(桜井)「えっと、香坂先生、お客さんです・・。」

 と、桜井が女性を連れてやってきた・・。

(たまき)「ん?わかったわ・・。そこに座って待ってて・・。ちょっとこれやってからね。」

 見たこともない女性だったが、優しく微笑んで作業を済ませる・・。



〜禁断の恋?!〜



 作業を終えたたまきがソファに座り、彼女の顔をじっと見ている・・。そして、何かを考えるような表情をする・・。

(たまき)「えっと、どちら様ですか?・・思い出せないのですが・・。」

 申し訳なさそうに微笑む・・。

(真田)「あ・・。真田真紀といいます・・。いつも、シエロのサンドイッチを買いに来られてますよね?そこで、バイトをやってます・・。」

 たまきは思い出したような表情をしている・・。

(たまき)「ああ、思い出した・・。ごめんなさいね・・。いつも慌しく買って仕事行っちゃうから・・。あたし、好きなんですよ・・。」

 照れたように、微笑むと、真田は嬉しそうにしている・・。

(真田)「わかります・・。いつも嬉しそうに選ばれてますから・・。」

 そこに、コーヒーを持ってきた進藤が笑っている・・。

(進藤)「そんなに、嬉しそうに買ってるんですか・・。いつも同じものを買うくせに・・。」

 たまきは、進藤を睨む・・。

(たまき)「だって、好きなんだもん・・。野菜サンド・・・。今度あなたも食べてみなさいよ。おいしんだから・・。」

 進藤は笑いながら、机に向かう・・。真田は、進藤を見ている・・。

(真田)「・・・。」

 たまきは、首を傾げて訊ねる・・。

(たまき)「何?進藤先生知ってるの?」

 真田は首を横に振る・・。

(真田)「いいえ・・。」

 モジモジとしている・・。たまきは、納得したように眉を潜める・・。

(たまき)「(心の中)進藤先生のこと好きなんだ・・。でも、なんであたしに会いにくるのかしら?・・・えっと、それで私に何か用事?」

 真田は頬を染める・・。たまきはますます怪訝な顔つきになる・・。

(たまき)「もしかして、進藤先生の仲を取り持てとか?」

 声が聞こえたのか、怪訝な顔でこっちを見ている進藤・・。

(真田)「いえ、違います。これ、読んでください。それでは・・。」

 手紙をたまきに渡し、恥ずかしそうに医局を出て行ってしまった・・。

(たまき)「え?え?・・・手紙?」

 わけもわからず、その場で手紙を見つめる・・。

(馬場)「ラブレターっすか?もてもてっすね・・。男にももてるけど、女の人からも、もてるんですね・・。」

 たまきは馬場を睨んで、その手紙を持って、屋上にいった・・。

〜屋上〜

 たまきはベンチに座り、ハサミをポケットから取り出し、丁寧に封を開ける・・。

 『 香坂先生へ、いつも嬉しそうにサンドイッチを買っていくその姿をずっと見てました・・。同じ女性として、羨ましいくらい、素敵です・・。ずっと、香坂先生のこと好きでした・・。女が女を好きっていうのは、変だと思われるでしょうけど、好きです。』

 たまきは、読み終わると、苦笑して封筒に直した・・。

(進藤)「何て書いてあったんだ?」

 微笑んでたまきに訊ねる・・。

(たまき)「・・・告白されちゃった。見てみる?」

 苦笑して進藤を見る・・。少し驚いたようにたまきを見ている・・。

(進藤)「いいのか?」

 でも、読みたそうだ・・。

(たまき)「いいわよ・・。別に・・。」

 進藤は受け取り読む・・。そして、苦笑して手紙を返す・・。

(進藤)「もてもてだな・・。」

 たまきは苦笑して、ポケットにしまう・・。

(たまき)「・・・なに言ってるのよ・・。ただの憧れよ・・。・・・焼きもち妬いてるの?」

 意地悪そうに微笑んでいる・・。

(進藤)「・・・何言ってるんだ・・。」

 ばかばかしいとたまきを睨む・・。二人は笑いあって、その件は済まされたかのように思えた・・。



 数日後、お昼にしようと屋上で、いつものサンドイッチの箱を取り出したときだった・・。

(たまき)「あれ?変ね・・。」

 首を傾げて財布からレシートを取り出す・・。

(進藤)「どうしたんだ?」

 たまきを見る。

(たまき)「買ってないのに、ミックスサンドが入ってる・・。間違ったのかな・・。あとで、お金払えばいいかな・・。」

 食べ物だから返すわけにもと思い、そのまま食べることにした・・。

(進藤)「そうだな・・。」

 おかしいと思いながらも、食べていたが、こういうことが度々起こることになった・・。



 医局で、何気なく会話していたときのことだった・・。

(桜井)「あのぉ、香坂先生宛てに、花束が届いてますけど・・。」

 たまきは怪訝な顔で、桜井から花束を受け取る・・・。

(たまき)「・・・誰だろ・・。」

 検討が付かない・・。差出人はない・・。

(進藤)「・・・もしかして、あの女の子じゃないか?シエロのサンドイッチのだって、あの子だったら、箱に入れることだって出来る・・・。」

 たまきは、眉を潜めて考える・・。

(たまき)「・・・そうなのかな・・。なんか、気味が悪いわね・・。思われることは嬉しいけど・・。赤いバラなんて・・・。」

 たまきの表情が曇る・・。

(太田川)「花言葉は確か・・・。情熱の恋とかですよね・・。」

 たまきは静かに頷く・・。そこへ・・・。またしても桜井が花束を持ってくる・・。

(桜井)「今度は・・。進藤先生になんですが・・・。」

 進藤は怪訝そうに受け取り、差出人を確認しようにも、同じように書いてない・・。

(たまき)「・・・黄色いバラ・・。・・・。」

 ますます表情が曇る・・。

(太田川)「あの・・・。花言葉は・・・?」

 たまきは、太田川を見ながら、ため息をつく・・。

(たまき)「・・・嫉妬よ・・・。」

 進藤も怪訝な顔つきになる・・。

(進藤)「・・・嫉妬・・。」

(たまき)「笑い事じゃなさそうね・・・。私のは、丁寧に棘抜いてるけど、進藤先生のは、抜いてない・・・。何事もなければいいけど・・・。」

 重い空気が医局に漂ってくる・・。



 その後、特に何かをされることはなかったが・・。

(たまき)「・・ん?・・・気のせいか・・。」

 机を見ると、机の上が整っている・・。

(進藤)「どうした?」

 たまきの様子に気がついて、さり気なく尋ねる・・。

(たまき)「・・・なんか、机が綺麗になってる・・。花まで飾ってる・・。」

(進藤)「誰かが、やってくれたんじゃないか?太田川とか・・。」

 たまきは、太田川を探すが、医局にはいなかった・・。

(たまき)「ねぇ、矢部君。太田川さん見かけなかった?ちょっと聞きたいことがあるんだけど・・。」

(矢部)「え?太田川は今日、休みですよ?」

 たまきは、思い出した・・。休みだった・・。

(たまき)「ねぇ、私の机誰か、触った?」

 みんなに聞いて回るが、触ってない・・。たまきは、気持ち悪くなった・・。

(進藤)「・・・誰も知らないって?・・・医局だから関係者以外立ち入り禁止のはずだが・・。」

 心配そうにたまきを見る・・。

(たまき)「でも、誰も触ってないっていうことは・・・。あの子が忍び込んで?・・・嫌だ・・。」

 進藤を見つめる・・。

(進藤)「・・・どうにかしないとな・・・。どうしようかな・・。」

 二人は、頭を抱え込んで考える・・が、救命なので、見かけない人はたくさんいる・・。そこで誰が怪しいかなんてわからない・・。

(たまき)「とりあえず、気をつけることにするわ・・。」

(進藤)「そうだな・・。出来るだけ、一人で行動するのは、良くない・・。必ず誰かと一緒にいるようにしろよ・・・。」

 それからは、たまきは一人にならないように、ICUに行ったり、医局でも誰かと一緒に過ごすようにしていた・・。

(進藤)「変わったこと無いか?」

 心配そうにたまきに訊ねる・・。

(たまき)「・・・無いけど・・。」

 精神的にも参っているようだ・・。食欲もないため、気持ち痩せたように見える・・。

(進藤)「今なら、人いるから仮眠とっておけ・・。倒れても困る・・。」

 たまきは、限界を感じていたので言うとおりに仮眠室に入った・・。

(たまき)「じゃ、何かあったら起こしてください。」

 進藤も一緒に入っていき、たまきが眠るのを見届けた・・。

(進藤)「ゆっくり眠れよ・・。」

 たまきの頭を撫でる・・。

(たまき)「うん・・。ごめんね・・。」

 微笑んで、ゆっくりと目を瞑ると、すぐに規則正しい寝息が聞こえてきた・・。

(進藤)「もてるのも、困るな・・。」

 苦笑しながら、カーテンを閉じる・・。

(神林)「困ったねぇ・・。俺たちも注意しとくね・・。」

(進藤)「お願いします・・。」

 急患が入ってきても、必ず誰か一人残るようにしていたのだったが・・。

『事故で5名お願いできますか?他の病院にも回してるんですが・・。』

 進藤は、たまきを起こそうかと思ったが、気持ち良さそうに眠っていたため、そのまま寝かせることにした・・。

 誰かを残していきたかったが、5名のため、医局にはたまき一人・・・。

・・・ガチャ・・・・

(たまき)「・・・ん・・・。」

 誰かが医局に入ってきた・・。たまきは、医局の誰かだと思い、そのまま眠りに再び付こうとした・・。

・・・・ガラ・・・

 カーテンを開ける音も・・・。たまきは、進藤だと思った・・・。誰かが、自分のほうを見つめている気がしたが、眠りを続けることにした・・。

(真田)「・・・香坂先生・・。寝顔もかわいいですね・・。」

 小さい声で呟き、たまきの頬に手を当てる・・。

(たまき)「ん・・・・?一生・・?」

 しかし、その手に違和感を感じる・・。進藤の手ではない・・。

(真田)「そんなに、あの男がいいんですか?」

 女の声がする・・・。たまきは、慌てて目を開けると・・・・。

(たまき)「なんで・・・。みんなは・・・?誰か・・・ぐ・・・。」

 声を出して、助けを呼ぼうとするが・・。口を塞がれる・・。

(真田)「なんで、そんなに怖がるんですか?大人しくしていれば、何もしません・・。」

 微笑んでたまきの顔をゆっくりと撫でる・・。

(たまき)「・・・どうして、こんなことを?」

 絞るように声を出す・・。恐怖で体が震える・・。

(真田)「手紙見たでしょ?香坂先生のこと好きだから・・・。全てを私のものにしてしまいたい・・。」

 たまきの顔が引きつる・・・。

(たまき)「止めて・・。」

 ゆっくりと顔が近づいてくる・・。たまきは、手で制すが・・・。力いっぱい押さえ込まれる・・。

(真田)「・・・怖がらないでください・・。優しくしますから・・。」

 たまきの唇を奪う・・。たまきは、顔を必死で振り、拒絶を示すが・・・。

(たまき)「・・・ん・・・。やめっ・・・。」

 真田の唇がたまきの首筋に向かう・・。

・・・ガチャ・・・。

(進藤)「たまき?・・・・・おい!なにやってるんだ!」

 医局に入ってきた進藤が、仮眠室のカーテンが空いてたので、不思議に思い、入ってみるとそこには・・・。

(たまき)「一生・・。助けて・・。」

 たまきが真田に襲われている所だった・・。

(進藤)「止めろ!」

 真田を仮眠室のソファに突き飛ばし、たまきを抱きしめる・・。

(真田)「キャ・・。香坂先生を独り占めして・・。私のものよ・・。手を出さないで・・・。いいところだったのに・・・。」

 たまきは進藤にしがみついた・・。

(たまき)「怖かっ・・・。」

 進藤の温もりを感じ、安心したように涙を流した・・。

(神林)「どっどうしたの?ちょっと、そのこ・・・。」

 真田と、二人を見て、驚いている・・。

(進藤)「警察を呼んでください・・。」

 すると、たまきが声をかける・・。

(たまき)「警察は辞めてあげて・・。お願い・・。私がはっきりと言うわ・・。真田さん・・。あなたの気持ちには、答えられない・・。それに、私は誰のものでもないわ・・。」

 真田は、たまきの顔をじっと見ていたが、たまきのその優しいまなざしをみて、涙を流す・・。

(真田)「・・・ごめんなさい・・。本当にごめんなさい・・。こんなことするつもりじゃ・・。もう迷惑をかけるようなことはしません・・・。」

 たまきは優しく微笑む。

(たまき)「・・・お願いね・・。今度同じ事をしたら、警察を呼ぶからね。今回だけよ?」

 真田は何度も何度も謝り、病院を後にした・・。

(進藤)「いいのか?・・・お前、襲われたんだぞ・・。」

 進藤は憮然とした表情をしている・・。

(たまき)「いいの・・。私が良いって言ってるんだから・・。何よ・・。文句あるの?」

 進藤は、ため息をついて、たまきを抱きしめる・・。

(進藤)「お前って、優しいやつなんだな・・。あいつが男だったら、殴りつけるとこだった・・。・・・女に襲われるなんてな・・。」

 たまきは苦笑している・・・。

(たまき)「優しいって今知ったの?ったく・・・。私だって同じ女性に襲われるなんて、思っても無かったわよ・・。」

 進藤はたまきの顔を見て、二人で笑いあった・・。

(進藤)「まぁ、お前が無事で良かった・・。」

 二人は、そのままキスをするとこだったが・・・。咳払いをする人が一名・・。

(神林)「あ、あのさぁ・・。ここ医局なんだから・・。そういうことは、家でね?」

 二人は、苦笑して仕事に戻ったのだった・・。



〜END〜

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