官能小説『洋子の不思議物語』作・オクムラユウスケ

 老舗の和菓子屋の二階に住み込んでいる看板娘の洋子は、今日も溌溂とした笑顔で饅頭を仕込んでいた。
 そして、和菓子屋と道を挟んで、ちょうど向かいの一軒家に住んでいる僕は、二階の勉強部屋の窓から洋子の働いている姿や
自分の部屋で静かに本を読みながらくつろいでいる洋子を、じっと眺める事が何よりも好きだった。
清楚で純日本的な看板娘の洋子は、まさに手の届かない存在であった為、僕は日がな一日、洋子を眺めては淫らな妄想に耽っていた。
柏餅で洋子の潤んだ口にサルグツワをして、その美しく透き通る肌にアンコを塗りたくり、
アンコまみれの体をいやらしくナメまわす。
そして桜餅色に輝く淫美なワレメを僕の指が、舌が、黒光りするトーテムポールが虐め抜き、
やがて嫌がっていたはずの洋子の頬が赤く染まると、恍惚の表情を浮かべながら朽ち果てていく・・・》
 そんな淫らな妄想の中に浸っていると、いつの間にか僕のブリーフはビショビショに濡れているのだ。
 ある日のこと、洋子は修学旅行に行くとやらで2、3日の間、和菓子屋を留守にするらしいということを母親から聞き、
その場は平然としていたのだが、内心ガッカリしていた。
 その日の夜、当然窓から和菓子屋を覗いても真っ暗で人の気配はなかった。
が、その時、パッと部屋の灯りが点り、そこには見まごう事なき洋子の姿があった。
あの清純で狂おしいほどに美しい洋子の姿が・・・
「修学旅行には行かなかったのだろうか?」
 そんな疑問も次の瞬間には全て吹き飛んでいた。
洋子が水玉模様のワンピースを突然脱ぎ出してしまったからだ。
 そして洋子は純白の下着をゆっくり脱ぐと、生まれたままの体をさらけだした。
僕は興奮のあまりまばたきするのも忘れていた。
その躰は僕が想像していた通り、いや、それ以上に素晴らしいものだったからだ。
 ツンと釣り上がったツリガネ型の乳房。
ほどよく大人びた体にあどけなく残る少女の香り。それはまるで羽衣を忘れた天女のようであった。
 洋子はそのまま布団に横たわり、しなやかに伸びた指先を桃色の乳首にあてがい、グリグリ動かし始めた。
湿った口元から吐息がこぼれ、その指はゆっくりと微かに汗ばんだ肌をつたい熱く火照った桜貝をまさぐりだした。
僕の目は釘付けになった。
ブリーフを脱ぎ、そそり立つトーテムポールを握りしめ、夢中でしごいた。
洋子は体をこちらへ向けながら激しくオナニーに耽っている。
それはまるで僕に見せつけているかのように挑発的だった。
やがて、押し寄せる快楽の波にのまれ、射精と同時に気絶してしまった・・・
 さまよう意識の中で、僕は夢を見た。
僕は洋子を抱いていた。
あの可憐でみずみずしい体が今、僕の腕の中で喘いでいる。
熱く、熱く燃え上がる炎のようにお互いを激しく求め合い、その炎が絶頂に達した時、二人は朽ち果てていった。
そんな夢だった。
 目が覚めると、僕は布団の中で夢精していることに気付いた。
部屋の中は何やらいい香りでいっぱいだった。
まるでついさっきまでそこに洋子がいて、熱く抱きあっていたかのような心地良い香りが鼻先をくすぐるのだ。
僕はしばらく布団の中で夢の余韻にひたっていた。
 その時だった。
母親が階段をかけ上がってきて、慌てた様子で僕の部屋のドアを開けると、向いの和菓子屋の看板娘が・・・
つまり洋子が・・・昨夜死んだ事を告げた。
 修学旅行へ向かう途中、バスが横転し、数人が死亡したという。
その中に洋子もいたのだと・・・
では昨夜の出来事はいったい何だったのだろうか?
僕は哀しみよりも先にその事に対する謎が気になって仕方なかった。
だが、その謎も数日後、和菓子屋の主人から見せてもらった洋子の日記に、全ての答えが書かれてあった。
  
六月二十一日(晴れ)
最近、向いに住む男が私の事を見ているような気がする。最初は気持ち悪かったけど、だんだん私はあの男の事が気になり始めている。
私は今まで大事に大事に育てられてきて、両親の期待に応えようと必死で自分を装い、自分をごまかし続けてきた。そんな私をあの男は
きっと頭の中でむちゃくちゃに犯しているんだろう。
ごまかし繕い続けてきた私の装飾品をすべて剥ぎ取り、いやらしく汚してくれるあの男を、好きになってしまったみたいだ。
修学旅行から帰ってきたら、あの男にこの想いを打ち明けよう。
あの男になら本当の自分を見せられるような気がするから・・・
 そこで日記は終わっていた。
僕は昨夜の出来事を思い返していた。
昨夜見た夢は決して夢ではなかったのだ。
洋子は最後の最後で、いや、正確に言えばすでに死んでいたのだが、それでも洋子はあの時初めて自分をさらけ出し、僕に抱かれ
燃え上がるような絶頂の中で成仏していったのだろう。
 僕は静かに日記を閉じると、いつものように部屋の窓から和菓子屋を覗いた。
しかし、もうそこには洋子の姿はなかった。
僕はブリーフを脱ぎ捨て、しなびた陰茎を握りしめると、必死でオナニーをした。
そして、和菓子屋に向かって射精した。
白くにごった精子が、向いの和菓子屋の屋根に飛び散った。
「洋子・・・洋子・・・」
 涙がどっと溢れ出た。
 和菓子屋の屋根に飛び散った精子が太陽の光を浴びてキラキラ輝いている。
それはまるで洋子が笑ったときにこぼれる白い歯がキラキラと輝いているようだった。