the Speak Easy
「キーポイントは弱さなんだ」と鼠は言った。
「全てはそこから始まっているんだ。
きっとその弱さを君は理解できないよ」
「人はみんな弱い」
「一般論だよ」と言って鼠は何度か指を鳴らした。
「一般論をいくら並べても人はどこにも行けない。
俺は今とても個人的な話をしてるんだ」
僕は黙った。
(中略)
「なぜ拒否したんだ?」
時は死に絶えていた。死に絶えた時の上に音もなく雪が積っていた。
「俺は俺の弱さが好きなんだよ。苦しさやつらさも好きだ。
夏の光や風の匂いや蝉の声や、そんなものが好きなんだ。
どうしようもなく好きなんだ。君と飲むビールや……」
鼠はそこで言葉を呑みこんだ。「わからないよ」