〜忘年会〜

 

 救命センター同士での交流を図ろうと、パーティが開かれることになった・・。

「この前言ったじゃない?他の救命センター同士の交流会のことなんだけどね。なんかね、同伴で行きなさいって、神宮教授から、言われたんだけど・・。」

 神林がみんなに報告すると、みんなは顔を見合わせて声をあげる・・。

「別に関係ないじゃないですか・・。救命とそういうのとどういう関係があるんですか?」

 馬場がまず最初に苦情を言う・・。

「神宮教授が言うにはさ・・。大学の代表で行くんだから・・。ちゃんとした服装をして来いって・・。」

 たまきも進藤もため息をつく・・。

「じゃぁ、俺と山城さんで、行きますよ・・。」

 城島が、仕方なさそうに承諾する・・。

「僕、香坂先生がいい!」

 しかし、その意見は却下された・・。

「僕が決めるね・・。進藤先生と香坂先生。僕は婦長と・・。馬場先生は桜井君と、矢部君は太田川君ね。文句なし。これ決定だからね。」

 意見はそれぞれだった・・。

「太田川〜、ちゃんとした格好で行けよ〜。まぁ、お前はどうあがいても、学芸会だろうけどなぁ・・。」

 意地悪そうに矢部が言うと、太田川が悔しそうに睨む・・。

「うるさいわね・・。・・ドレスとかで行かないと行けないんですよね?・・・そういうの似合わないのに・・。どうしよ・・。」

 落ち込む太田川に、たまきが声をかける。

「だったら、私があなたの、ドレス選ぶわ。あたしがドレスアップしてあげるわよ。矢部君が驚くようないい女にして見せるわよ。見てなさい。」

 自信満々な顔で言い切った・・。

「え?でも・・・。」

「何よ・・。文句あるの?見返したくないの?自信を持ちなさい。女なんだから、誰でも輝く権利あるのよ?」

 すると、太田川はたまきに任せることにした。

「じゃ、明日休みでしょ?服選びに行きましょ?私も新しいのほしいし・・。」

 進藤がため息をついて、たまきをジト目で見る。

「何よ・・。文句あるの?あっそうだ。あなたもちゃんとしてきてよ。なんたって、私の相手なんだから・・。変な格好したら私が恥をかくんだから・・。それなりの格好しないと、隣に立たせないから。」

 進藤はたまきを睨むがひるむようなたまきじゃない・・。

「じゃぁ、進藤先生も一緒に行きましょうよ。」

 笑顔で太田川が意見する。

「・・・そうね・・。変な格好されても困るし・・。文句ある?」

「・・・いや・・。わかった・・。」

 三人はちょうど休みだったので、(進藤は当直だった・・。)

〜翌日〜

「たまき、あまり買い込むなよ・・。今日のメインは太田川だからな・・。いいな?」

 進藤は、たまきに釘を刺す・・。

「わかってるわよ・・・。うっるさいわね。あっそうだ。ばれないようにね・・。私たちの関係・・。」

 軽く進藤を睨み、準備を済ませた。

「・・・別にばれてもいいだろ・・。」

「・・からかわれるじゃない・・。そうなったら、あなた仕事中、二人きりになれなくなるわよ・・。」

「・・・・わかった・・。」

 二人は約束の場所に、別々に来たと見せかける為、時間差でやってきた。

「おまたせ・・。進藤先生は?」

 太田川が来ていたので、わざとらしく質問する・・。

「いえ・・。一緒じゃないんですか?」

 探りを入れてくる・・。たまきは何食わぬ顔で・・・。

「なんでよ・・。知らないわよ?」

 すると、苦笑した進藤がやってきて、歩き出した。

「でも、大丈夫ですか?やっぱり自信ないです・・。」

「何言ってるのよ・・。私が選んであげるのよ?変な格好には、させないわよ?」

 パーティなどで着るような服を売っている店にやってくると、色々な衣装が並んでいる。

「うわぁ・・。素敵・・。」

 女二人は、目を輝かせながら、見ている・・・。

「じゃ、あなたから選ぶわよ。」

 太田川を引っ張っていって、選ぶ・・・。進藤は二人を眺めながら、笑っている・・。

「ん〜、これはちょっとあれね。何か希望とかある?」

 たまきがあれこれ考えながら、訊ねる。

「えっと、別に・・。似合うものなら・・。あっそうだ。あまり大人っぽいのは・・ちょっと・・。」

 たまきは、笑って頷いた。

「あなたが言うのは、こういうやつってことね?」

 大胆なドレスを指差し、訊ねると太田川は頷く。

「はい・・。」

「わかってるわよ・・。いくらなんでもね・・。あなたはと、あっ、これなんかどう?ん〜、ちょっと子供っぽいわね。だめ・・。これは・・。ん〜だめね。」

 楽しんでいる・・。

「あのぉ、遊んでませんか?」

 たまきは怪訝な顔で、太田川を見る。

「失礼ね・・。真剣なのよ?みんなの前で言い切っちゃったもの・・。心配しないで・・。」

 しかし、端から見ると楽しんでいるようにしか見えない・・。

「あ!これどう?子供っぽくないし・・・。大人っぽすぎでもない・・・。」

 太田川も見て、頷く・・。

「はい。でも、似合うのかな・・。」

 たまきは、店員に試着してもいいか聞いている・・・。

「いいって・・。じゃ、着てきなさいよ。あたしお化粧してあげるから。」

 進藤を残し、二人は試着室に入っていった・・。数十分後・・・。

「い・・。進藤先生。どう?見てよ?ちゃんと。ほら。」

 進藤は、太田川を見ると、その変身っぷりに驚いている。

「・・・よく似合ってる・・。いいんじゃないか?」

 優しく微笑む進藤を見て、太田川が照れている・・。

「・・・本当ですか?じゃ、これにします・・。」

「うんうん。いい!それいいわよ。さすがあたしね・・。付け毛とかもあるから。それは私がプレゼントするわ。」

 随分、気に入った様子のたまきに二人は苦笑する・・。

「進藤先生、香坂先生って、ハシャギまくってますね・・。」

「ああ・・。」

 会計を済ませた二人は、今度はたまき自身の服を選ぶ・・。

「ん〜。どうしようかな・・。人のは、これって薦められるんだけど・・。ん〜。あっそうだ。進藤先生のを先に選びましょ・・。進藤先生の服装に合わせるわ。かみ合ってないと変じゃない?」

 張り切るたまきを太田川は首を傾げて見つめる・・。

「・・・わかったよ・・。」

 紳士売り場にやってきて、色々とたまきが服を引っ張りだして、進藤に合わせてみる・・。

「あなた、顔が怖いからねぇ・・。こういうの着たら、そっち関係の人と間違われそうね・・。」

 苦笑しながら、太田川のときと同じように楽しんでいる・・。二人は苦笑しつつ、その姿を見る・・。

「これ!いいんじゃない?着てきてよ。これシャツね。ネクタイはこれ!いい?」

 強引に進藤に渡し、着替えてこさせる。

「・・香坂先生って・・。進藤先生のサイズ良く知ってますね・・。」

 たまきは少し焦る・・。

「なんでよ・・。大体、あの人の背丈くらいでわかるでしょ・・。」

 太田川はまたしても、首を捻る・・。

「・・・どうだ?」

 たまきは、進藤の足先から頭までをじっくりと見つめ、満足そうに微笑む。

「いいわよ。それ結構似合ってるわね。カッコいいんじゃない?まぁあたしの横に並ぶんだとしたら、かなりいいわよ。」

 満足そうに頷く。進藤は苦笑して、それを購入した。

「カッコいいですね。矢部君、ちゃんとした服もってるのかなぁ・・。」

 心配になってきた。

「どうかしらねぇ・・。まぁいいじゃないの。」

 結構楽天家だ・・。

「さ、あとはお前だけだぞ・・。」

 疲れの色が見えてきた進藤・・。

「わかってるわよ・・。どんなのがいいかなぁ・・。あまり派手だとねぇ・・。面倒だしね・・。」

「何が面倒なんですか?」

 太田川が尋ねるとたまきは苦笑する・・。

「色々とね・・。大変なのよ・・。」

 色々と手にとって、選ぶ・・。

「これなんかどうだ?」

 進藤が選んだ服を見ると、たまきは首を横に振る・・。

「嫌よ・・。地味すぎ・・。どれにしようかなぁ・・。」

 いつのまにか、二人で選んでいる・・。太田川はそのまま二人を見つめて、感づいた・。

(二人、やっぱり付き合ってるな・・。)

 結局、たまきが選んだものにして、進藤は不満そうだった・・。

「じゃ、決まったから、食事にする?」

 たまきのその言葉で食事を済ませ、解散することにした。

 

〜当日〜

 女性陣と男性陣は別々に、待ち合わせをして、たまきは太田川をちゃんとドレスアップをして、自分も着替えて準備を整える。

「うわぁ、素敵ですね。香坂先生!良く似合ってます。やっぱり香坂先生は大胆なドレスが良く似合ってますよね。」

 たまきは苦笑して軽く太田川を睨む。

「どういう意味よ・・。やっぱりって・・。太田川さんは、すごい大変身よ。驚くわよ〜。」

 集合場所にたどり着くと、みんなは二人を見て驚いている・・。特に太田川を見て・・・。

「すごい!一瞬誰かわからなかった!似合ってるわよ。太田川先生!」

 みんながほめてくれて、太田川はテレながらも嬉しそうだ・・。たまきも嬉しそうだ。

「ありがとうございます・・。香坂先生が選んでお化粧も全部してくれたんです・・。」

「何言ってるのよ・・。元はあなたなんだから・・。自信持ちなさいっていってるでしょ?」

 会場に揃っていくと、男性陣はまだ来てないみたいだ・・。

「ったく・・。何やってるのよ・・。あ、ちょっとトイレ・・。」

 たまきは、家を出るときバタバタしてトイレにいけなかったため、トイレにいくことにした。

 数分後、男性陣がやっと現れた・・。

「お待たせ〜。あれ?誰?・・・おっ太田川〜?まじで?」

 矢部をはじめとする男性陣は驚いて、太田川を見つめる・・。

「そんなに見ないでくださいよ・・。恥ずかしいじゃないですか・・。」

 照れて居心地悪そうにしている・・。

「あれ?香坂は?」

 さすが、進藤・・。たまきがいないのに、気づく・・。すると、遠くから機嫌が悪そうなたまきがやってきた・・。

「どうしたんですか?怖い顔して・・。」

 太田川が尋ねると、

「ったく・・。トイレでたら、男の人がしつこく言い寄ってきて・・。頭に来ちゃった。ったく・・。」

「でも、そんな格好してたら、声もかけたくなりますよ・・。」

 たまきは城島を睨む・・。

「・・・・。」

 たまきの買った服は進藤が見た服じゃなかった・・。

「・・・・何?」

 たまきは進藤を睨む・・。

「・・・行こうか・・。」

 二人の雲行きが悪くなってきたので、さっさと中に入ろうとする・・。二人はみんなの後ろについていく・・・。

「・・・この前、選んだのじゃないじゃないか・・。前も後も開きすぎじゃないか?」

 不機嫌そうに呟く。

「・・・いいじゃない・・。これが着たかったんだから・・。あなたの前でこれ買おうとすると、だめっていうじゃない・・。そういうと思ったから、内緒で摩り替えたんじゃない・・。」

 小さい声で言い合っているため、誰にも聞こえない・・。

 パーティが始まっても、進藤は気が気じゃない・・。男の視線は、たまきに釘付けだ・・。声をかけようとするやつもいるが、遠くから進藤の怒りのオーラを察して、逃げていく・・。

「・・・進藤先生、大変ですね・・。あんな格好されたら、心配で楽しむどころじゃないですよね?」

 城島が山城をつれて、やってきた。

「・・・別に・・。」

 二人は進藤の顔を見て、つい笑う・・。

「その顔でそういわれても、説得力ないですよ?心配だったら、ずっと隣にいたらどうですか?」

 進藤はバツの悪そうに微笑む・・。

「・・・仕方ないな・・。」

 そういいながらも、嬉しそうにたまきのほうに、向かう・・。二人は笑って見送った・・。

「素直じゃないな・・。進藤先生も・・。」

 

「あら?どうしたの?怖いわよ?顔・・。お腹すいたの?これ、食べる?おいしいわよ?」

 たまきは進藤に気づいて、皿に盛り付けてくれる・・。

「・・・サンキュ・・。」

 皿を受け取り、たまきの隣で食べる・・。

「美味しいでしょ?あなたに持っていこうとしたら、あなたが来たから手間が省けたわ。」

 さり気ないたまきの優しさに、嬉しそうな進藤・・。それを遠くから見つめる港北メンバー(笑)

「なかなか、いい感じだね・・。やっぱりあの二人付き合ってるんだね・・。」

 そこには、太田川と矢部もいない・・。違うところで仲良く?食べ物を選んでいる・・。

 

「・・・進藤先生じゃないですか?・・・やっぱり!」

 髪が長い女性が声をかけてきて、たまきは女性の顔をみて、進藤を見る。

「?・・・誰でしたっけ?」

「 都立第三でお世話になりました。小島です・・。あ・・。こちらは、彼女ですか?」

 笑顔で話しかける。進藤は頷くと、たまきもお辞儀をする・・。

「・・・他のやつには、内緒だぞ・・。元気そうだな・・。」

「ええ・・。そりゃもう・・。やっぱり進藤先生、救命医してらっしゃるんですね。よかった。」

 全て知っているようだ・・。たまきは、複雑そうな顔をしている。

「あっそうだ。ちょっとみんなのところに言ってるわ。じゃ、ゆっくりとどうぞ。」

 進藤は不思議そうな顔をするが、気づいて苦笑している・・。

「あ・・。もしかして、気を悪くさせちゃったんですかねぇ・・。お邪魔しちゃいましたね・・。じゃ、挨拶だけと思ってたので・・。失礼します・・。」

 進藤もみんなのほうにやってきて、たまきに視線を向け、苦笑する・・。

「あら・・。話済んだの?せっかく気を使ったのに・・。」

「要らない世話するな・・。」

 たまきは椅子に座っている・・。たっている進藤からは、たまきの大きく開いた胸元が、見える・・。つい、じっと見つめてしまう・・。男の性・・。

「ん?何見てるの?」

 進藤の視線に気づき、視線の元をたどってみると、

「どこ見てるのよ・・。すけべ!」

 進藤を睨み、どこかへ行ってしまった・・。

「・・・・。」

「仕方ないですよね・・・。あんなセクシーな服着てるのに・・。」

 城島が意味深な笑みを浮かべて進藤を見ると、不機嫌そうに城島を見る・・。

「・・・・・。」

 たまきの元へと急ぐ・・進藤・・。

「行動は素直なのにな・・。」

 みんなは、進藤の後姿を見て、笑っている・・。進藤は、たまきを見つけようと必死だ・・(笑)

「誰探してるの?」

 たまきが進藤を見つけ、声をかける。

「・・・お前だよ!ったく・・。変なヤツに声を掛けられたらどうするんだ!」

 たまきの腕を引き寄せて、隣に立たせる。

「ちょっと、みんなに見られたらどうするのよ・・。」

「もう遅いですよ・・・。っていうか、もうばれてますって・・。」

 二人が慌てて後を振り向くと、みんながニヤついて、見ている・・。

「・・・・はぁ・・。」

 たまきはため息をついて、諦めた・・。それからは、二人はずっと傍に寄り添っていたのだった・・。

 

〜END〜

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