Jane Martin

9月16日(火)
リハーサルとその準備のプロセスをこれから四段階に分けて学びます。
 @First reading (最初の読み合わせ)
 AProduction talk (脚本家や演出家らとの話し合い)
 BBroken down
 CPerformance

今日は@の読み合わせについて。

[Do... (するべきこと)]
−Talk & listen
  これはパートナーとの関係を確認することにもつながります。
  まず Talk は Speak ではない、ということ。
  自分だけで発話するのでなく、対話であるべきだということ、
  またそこには“intention(意図)”がなければならないということ。
  そして簡単そうでなかなかできないのが相手の言葉を聴くこと。
  それがきちんとできれば何らかの形で影響され、
  自分の次の台詞(反応)も自然と変わってくるのです。

−Make your physical sorrounding real for you
  例えば台本のト書きや台詞で表されている周囲の状況。
  読み合わせの段階ではセットも動きもありませんが、
  Sensory や簡単な動作で『感じる』ことはできますよね。
  (例えば「物音に気づく」とあったらそちらを振り返ってみるとか)
  そんなちょっとしたことで台本の台詞ってぐんと意味をなすものになるんですよ。

−Speak up!
  きちんと“聞こえる”声で読みましょう。
  当たり前のようですがエネルギーをキープするためにもとても必要なことです。
  
−パートナーを見て話す
  台本を見たまま台詞を言わないこと。
  Talk & Listen にもつながることですが、パートナーの反応を見れなくなること、
  相手に『伝える』ことができなくなることを避けるためです。
  最初の読み合わせですから台詞は入っていませんが
  台本で台詞を確認した後、きちんとパートナー(あるいは他の対象物など)に注意を集中してから話し始めましょう。

[Don't... (してはいけないこと)]
−Worry about charcterization (役作りを気にしない)
  安易にクリシェ(紋切り型のありがちなパターン)に陥らないため。
  ただ、例えばその役が理解できちゃってしょうがない、みたいな場合は無理して抑えることはないのです。
  例えば南部出身の俳優が南部訛りの役になったら(つまりそれが自分にとって自然なことだったら)
  敢えてそれを『しない』理由はない、ということ。

−Worry about motion (動きを気にしない)
  これも型にはまらないため。
  ただ読んでいて何か衝動が起きたらそれを無理に抑えることはありません。

 つまり無理に演じすぎたり逆に自然に起こることを抑えすぎたりしないこと。
 (Don't act, but don't do less either) 

*今日のお言葉
“Dialog is the design of the pattern of inner movement.”
 (対話とは内面で起きている心の機微のデザインである)

少しずつコメントをはさみながらの初読み。
グループによっては少し読んだ直後に台本を伏せ、
自分の言葉でそのシチュエーションの即興をしたりもしました。 
きちんとエネルギーを保ちつつ「話し」「伝える」ための訓練です。

9月17日(水)
前回に引き続き初読み。

−Acting は Conversation ではない
 “自然”な演技って何?というテーマ。
 舞台上でのリアリティーは日常のカジュアルな会話とは違い、
 その違いはひとえにエネルギーレベルの違いであるということ。 
 “自然”な演技をしようとして日常会話に陥ってはいけません。

−“real”なものは“comfortable”とは限らない
 往々にして核心に迫っていくにつれて
 俳優として risk を追わなければならなかったりするのです。
 つまり普段は隠しておきたいような経験や真意に触れなければならなくなるということ。
 そういう意味でも演技ってカジュアルにナチュラルにやってればいい訳ではないのです。

−台本を一通り読み終わってからも全ての『驚き』にオープンであること
  つまり最初から頭で決めてしまって
  台本に“隠されてる”情報やパートナーの行動を見過ごしてしまってはダメということ。
  その瞬間瞬間を“生きる”ことの大切さです。(“Be alive!”)

−台本に書かれている『要求』(demand)を満たす
  例えば「あなたみたい素敵な人にあったことないわ」とか書かれてたら
  その台詞を言う前に『あなた』の中に『魅力』を見出していなければならないということ。
  そうしないと出てこない台詞ですものね。

−ジョークを探せ
  そこはさらっと流してはダメよ、ってこと。
  以前セワニーで勉強してたときも「悲劇を演るときこそジョークを探せ」と言われました。
  絶対どこかに隠れてるもんなのです。

AProduction talk についてのレクチャーもありましたが、それは次回以降まとめて書きます。

9月23日(火)
【初読みの続き】
‐Talk to your partner!
  言葉をコミュニケーションのために使う。
  「読む(read)」のでなくパートナーに「話す(talk)」
  「考え(thought)」があるから話す。話す前に自分が話していることを考える。
  脚本をはなれ自分の言葉で即興してみる。考えがクリアになったら台本の言葉にもどる。

‐Explore the event!
  自分がその出来事について知ってることは何か?

‐初読みで explore するべきこと
  1)relationship(関係)
  2)situation(状況)
  3)event(出来事)

‐戯曲家はリズムを持っている。言葉の意味、リズムは?

‐Characters are not necessarily say what they mean
  言葉通りのことを意味してるわけではないことは多々ある。
  (「I hate you」という言葉がが「I love you」の意味を伝えたりすることもある、ってことだと思う)

‐Be aware of jokes!

‐Don't postphone acting, don't over-act, either!!

【Production talk】
1)Theme of the play
  テーマを簡潔に述べる
2)Spine of the play
  テーマを支持するために全てのキャラクターがしていること。(generalな動詞)
3)Your character's spine
  自分のキャラクターの最終目的(overall objective)は何か?(動詞)
4)Concept of the play  
  全体的なイメージ・雰囲気は?
5)Character elements
  キャラクターの見た目は?どんなことをする?態度は?
  身体の特徴についてどんな選択をする?(“ガラスのお尻”など)
6)Characteristic props
  どんなものを持ってるか?
7)Make-up
  メークは?
8)Elements of costume
  衣装は?

*「状態」(形容詞:シャイ、神経質など)は演じられない。
 「(能動的な)行動」(動詞)を探す。
 つまりキャラクターにどんなタスクを与えるか、です。

9月24日(水)
*『よいリハーサル/オーディションとは、それを通して“発見”の得られたもののことである』(by Diane)
 よって俳優にとっての“宿題”(家での準備のこと)とは
 ステージ上で“発見”できる下地作り・準備のことである。

*Plays are all about ideas. In other words, plays are the reflection of our lives, that is, what we should become.
 芝居は「考え」を表現するためのものである。つまり、我々の人生を映し出すもの、どうあるべきかを伝えるものである。
  
*考えを「見せる(“show”)」のではなく考えに「気づく(“observe”)」。
 何事も“当たり前”に受け取ってはならない。

*A line isn't said on the line.
 セリフは突然振って沸いてくるのではなく、そのセリフを言わしめる何かが前に起きているはずである。
 何故それを言うのか、それはどこから来たのかに気づく。

*Action & Reaction
 演技とは行動すること、そして反応すること。

*Don't wait for your line to react.
 反応するのを自分のセリフまで待たない。

***

初読みの段階、及びそれに続くリハーサルでは
シーンをより細かなまとまりに分け(“beat”)、そのまとまりまでを読み、台本を伏せて(その状況を用いて)即興し、
自分の言葉で状況の雰囲気がつかめたらまたすぐに台本に戻り同じシーンを読む、
というエクササイズをします。
即興の際には台本の言葉を誠実に言い換えたりする必要はなく、
むしろそこで起きている出来事、状況を「自分」として探るのが目的です。
演技する必要はなく、その状況での自然な反応や考え、を発見します。
つまりそのシーンの中で“生きてみる”んですね。
そこで得られた発見を直後の読みに還元します。

9月30日(火)
‐Production Talk

初読み(First reading)に続くリハーサルプロセスであるプロダクショントーク。
演出家や脚本家、共演者、スタッフらと戯曲の世界や方針について話し合う段階のこと。
ここで話し合われるのは以下のポイントです。

1)Theme of the play
  戯曲のテーマは何か?短く簡潔な文でまとめる。
  英語だったら “If ____ happens, then …….(もし___が起これば・・・なる)”とか
  “A must do ____ in order to do …….(…するためにAは___しなければならない)”など。

2)Spine of the play
  テーマを表す(証明する“prove”)ために全てのキャラクターがしていることは何か?
  能動的(行動できる)動詞であること。  

3)Your character's spine
  自分のキャラクターが求めているものは何か?
  能動的な動詞。

4)Concept of the play
  全体的な雰囲気は?視覚的には?どんなイメージが沸くか?
  これは演技だけでなくセットや衣装などを考える上でも重要。
 
5)Character elements
  自分のキャラクターはどんな行動をとるか?どんな癖があるか?
  態度や姿勢は?
  具体的で“play-able(演技可能)”なものであること。
  形容詞・名詞は演技できない。
  
  例えば“神経質な人”は演技できないけど(紋切り型で一般的なものになってしまう)
  “お尻がガラスでできてる人”は演技できるよね。
  (これ、やってみるとわかるけどホントに神経質な人に見えるのよ)
  同じく“シャイな人”は演技できないけど
  “他人と目を合わせない人”は演技できるでしょう?
  
  Diane 曰く形容詞や名詞は批評家(+“下手な”作家)が使う言葉、つまり『結果』で
  我々役者はそのような結果を導き出す『行動』は何かを考えねばならないとのこと。
  もうこのクラスに限らずいろんなとこで耳にたこができるぐらい聞いてるけど
  “Acting is doing.”(演技とは行動すること)なのです。

6)Characteristic props
  キャラクターが持っているもの、小道具。

7)Make-up, costume
  メークや衣装

***

私達のシーン、『Criminal Hearts』のプロダクショントーク。
(私は Bo: 強盗役です)

1)Theme of the play
  Women must take their life back to empower themself.
  (強く生きるために女性は自分の人生を取り戻さねばならない)

2)Spine of the play
  Everyone is fighting for dominance.
  (優位に立つために皆戦っている)

3)Spine of the character
  To dominate!! (want to be on top)
  (誰よりも強くなりたい、支配したい)

4)Concept
  迷路。行き止まりのような、他に行き場のないイメージ。

5)Character elements
  自分を強く大きく見せたい。弱さにつけこまれたくない。
   → 肩を左右に広げる・オープンにする(肩幅を広げる)
     腕が太くて重い。ボンレスハムがついてる感じ。
     蟹股気味。股は決して閉じない。
     下腹には西瓜が二つ入っている(←イメージね)
     声は低く野太い

6)Props
  拳銃

7)Make-up, costume
  ほぼノーメーク。顔に大きめのほくろを描く?
  頭は黒タイツで髪をまとめる。黒くて大きめのTシャツに濃い色のジーパン、スニーカー。軍手。

10月1日(水)
‐Lecture: Left note(“intention”)
‐Exercise

今日のテーマは intention。
言葉や行動を支える意図、目的などのこと。
objective や subtext と言われることもあるものです。

役者にとって必要不可欠なものは
 1)Relaxation (coupled with energy)
   エネルギーに満ちたリラクゼーション
 2)Concentration
   集中力
 3)Imagination
   想像力
 4)Sensory perception
   感覚による認知
 5)Intention
   意図・目的など
で、そのうち 5) の重要性について。

セリフは「考えていることの結果」として声に出されなければならない。
つまり intention とはセリフの下地となっている部分です。
氷山の一角という表現がありますが、あれで例えると
セリフとして発話されるのが水面から見えている部分で、それを支える水面下にある部分が intention になります。
つまりセリフの意味は言葉の意味そのものだけでなく内面で何をしているか、どんな意図に支えられているかによって決まります。

ちょっと歴史的な流れに触れます。
1930年代から40年代にかけて、アメリカでGroup Theatreの流れがおこりました。
そこで現れたのがリー・ストラスバーグ、ステラ・アドラー、サンディー・マイズナー、ボビー・ルイスです。
彼らはそれぞれに重視するポイントが異なりました。
ストラスバーグは emotion(感情)を、
アドラーは character(What the character wants)(キャラクター・キャラクターの欲しているもの)を、
マイズナーは given circumstance(与えられた状況)を、
そしてルイスは intention を重視したのです。

私達の先生、Diane は皆と演技を勉強したそうですが
intention が一番“reliable”(頼りになる)と言っています。
つまり感情は毎回同じものが得られるわけではなく、時に精神的に参ってしまう、
キャラクターの欲求が全てのシーンを動かしているわけではない、
状況の分析は必ずしも演技の実践的な支えにはならない、ということです。
反面各シーン、各瞬間での意図を明確に演技することは
その日の気分や状態に左右されることなく、戯曲あるいはシーンに忠実に
リアルで確実な演技を繰り返しする助けになる、とのこと。

この辺りはいろんな派があるでしょうから異論反論あるのでしょうが
個人的にも、うん、これは納得いくなぁと思います。
いわゆる『メソッド・アクティング』(ストラスバーグ)というのもチラッと学んだことはありますが
なかなか実践につなげるのは難しいなぁという感想を抱いてはいたからです。
メソッドに出会ったことが本格的な演技の勉強の始まりでしたし、ものすごく学ぶことは多かったのですが
やはり実践でいつもすぐに安定して応用できるか、ってところがかなり難しい気がするのです。
今はいろんな訓練を満遍なくする方が多いでしょうから支障はないでしょうが
感情にのみ重点を置いて演技するのは危険かもしれない、と思いました。
第一に極めればものすごくいい演技になるけれど中途半端だと内向的で救いがないこと、
第二に短いエクササイズやシーンならともかく長い戯曲全体を演じるのは厳しいのではないかということ、
そして第三に役者の精神衛生に与える影響もあるのではないかということ。
もちろん丸っきり無駄というわけでは決してなく、
むしろ感情の訓練をしていない役者では話にならないからエクササイズとしてはとても有効だけど
エクササイズと実際の舞台とを結びつける『何か』が必要なのではないかと思うのです。

その点 Diane のいうように intention を意識して行動(演技)することは
確実に使える“テクニック”になるのではないかと思います。
感情の訓練がしっかりなされている役者であれば意図をもって行動することで自然と感情がついてくる、ということです。

ま、とにかく。
どんな意図をもってるかを選択することでキャラクターも変わり、感情もそれに伴って生まれる。
そしてこれはどんな時代のどんなスタイルの戯曲にも適用できるものだそうです。
戯曲が抽象的になればなるほど、俳優には意図を明確にする義務がある、ということで...

結論。
“Activity with INTENTION!!!”(意図をもって行動せよ!!)

ここからは実践的な話。

‐どのように意図を表現するか?(“How do you express intention?”)
  常に動詞で考えよ。
  “I want ……”“I wish ……”など、自分の心・感情に響く動詞(行動)を探す。
  名詞・状態・感情は演技できない!!!
  対象をもつ能動的な動詞であること。
  対象がないと内にこもってしまいパートナー、周囲との関係が絶たれてしまう。

‐意図はどれだけ持続するのか?(“How long is the intention?”)
  一言だけの場合もあるし、一パラグラフのこともあるし、一シーン全部のこともある。
  メインになる意図、というものがあり
  それを達成、満たすために行ういくつもの行動・手段(small beats)がある。
  
‐意図の選択はどのようにするか?
  1)From the play/texts itself
   戯曲やセリフを参考に選ぶ
 【Spine を決定したら...】
  2)From the relationship with the other characters
   他のキャラクターとの関係を参考に選ぶ
  3)From the circumstances of the play
   状況設定から選ぶ(過去に何が起きたかなどキャラクターが知っていることを参考にする)
  4)From the character elements
   (プロダクショントークの)キャラクター設定を参考に選ぶ
   *キャラクターの理解は意図の理解につながり、意図の理解はキャラクターの理解につながる

***

今日のテーマ、『意図(intention)』のエクササイズ。
1)ある明確な意図をもってドアを開け、中に入ってくる
  「ドアを開けて中に入る」という行動を「意図」で裏づけするわけです。
  実際に入ってきた後意図が何であったか言いますが、否定形にしないこと、
  また行動する際に意図を“indicate(ほのめかす)”しないことが注意点です。
  意図のほのめかしとは、まぁ簡単に言っちゃえば(クサイ)演技をすることで
  わからせようと見せることに必死で真実を創り出せなくなることです。

  このエクササイズ、全員がやったので17通りあったのですが
  ドアを開けて中に入るのに17パターンも全く違ったものがあるなんて、すごいと思いません?

2)トランクから中に入っているものを全部出し、また仕舞う
  一回目は何もなく普通に出し入れします。
  次に
   @先日他界したおばあちゃんの形見分けの品を一つ選ぶ
   Aガレージセールに出すため値段を決める
   B探偵として殺人事件の被害者の遺品から証拠物件を探す
  という意図(状況)が与えられ、それとともに出し入れします。
 
  全く同じもの(小道具)を扱う行動でも
  異なる意図をもつことで全く異なる意味をもつものになります。

3)舞台上に『自分の部屋』をセットします。
  帰ってきたらオーディションのコールバック(二次・最終オーディション・予選通過本選進出)の通知が届いています。 
  とてもやりたかった舞台の希望していた役です。
  ところがよく読むと、なんと日時は今日の一時間後ではないですか!
  一時間以内に
   ‐写真とレジュメを用意し、
   ‐役(オーディション)の準備をし
   ‐身支度を整えなければなりません。

  役を勝ち取るために3つの行動をしなさい、というもの。

10月7日(火)
【Left-note】
リハーサルの第三段階、レフトノート。
Diane曰く、こちらのプロフェッショナルな現場では
台本は一頁ずつ右側に印刷され、左側に空白の頁があるとのこと。
それは各シーンでの演技を助けるためのメモのための頁です。
レフトノートを縦三列に分け、左には“intention”を、
右にはintentionを達成するためのより小さなまとまり(“beat”“strategy”のようなもの)を書きます。
真ん中はpersonalizeするためのもの。
sensoryのタスクとか自分とシーンとのつながりなどを書きます。

【コメント】
‐Pick something, then commit it fully; Find the way to believe it!
 せっかくintentionなどを決定して書き込んでも実行しなければ意味がない。
 選んだものを徹底的に行うこと。それを心から信じるにはどうすればよいか?

‐Comedy = hightened reality; THINK funny, DON'T act funny.
 戯曲のスタイルの問題。
 コメディーとは“高められた”リアリティーである。
 要するにいろんな行動・考え・感情が極端ってことだと思う。
 面白おかしく振舞おうとするのではなく、面白おかしく発想する(考える)。

‐Being truthful doesn't mean being quiet.
 これは私も陥りがちな罠です。
 誠実に“リアル”に演じようとすると(つまり“演技しない”ようにすると)
 大袈裟な行動や表現を抑えようとして静かになりがち。
 特にコメディーではそれは上手く機能しない。

‐Transition have to be clear; Seize the moment and do it fully.
 シチュエーション・感情・状況などの転換はクリアにはっきりと。 
 その『瞬間』を捉え、しっかり完全に行う。
 これは舞台(シーン)というのは人生で起こるドラマを例えば5分間に圧縮したものだから。
 だらだらと転換していたのではその圧縮されたドラマを描ききることはできない。

‐“Justification”;抽象的な演出を“intention”を補うことによって意味をなすものにするのは俳優の仕事。

10月8日(水)
(Left page)
前回に引き続きレフトノートをもとにシーンを行いました。

‐The hardest part of acting = How to believe in the situation.
 難しいのは如何にその状況を信じられるか、ということ。
 一度選択をしたらその状況を信じ、そのintentionを100%やり抜くこと。

‐Don't be a "polite" actor!; Don't wait for the partner for the cue.
 パートナーがきっかけを与えるまで待たない。つまり意味のない“空白”をつくらない。 
 それぞれのキャラクターの思考・人生は止まらないのだから。
 (Your character's life goes on)
 
‐Don't act too neatly!
 整理されすぎた演技をしない。
 人生とは基本的にひっちゃかめっちゃかである。

‐intention とはセリフの要約ではない。
 むしろそこで何を達成したいかという欲求である。
 ときに言葉とは裏腹のintentionがシーンを支えることもある。

‐Thought comes first, not the line!
 セリフを発したから考えるのではなく、考えたからセリフが出てくる。
 
‐The first line comes from the past history.
 最初のセリフというのは、過去に起こったことが基になっている。
 そのキャラクターに何が起きたのか、どんな状況に置かれているのか把握すること。

10月14日(火)
Final performance。
私たちのシーンは明日なので今日はひたすら観客でした。
どのシーンもびっくりするほどよく仕上がってて、明日の発表がややプレッシャーになるほど。
Diane もご満悦の様子でしたよ。

【コメント抜粋】
‐Be truthful to the style of the play.
 戯曲のスタイルに忠実であれ。
 コメディーとかシュールなのとか、戯曲にはそれぞれスタイルがある。
 それを殺さない(生かすような)演技をすること。
 リアリティーとのバランスを見つける。

‐Physical preparation to get into the play
 幕が上がってからキャラクターに命が吹き込まれるのではない。
 舞台・シーンの準備はそのずっと前‐舞台裏・控え室・劇場への道程・朝起きた瞬間‐から始まっている。

‐Take time for transition: the audience want to see the process.
 転換を端折らない。
 観客にとって面白いのは、役者がどのように転換をこなすかというプロセスを観ることである。

‐Realization before the beat (transition)
 転換が起こる前には、そのきっかけとなるものに『気づく』瞬間があるはずである。
 
‐Don't get general if your "third partner" is the audience.
 ときにシーンの“パートナー”が観客になることがある。(観客に向かって話すことがある)
 その際集団としての観客一般に話しかけるのではなく、具体的に誰か一人(どこか一点)を選んで話しかける。
 
‐Don't lose energy, but be easier (don't be tense!)
 余分な力を入れずリラックスした状態で演じる。
 しかしそれは『エネルギーを失う』という意味ではない。
 舞台とは“高められたリアリティー”なので
 エネルギーはどんなシーンを演るのにも必要不可欠な要素である。

‐Finish up the behavior!
 一つ一つの行動をきちんと完全にやり遂げる。
 次にすべきことを頭でプランして段取りでやらないこと。

*Next scene assignment:
 『Agnes of God』 by John Pielmeier (w/ Danielle)

10月15日(水)
今日は『Criminal Hearts』のシーン発表がありました。
自己採点60点ぐらいかなぁ。

私へのコメントで特に強調されたのは
『英語の訛りを気にして怖気づかないこと(“Don't pull back because of the sound/accent”)』
physical action(身体の動き)と vocal expression(声による表現)が結びついていないのです。
身体とか心の動きを声に表す寸前にどこかでブロックしてしまっている感じというか...。
これは自分でももどかしく感じていたことです。
でもこれって90%ぐらい自分の責任、というか『準備不足』が原因でもあります。
他のこと考えててもセリフがすらすら出てくるぐらいになってないと英語で演じるのってちょっと無理があります。
英語を暗記して一生懸命発表している状態では話にならないってこと。
それは自分でもよくわかってたはずなのに、それなりの時間を割いてそれなりの努力をしなかった自分に非があると思う。

外国人であることに甘えていてはいけない。

‐Don't wait for the line for the response!
 台本の“段取り”に従うかのごとくセリフが来てから反応するのではなく
 その場その瞬間に反応すること。

‐先に進むような選択
 演技において俳優はさまざまな choice(選択)をします。
 その選択は先に進む、発展性のあるものにすること。それを選ぶことによってどこに行くのか?

‐All the character have different moment.
 役作りをしたからといってそれが一面的(“one-base”)ではいけない。
 粗暴なキャラが不安になるとどうなるか?小心者が怒るとどうなるか?
 そのキャラの中にいろんな“色”を見出す。
 
‐What the character does? --- in addition to what they say.
 character elements に関する問いかけ。
 そのキャラクターはどんなことをするか?癖は?立ち居振る舞いは?

‐Words are extended from the inner life; Don't fuel the lines, fuel the intention!
 言葉(セリフ)は内面で起きていることの延長である。
 セリフにエネルギーを注ぐのではなく、intention(意図)に注げ。

‐Allow the work, don't play the work!
  〜Do the homework, gracefully forget it and allow things happen moment to moment.
 準備をし、それを忘れ、各瞬間に起こることを受け入れる。
 準備(プラン)したことをそっくりそのまま繰り返そうとしない。

‐Acting is not about being comfortable on stage, it's about solving problems.
 演技とは舞台上で落ち着く(“be comfortable”)ことではない。
 いかに問題を解決していくかを舞台上で実演することである。

10月21日(火)
‐First reading (2nd scene)

今日から新しい課題シーンのリハーサル開始。
前回までに習った流れに沿って、初読みからです。
パートナーのダニエルがお休みだったので私達の初読みは明日。
とっても“パワフルな”いいシーンなので楽しみです。

‐Acting is about solving a problem, not about being comfortable.
 以前にもこのコメントありましたよね。
 何度も強調される重要ポイントなので常に心に留めておくため再度記録しておきます。

‐“What do I want?”; It's the same in the work as in life.
 舞台上(演技中)と人生とは同じこと。
 行き詰ったら「自分は何が欲しい/したい」のか、と自問してみる。

‐Notion of being yourself!; Make truthful choices.
 演じるときは“アヤ/(役名)”である。
 自分を押し殺したり捨てたりしない。
 それぞれの個性を残しつつ“変身”するのが面白い。(“transform yourself”)

‐First reading is for investigation.
 初読みはいろんなことを試し、探求し、発見する場である。
 前もって頭で決めつけず、まっさらでニュートラルな状態で臨むこと。

‐Don't work so hard to generate your character: let allow what the character say to permeate.
 役柄を必死に表現しようとしない。

‐What you say should be the result of what has happened to you before.
 あなたが言うことはその前にあなたに起こったことの結果である。

‐Don't be too predictable! 
 あまりにも先が読めるような見え見えの演技はしない。

‐You always have to talk and listen, and allow yourself be affected.
 常に話し、聞き、そして影響に慣用であること。

‐The higher your physical energy, the higher your creative energy.
 身体のエネルギーレベルが高いほど創造のエネルギーも高まる。
 (because it's alive!)
 
‐Don't empty yourself between lines!; Keep it going.
 自分のセリフの合間に自分を空っぽ(“素”?)にしない。
 集中力は常に維持すること。

10月22日(水)
‐First reading
‐Interpretation exercise

今日は私とダニエルのシーン、『Agnes of God』の初読みがありました。
初読みでは毎回、まずどんなストーリーかを簡潔に述べるように言われます。
その際は一人称で話すこと(「彼女[役名]は…」でなく「私は…」)。
これは単に他のクラスメートにあらすじを伝えるだけでなく
内容を話すことによって戯曲の世界に自然と入っていくためでもあるようです。
 
私が話したときはごく自然に“spine”にも触れていたようです。
(“trying to figure out what happened to Agnes.”“discover the past”など)

『Agnes of God』は聖人のように純粋なカソリック修道女アグネスとサイコセラピストとのカウンセリングを通して
彼女に起きた“事件”の謎を軸に展開します。
アグネスはある日部屋で意識を失って発見されます。
ゴミ箱の中には生まれたばかりの赤ん坊が死んだ状態で発見されました。
誰もアグネスの妊娠に“気づいていなかった”、
アグネス自身が出産や性交渉の“記憶がない”など多くの謎を解消すべく、
また“赤ちゃん殺し”の弁護をするためにセラピストとアグネスの面接が始まります。
それを通して浮かび上がるアグネスの過去、修道院長とアグネスとの関係など。

ものすごくパワフルな戯曲です。
私達がやるのは三度目の面接で、アグネスが幼い頃母親に性的虐待を受けていた事実が判明するシーンです。
脚本の力強さの所為もあって最初からすっと入り込んで読めたので
一度も Diane のストップが入らずに進みました。
みんな息を飲んでシーンに引き込まれ、終わってからほっとため息をつく感じ。
コメントもずいぶん前向きなものばかりでした。

“This scene will cost you.”(このシーンはあなたにとってもリスクが大きくなるよ)と言われました。
というのも、アグネスに共感できる“何か”を自分の中に見つけなければならないから。
幸いにしてぬくぬくと育ってきた私には虐待を受けた経験は一度もないのですが、
そんなアグネスの経験とどこかでつながるような自分自身の“辛い過去”に改めて向き合わなければならなくなる、ということです。
でも、だからこそこの戯曲が好きでこのシーンをやりたいんだよね。
望むところです。

アグネスは初めドクター(セラピスト)に全く心を開いていないので
このシーンでもそれが垣間見えなければならないとのこと。
助けを求めているけれど怖がっている、
「いったいどれだけ彼女を信頼していいのか」と探るような、
そんな微妙な関係を醸し出せるようリハーサルしていきたいと思います。

‐Given circumstance → Different interpretation of the same behavior
 これは他の子のシーンで知的障害の役を演じることについて。
 例えば誰もいない空間に話しかけてるとして、
 それを“俳優のエクササイズ”と解釈するか“妄想癖(幻覚)の症状”と受け取るかは
 それが提示される状況(外的要因)によって決まる。
 なので“知的障害”を紋切り型の演技で表現する必要はない。

初読みが早めに終わったので聞いて話すこと(“Talk and Listen”)のエクササイズ。
椅子を3つ用意します。
両脇に座る二人がジブリッシュで話し、それを真ん中の人が“通訳”して伝えます。
ジブリッシュだからといって適当にやってればいいのではなく、
『何を話してるか』を明確にもち、それをデタラメな言葉で伝えること。
それをよく聞いて解釈し、通訳します。