〜実践?!〜

 

 馬場がため息をつく・・。

「はぁ・・。」

 進藤が笑って、馬場に話しかける。

「どうしたんですか?・・・あのことでまだ、悩んでるんですか?」

 馬場は進藤を恨めしそうな顔で見ている・・。たまきは第一外科に行っているので、いない・・。

「・・・どうやったら、ああいう風に出来るんですか?」

 進藤は苦笑する・・。

「どうやったらって言われても・・。さり気なくやればいいじゃないですか・・。」

 馬場はまた深くため息をつく・・。

「さり気なくか・・。」

 進藤は、頷いている・・。

「・・・見たんじゃないんですか?・・・俺たちのを・・。」

 苦笑して、馬場を見る。

「・・・見たけど・・。・・・すげぇ、なれてましたよね?」

 進藤は返答に困る。

「・・・慣れてるって・・。別に・・。」

「・・・はぁ・・。」

 馬場を残して、屋上に上がった・・。

〜屋上〜

 きっと、たまきがあの場所にいたら、顔を真っ赤にして怒りそうだな・・。

と、苦笑してタバコを吸っていると、たまきが笑って屋上に来た・・。

「何、苦笑してるのよ・・。なんかあった?」

 勘の鋭いたまきが進藤に聞くが、

「・・・別に・・。また、馬場先生が悩んでた。」

 たまきは同じように苦笑する・・。

「男らしくないわね。決めるとこはちゃんと決めなきゃ・・。桜井さんがかわいそうよ・・。」

 進藤はそんなたまきに苦笑する・・。

「お前は、そういう面でいうと、恵まれてるってことか?」

 たまきは進藤を睨み、進藤から離れる・・。

「・・・なんで、離れるんだ?」

 不満そうにたまきに近寄るが、たまきも逃げる。

「・・・襲われそうだもん。誰かさんったら、TPOわきまえないんだもん。・・・だから、二人に見られたじゃない・・。」

 進藤を睨み、また離れる・・。

「・・・襲うってな・・。別にそういうことしてたわけじゃないだろ・・。お前だって、拒まなかったじゃないか・・。俺だけの責任じゃ・・。」

 というと、たまきが怖い顔をして、背を向けて進藤から思いっきり離れる・・。

「・・・最低ね・・。ったく・・。あなたの傍に居なければああいうことには、ならなかったんだから・・。近寄らないようにするわ。」

 たまきを軽く睨み、ため息をつく。

「・・・わかったよ・・。悪かった・・。こっちに来いよ。」

 たまきは意地悪そうな顔をして、首を振る。

「あなたがこっちに来なさいよ。」

 進藤は苦笑して、たまきのほうへと歩きだすと、屋上の入り口から誰かが入ってきた。慌てて二人は身を潜める・・。

「・・・誰かしら・・。」

「さぁな・・。」

 別に悪いことをしてたわけじゃない二人だったが、隠れている・・。

 

「ねぇ、こんなとこに呼び出して、何の用事ですか?」

 桜井が、怪訝な顔をして馬場に尋ねる。

「・・・別に休憩中なんだからいいじゃないか・・。そんなに忙しいわけじゃないだろ。」

 桜井は、嬉しそうだが・・・。

「そうだけど・・。・・・寒いじゃない・・。」

 白衣は仕事柄半袖である・・。カーディガンを忘れた桜井は寒そうだ・・。

「じゃ、これなら寒くないだろ?」

 さり気なく馬場が桜井を包み込むように、抱きしめる。

「ちょっちょっと。誰かに見られたら、どうするのよ・・。」

 恥ずかしそうにしているが、馬場は桜井を離さない・・。

「・・誰もこねぇって。」

 諦めたのか、桜井は大人しくなる。

「あったかいな。こうやってると・・。進藤先生の気持ちがわかるよ・・。」

 覗いていたたまきが進藤を睨む。苦笑した進藤がたまきの頬をつねる。

「・・・痛いわよ・・。」

 小さな声で、苦情を言う・・。

「・・・黙ってろ・・。せっかく馬場先生が勇気を出してるのに・・。」

 たまきは憮然とした顔をして、馬場たちを見る。

「・・・そうね・・。香坂先生の気持ちもわかるわ・・。なんか、安心する・・。」

 恥ずかしそうに呟く。進藤は、たまきを意地悪そうに見るとたまきは進藤の頬をつねる。

「・・・痛いじゃないか・・。」

「うるさい・・。」

「・・・なぁ、桜井。・・・好きだ。」

 桜井は、驚いて馬場を見る。

「・・・知ってるわよ。どうしたの?」

 微笑んで馬場を見る。

「いやな・・。言いたくなっただけだ・・。」

 というと、真剣なまなざしになり、桜井を見つめる。桜井は、恥ずかしそうにしているが、馬場を見つめ返す。

「・・・桜井・・。」

 二人の顔が重なる・・。それは、軽いものだったが、今の二人にはそれが精一杯なものだった・・。

「・・・なんか、照れるな・・。」

 馬場がボソッと呟くと、桜井も頬を赤らめ、頷く。

「・・・うん・・。でもなんか、馬場先生に近づいたみたい・・。よくわかんないけど・・。」

 桜井は優しく微笑んで馬場を見る。馬場は嬉しそうな顔をする・・。

 と、その時・・。

・・・ガタッ・・・

「・・・誰かいるのか?」

 馬場が音のするほうに、声をかけ、怪訝な顔をしている・・。

「・・・バカ!何音立ててるのよ・・。ばれちゃったじゃない・・。」

「お前が俺にもたれ掛かるからだろ・・。」

 小さな声で喧嘩をしていると、知らないうちに二人が、進藤たちのところにいた・・。

「・・・進藤先生!」

「・・・香坂先生!」

 二人は顔を真っ赤にして、抗議している。

「・・・何よ・・。文句ある?・・・あなたたちだって、覗いてたじゃない・・。」

 たまきは、罰が悪そうにしていたが、たまきらしい言い訳をする・・。

「・・・すまんな・・。別に覗くつもりじゃなかったが・・。お前たちがあんなことをしてるから、驚いて・・。出るに出られなかった・・。」

 苦笑して二人を見る。

「・・・まぁ、先生たちのお陰で、実践できました・・。」

 馬場が恥ずかしそうに呟く・・。

「・・・でしょ?お手本が良かったってことね。・・・感謝しなさい。」

 たまきの言い草に3人は大笑いをしている。たまきは、憮然とした顔をする。

「なんで笑うのよ・・。笑うとこじゃないでしょ・・。ったく・・。」

 そういうたまきもつられて笑った・・。

「・・・桜井さん、良かったわね。簡単でしょ?意外と。」

「・・・そんなことないです・・。」

 桜井はテレながらも、嬉しそうにしている・・。そんな桜井を馬場が優しそうに見つめていた・・。

 

 二人は、進藤たちを残し屋上から出て行ってしまった・・。

「・・・やっと、勇気を出したのね・・。良かったじゃないね。」

 嬉しそうに話すたまきを見て、進藤も笑う。

「そうだな・・。これで、あのため息を聞かなくてもいいな・・。」

 たまきは首を傾げるが、なんでもないと進藤は言った・・。

「・・・・でも、今度はそれ以上が進めないって言いそうね。あの二人だったら・・。そればっかりは、見せれないけどね。」

 苦笑して進藤を見る。

「・・・じゃ、見せるか?」

 意地悪そうにたまきを見ると、たまきは進藤を睨む。

「・・・バカじゃない?・・・・変態・・。」

 たまきが怒って医局に戻ってしまった・・。進藤は苦笑して、タバコに火をつけた・・。

「・・・冗談なのにな・・。」

 その背中は寂しそうだった・・。

〜END〜

 

〜後日談〜

 再び、ため息をつく馬場の姿があったのだった・・。二人は苦笑して、その姿を見ていたのだった・・。

「・・・やっぱり・・。」

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