『密着!救命センター24時〜患者の命を救え〜』
神林と婦長が神宮教授に呼ばれる・・。
「珍しいねぇ・・。婦長まで呼ばれるの・・。いつもは、神林先生だけなのに・・。」
二人揃って、出て行くのを見て、馬場が呟いている。
「まぁ、神宮教授のことだから、面倒なことなんじゃない?・・そうじゃなきゃいいのに・・。」
ため息をつきながら、たまきも呟いている・・。
〜教授室〜
二人は中に通され、不安そうに教授の顔を覗き込んでいる・・。教授は、不適な笑みを浮かべているようにも見える・・。
「どうしたんだ?二人ともそんな顔して・・。まぁ、かけたまえ・・。」
教授は二人をソファに座らせて、なにやら資料を二人に、渡した・・・。
「これは?・・・特番?テレビの取材ですか?」
資料に目を通しながら、驚いて顔を上げる・・。
「ああ・・。まぁ、ここらへんで一番うちがセンターとして大きいからね・・。30分くらいうちの病院が流れるらしいんだけど。一ヶ月取材をさせてほしいそうだ・・。来週からよろしく頼むよ。」
すでに、先方には承諾しているようだ・・。二人はため息をつきながら、医局と詰め所に戻ったのだった・・。
〜医局〜
暗い顔をした神林が戻ってくると、みんなは一斉に視線を向ける・・。
「なんだったんですか?」
心配そうにたまきが質問すると、ポツリポツリと話し始める・・・。
「なんかね、来年の春くらいに放送されるらしいんだけど・・。来週からテレビの取材が来るからよろしく頼むって・・。ようするに俺たちはいい宣伝材料らしい・・。」
みんなは驚いている・・。しかし、馬場・矢部・太田川は、テレビに映れるとはしゃいでいる・・・。
「よく、喜んでられるわね・・。テレビなんて治療の邪魔になるだけじゃない・・。ヘマなんかしないけど、なんか問題が起きたらどうするのよ・・。インタビューとかって、面倒だし・・。」
嫌そうに3人にたまきが話す・・。
「・・・でも、救命が取り上げられたら、がんばっていることを見てもらえるじゃないですか・・。医者になりたいっていう人が出てくるかもしれませんよ?」
太田川が、たまきに自分の考えを説明するが、ため息をついて太田川を見ている。
「そういってもね・・。精神的にも疲れるわよ・・。気が抜けないし・・。」
たまきは、嫌そうにしているが、結局取材が入ることは止められない・・。
〜取材開始〜
取材陣が、挨拶をしてこれからの取材予定などを説明する・・。
「治療の邪魔だけは、しないようにしてください・・。ここは、一刻を争う患者が沢山運ばれてきます・・。命の大切さなどを、見てくれる人にわかってもらいたいですね・・。」
神林が、注意と望みを言っている・・。
「あと、プライベートなこととかは、絶対に聞かないでくださいね。あと、休憩中とか仮眠しているときとかは、写さないでください・・。」
たまきが、怪訝な顔でそういうと、進藤が突っ込みを入れる・・。
「テレビの前でそういう顔してると、評判が落ちるぞ・・。」
たまきは、進藤をきつく睨む・・。
「私は、顔で働いてるわけじゃないわ・・。ったく・・・。それだけよ。私が言いたいのは・・・。」
というと、早速カメラで撮影していく・・。みんなは最初は浮き足立っていたが、徐々に慣れてきて、いつものように治療に専念していった・・。
『40歳。心筋梗塞の疑いの患者さんの受け入れお願いします・・。意識混濁。ショック症状があります・・。』
すぐに、たまきを先頭に準備を進める・・。カメラもたまき中心に映し出していく・・。
患者が運ばれてきたときにはすでに、心肺停止状態だった・・。
「心肺停止してから何分ですか?すぐに挿管して、ルート確保!」
ストレッチャーで運びながら、指示を出す・・たまき・・・。かっこいい・・。
「ベッドに移すわよ・・。1,2,3・・・。挿管チューブちょうだい。」
進藤が心臓マッサージを開始する・・。
「ルート入ったら、エピクイック急げ!DC200でチャージだ。」
そのチームワークは目を見張るものがある・・。的確で無駄が無い・・・。
「心拍再開しました・・。」
「Aラインとって、あとECG、エコー。」
たまきはすぐに次の指示を出す・・。
「・・・結構梗塞がひどいわね・・。」
「先生、ブラディです・・。」
「・・・矢部君、急いで第一外科に連絡して、PCPSの準備をして!」
矢部はすぐに準備に取り掛かる・・。
「どうするんだ?補助的にやってから・・。」
進藤は専門のたまきに訊ねながら、心臓マッサージをする・・。
「とりあえず、機械的に循環を補助して、できれば冠動脈の再還流をはかるOPをしたほうがいいわね・・・。」
「PCPS到着しました・・。」
すぐに処置に取り掛かる・・。
「・・・これで、とりあえず補助されているから・・・。このままOPしましょう・・。OP室準備!私が執刀します・・。」
すぐに、OP室に向かい、手術することになった・・。
たまきと進藤がOPへ・・・他の医者は医局で待機となった・・。
〜医局〜
疲れたように椅子に座り、手術が終わるのを待つ・・。
「あのぉ、今インタビューしてもよろしいでしょうか?」
レポーターがマイクを馬場に向ける・・。
「え?は、はい・・。」
緊張のあまり、声が裏返ってしまった・・。他のみんなは笑って見つめている・・。
「あまり見るなよ。恥ずかしいじゃねぇか・・。」
顔が引きつりつつ、みんなを睨むが、その顔で睨まれても余計笑いを誘うだけだった・・。
「えっと、馬場先生は以前海外でご活躍されてたそうですが、どうして救命で働こうと思ったんでしょうか?」
馬場は気を取り直し、咳払いをして答える。
「そうですね・・。俺は整形担当ですが、海外ではそういうことは一切関係ありませんでした・・。どんな患者でも診ないといけない状態で・・。そういうところが救命と似てるし・・。一人でも多くの患者さんを救いたいと思ったからです・・。」
意外と(?)真面目に答える・・・。
「ありがとうございます・・。じゃ、城島先生・・。」
城島にマイクを向けると、冷静に返事をする・・。馬場が睨んでもクールに見返している・・。
「なんでしょう・・。」
「城島先生は、移植医を目指されているそうですよね?それはどういった理由でしょうか?」
城島は考えるようにしてから、冷静に答える。
「そうですね・・。今までは助けられないとされていた疾患を、臓器を移植するといった方法で、助けられるようになって、私も馬場先生と同じで一人でも病気で苦しんでいる患者を一人でも多く救えるようにと・・。」
「すごいですね・・。あ、そうだ。奥さんもここで働かれてるそうですが・・。大変じゃないですか?同じ職場でそれも、救命でというとなると・・。」
城島は苦笑する。
「そうですけど、仕事に関してお互いのことを理解できるし、まぁ、忙しくてすれ違うこともあるますが・・。・・・プライベートなことは、これくらいに・・。」
それから、順番に質問されていた・・。
・・・すると、電話がなり、手術が無事成功したということだ・・。
「はぁ、疲れたわね・・。・・・お疲れ・・。」
後から一緒に帰ってきたたまきが、少し微笑んで進藤に話す・・。
「見事だったな・・。やはり餅は餅屋だな・・。」
進藤も少し微笑んで、椅子に座りながら答えている・・。
「お疲れぇ、大変だったねぇ・・。さすがだねぇ、あの状態で成功させるなんて、さすが香坂先生だね。」
神林が笑顔で褒め称えている・・。
「いえ・・。それが私の専門だし・・。まぁ一時はどうなるかと思いましたが・・。でも、これからが勝負ですね・・。上手く回復してくれればいいけど・・。・・・難しいですね・・。」
たまきは苦笑しながら、答えている。
「香坂先生、進藤先生。コーヒーどうぞ。」
太田川が二人にコーヒーを入れてくれた・・。
「ありがとう・・。」
二人は笑顔で受け取る・・。
「あの、香坂先生。インタビューいいでしょうか?」
たまきは、疲れてるのに・・。と、少し不満そうだが・・。しぶしぶ承諾する・・。
「少しだけなら・・。」
「心臓外科医とお聞きしてますが・・。何か目標とかありますか?」
「えっと、そうですね・・。目標っていうのかな・・。明日の10人より、十年後の10万人の心臓疾患の患者の命を救うことですね・・。そのために、日々努力してます・・。」
レポーターは、たまきを尊敬するように見ている・・。
「すごいですよね・・。同じ女性として、尊敬します・・。救命にいるのは、どうしてでしょう?心臓外科もここには、あるとお聞きしたのですが・・。」
たまきは苦笑する。
「・・・それは・・。最初は、第一外科にいて研究ばかりの毎日でした。そこでここに行くようにと、上司に言われて・・。最初は嫌だったんですけど。でも徐々に救命の魅力に気づきまして、今ではここでがんばりたいと思ってます。」
微笑んで答えている。みんなもたまきのその言葉に嬉しそうだ・・。
「・・・では、さっき言われていた目標は、諦めたのですか?」
たまきは苦笑する・・。
「いいえ・・。ここでも研究は出来ます。人の2倍がんばれば良いだけです。それに、救命は、心臓疾患の患者が多いので、ここで発揮したいと思いました。自分が目標を捨てなければ、どこにいても、実現できます。大切なのは場所ではなく、自分の志だと思います。」
これには、みんな驚き、しかしたまきらしいと感心している・・。
「ありがとうございました・・。・・・では、進藤先生よろしいでしょうか?」
進藤は、苦笑して頷く。
「進藤先生は、なぜ救命医をされてるんでしょうか・・。」
「なぜといわれても・・。救命は、医療の原点だから・・・。患者がいるから、俺たち医者がいる・・。この言葉は、以前ここの医局長だった先生がいってたんですが・・。俺もそう思います。一人でも多く救いたいという思いから・・。」
みんな頭の中で小田切医局長のことを考えて、目頭を押えている・・。
「そうですか・・。」
そこへ、桜井がやってきた・・。
「あの、手術をされた患者さん目を覚まされました・・。」
たまきと進藤が立ち上がり、ICUに向かった・・。カメラも一緒に・・。
「○○さん、どうですか?痛みとかありますか?手術無事終わりましたからね。」
たまきが優しく説明する・・。しかし、まだ管が喉に入れられている患者は、頷くだけだ・・。
「○○さん、もう少し安定したら、この管を取りますからね。もう少し我慢してください。」
力なく進藤の言葉にも頷く。
「桜井さん、バイタルに注意して、血圧をあまり上がらないようにしてね。あと、不整脈にも注意してね。」
桜井に指示を出し、その場を離れた。
「香坂先生、この仕事をしていて、辛いと思ったことは、ありますか?」
入り口でレポーターが香坂に尋ねる。
「そりゃ、ありますよ。どんなに優秀な医者でも思いますよ。患者を救えなかった時、医療の限界を感じたとき・・。自分のふがいなさを痛感させられます・・。」
「そういう時は、どういう風に克服されてるんですか?」
たまきは、考えながら答える。
「そうですね・・。どんなに努力しても助からないときは、助からない・・。冷たいように思いますが、これが今の現状です・・。でも、救えるように日々努力するしかないと思います。」
そういうと、医局に戻っていった・・。進藤はたまきの後ろ姿を見送った・・。その目は優しい・・。・・・その顔をカメラが捕らえていた・・。
「あの・・。進藤先生・・。香坂先生はどういう医者でしょうか?」
たまきのことを訊ねられ、進藤は苦笑する・・。・・なぜ、俺に?という顔をする・・。
「はぁ・・。最初はプライド高くて、口が達者なやつだったんだが、今は口だけじゃなくその腕も認めています。あいつは人一倍責任感が強くて、それでいて、深い優しさを持ってます・・。・・・信頼できる医者ですね・・。まぁ、気が強すぎっていうのもありますが・・。」
苦笑して話はいるが、目は優しい・・。
「そうですか・・。じゃ、女性としてはどうですか?」
その質問に怪訝な顔をする・・。
「それはどういった根拠ででしょうか?」
「いえ・・。特に深い意味はないですが・・。」
「・・・別に・・。あいつは、信頼できる同僚です・・。」
心に引っかかりを感じることに自分では気づかない・・。違和感は感じた・・。
「そうですか・・。変な事質問してすいませんでした・・。」
進藤はお辞儀をして、屋上へ向かった・・。
〜屋上〜
そこにはすでにたまきが、疲れたようにベンチに座っていた・・。
「お前もここに逃げてきたのか?」
苦笑しながら、屋上のフェンスにもたれ掛かり、タバコを吸う・・。
「そうよ・・。あなたも?ったく・・。早く終わらないかなぁ・・。」
「そうだな・・。面倒だしな・・。まぁ、治療中に問題はないが・・。」
たまきの方を見ながら、先ほどの質問を思い出し、苦笑する。
「何、変な顔してるの?なんか変なことでも聞かれたの?」
怪訝な顔をして進藤のほうを見る・・。
「・・・いや・・。お前がどういう医者なのかって・・。」
たまきはますます怪訝な顔をする・・。
「・・・なんて答えたのよ・・。変な事言ってないでしょうね・・。」
進藤を睨む。苦笑する進藤・・。
「変な事言ってない・・。まぁ、信頼できるやつですって・・。」
たまきは、ふーんという顔をして、進藤の表情からまだ納得いってない・・。
「他には?聞かれたんじゃない?」
進藤は苦笑する・・。
「どうしてだ?・・・勘がいいな・・。・・・女としてはどうですか?って・・。」
たまきは驚いている・・。少し頬を赤らめる・・。
「なんでよ・・。なんでそんなことあなたに聞かないといけないのよ・・。ったく・・。」
「さぁな・・。俺に聞かれても困る・・。」
二人は深いため息をつく・・。
「・・・んで、なんて答えたの?」
ふと気になり訊ねる・・。
「・・・信頼できる同僚です・・。って・・。」
苦笑して、答える。
「ふ〜ん。」
「なんだ?何か不満でもあるのか?」
「・・・別に?どうして不満があるのよ・・。」
「いや・・。」
少し気まずい空気が流れる・・。たまきはため息をついて、立ち上がり伸びをして歩き出した。
「はぁ・・。帰るのが気が重い・・。あなたの早く帰ってきなさいよ・・。いつまでもサボってたら承知しないわよ。」
進藤を睨み屋上を後にした・・。
「・・・信頼できる同僚か・・。」
一人呟き屋上を後にした・・。物陰から、なにやら動いた・・。
それから、無事撮影が終わり、あとは放送を待つのみだ・・。
「ありがとうございました・・。それでは日にちが決定したら、ご連絡します。」
といって、去っていった・・。
「ふ〜、疲れたぁぁぁあ。」
みんなは、一気に肩の荷が降りたのだった・・。
4月に入り、撮影があったことはすでに記憶の片隅に残るか残らないかになったころ、神林がみんなに報告があった・・。
「みんなぁ、きいてぇ・・。去年撮影したやつ明日放送されるみたいだからさ・・。みんなで見ようよ。」
みんなは驚いて、騒ぐ・・。
「恥ずかしいなぁ・・。かっこよく映ってれば良いけど・・。」
というのは、馬場・・。
「元が元ですからね・・。カメラにも限界ってものがありますよ・・。馬場先生。」
冷静に突っ込みを入れるのは、城島・・。
「そうよ。」
相槌を打つのは、たまき・・。後の面々は苦笑している・・。そして、打ちのめされた馬場一人・・。
〜翌日〜
いよいよ放送される時間になり、みんなテレビの前に集まり、ヤンヤヤンヤとはやし立てる・・。
『さぁ!この時間がやってまいりました。毎年恒例の密着救命センター24時!今年はいつもと違った感じに出来上がってます・・。医者の背景まで掘り下げたみたいですよ〜。楽しみですね〜。』
と司会者が盛り上げる・・。
「へぇ、あそこの救命って、結構チームワークいいっすね・・。」
次々と流れるほかのセンターの様子を見て、ここはこうだとか、評価している・・。
「まぁ、俺たちの救命ほどじゃねぇけどなぁ・・。」
誰も何も言わない・・。
『さて、次のVTRは横浜の港北医大の救命センターです・・。ここは、まだ開設されてまだ間もないみたいですが、ものすごく優秀な医者が揃ってらっしゃいました。一人一人がしっかりとされてまして・・。まぁ見てください。』
すると、みんなはテレビに釘付けになる・・。
『ここは、港北医大救命センターの入り口になります。ここに救急車が入り、初療室に患者が運ばれてきて、一刻を争う戦場となるのです。最新の設備が整ってまして、すぐになんにでも対応できるようになってるそうです。では、ここで活躍する医者・看護師を紹介したいと思います。』
というと、次々と医者の面々が紹介され、あの時インタビューされた内容が映し出された。
「馬場先生、顔が怖いっすよ。イメージ悪くなるじゃないですか。」
と矢部が突っ込みを入れてみんな笑っている・・。
「神林先生、瞳孔開いちゃってますよ?」
それぞれの評価を下す・・。
「・・・冷静なのは、城島先生と香坂先生と進藤先生ですか・・。さすがですね・・。」
その三人は当たり前だといわんばかりに微笑む。
『・・・一人一人が信頼しあっているって言う感じが治療中にも出てますね・・。』
というと、治療中の姿が現れる・・。みんなは初めて自分達の治療する姿を見る・・。
「へぇ、ああいう風なんだ・・。気づかなかった・・。なかなかかっこいいですね・・。」
城島が呟いた・・。
『私たちが注目したのは、一番奥にいる香坂先生と進藤先生のコンビに注目してみました。二人は、今ごらんなってもわかると思いますが、息がぴったりなんです。言葉を交わさなくても通じているかのようです・・。そこで、進藤先生に聞いて見ました・・。』
たまきたちは一斉に進藤を見る・・。
「・・・。」
進藤は苦笑するしかない・・。
『「・・あの・・。進藤先生・・。香坂先生はどういう医者でしょうか?」
「はぁ・・。最初はプライド高くて、口が達者なやつだったんだが、今は口だけじゃなくその腕も認めています。あいつは人一倍責任感が強くて、それでいて、深い優しさを持ってます・・。・・・信頼できる医者ですね・・。まぁ、気が強すぎっていうのもありますが・・。」
たまきは進藤を睨む。進藤は苦笑する・・。
「気が強すぎってなによ・・。失礼ね・・。こんなことテレビで言わなくてもいいじゃない・・。」
『「そうですか・・。じゃ、女性としてはどうですか?
「いえ・・。特に深い意味はないですが・・。」
「・・・別に・・。あいつは、信頼できる同僚です・・。」』
すると、場面が少し変わる。進藤がたまきの後姿を優しく見つめているのが映し出されていた・・。
「・・・進藤先生、すげぇ優しい目で香坂先生のこと見てる・・。」
太田川がさり気なく呟き、進藤の顔を盗み見た・・。
「・・・なんだ?太田川・・。」
「・・・いえ、なんでも・・。」
進藤は苦笑する・・。自分でもあんな顔をしていたとは、知らなかった・・。
そこで、一回CMが入り、VTRが一旦戻った・・。
『いやぁ、すごいですねぇ。どこも・・。だけど、港北医大の先生って、すごい優秀ですよね・・。あと美人の先生がいましたね・・。あの先生、結構有名らしいですよ。なんだっけなぁ・・。・・・あっそうだ・・。心臓再生医学の分野で有名らしいですよ。シカゴで研究なさったりして。』
たまきは恥ずかしそうに苦笑いする・・。
『「・・すごいですね。そういう先生が診てくれると思うと心強いですね」
「あの、進藤先生もすごいんだけど、あの先生は香坂先生のことがきっとすごく大事なんでしょうねぇ・・。」』
と、あるゲストが言った・・。
「・・・。」
二人は、なぜか照れている・・。
「え?そうなんですか?・・・そういうことだったら、早く言ってくださいよ・・。」
城島がからかうが、たまきに睨まれる。
「何言ってるのよ・・。」
「・・・そうだぞ・・。」
『「ああ、そういえばすごく優しい目をしてましたねぇ・・。」
「では、それを確信付けるVTRをお見せしましょう!・・・どうぞ!」』
たまきと進藤は次に流れてくるVTRを見て、顔を真っ赤にする・・。
映し出されたのは、きっと手術しているであろう二人がいない間に撮られていた・・。
『「進藤先生と香坂先生は、どういうご関係か、ご存知ですか?」』
と、それぞれに聞いている・・。みんなは、首をすくめて知らん顔をしている・・。
『「ん〜、はっきりとはわからないんだけど、きっとお互い好きだと思うねぇ・・。だって、なんだかんだいっても、進藤先生香坂先生のこと助けたりしてるし、お互い信頼して言いたいこといってるし・・。」
「すごく大事に思ってると思うなぁ・・。まぁ素直じゃない二人だから、自分の気持ちにさえも、気づいてないかもしれないなぁ・・。仕事ではあんなに鋭いのに、そういうことには疎そうだもんな、あの二人・・。」
「そうそう。素直じゃないもんねぇ・・。こっちから見たら、付き合ってもおかしくないくらいに見えるのに・・。」
「いえ、付き合ってません。ミス救命が・・。進藤先生と・・ありえません!」』
二人は、・・特にたまきがみんなをきつく睨む・・。
「ちょっと、素直じゃないとか、そういうことには疎そうとか・・・。好き勝手言ってくれちゃって・・。何勝手なこと言ってるのよ・・。私と進藤先生はそういう関係じゃないわ。ただの同僚よ!」
立ち上がって、興奮するたまきを見て、苦笑している進藤が・・。
「まぁ落ち着け・・。」
たまきは、とりあえず座るが、進藤を睨み、問い詰める・・。
「何よ・・。あなたもなんか言いなさいよ・・。あんなこと言われてるのよ・・。素直じゃないとか・・。付き合ってるとか言われてんのよ・・。ったく・・。」
進藤は、苦笑する。
「そんなに俺と付き合ってるって言われて、嫌なのか?」
たまきは驚いて言葉を一瞬失う・・。みんなも驚いている・・。
「・・・嫌・・・じゃないの?・・・。」
進藤は少し笑って、テレビに視線を向ける。
「・・・。テレビ見るぞ・・。」
すると、屋上の場面になった・・。
「あれ?屋上じゃねぇか・・。あれ?進藤先生と香坂先生だ・・。」
たまきは絶句している・・。まさか写されていたとは・・。
『「二人は、ここでよく一緒に休憩しているという情報が得られましたので、二人の関係を裏付けるようなものが見られるかもしれません・・・。」
「・・・信頼できる同僚か・・。」』
一人呟き屋上を後にした進藤の顔がアップになった・・。複雑そうな表情・・。
「・・・やっぱりな・・。」
みんなの心の中は、同じ言葉が思い浮かんだのだった・・。
『素直じゃないお二人みたいですが、この見てもらったように、特別な空気が流れているのです・・。最後の進藤先生の呟きが、これからの二人の関係を打ち崩すのかもしれません・・。』
それから、色々とコメントされて、放送は終わったのだった・・。
「・・・最低・・。何が密着24時よ・・。最初は良かったのに、何よこれ・・。バラエティじゃない・・。ったく・・。」
たまきは怒って医局を後にしたのだった・・・。
「・・・進藤先生、どうなんですか?そろそろ素直になったほうがいいですよ・・。」
城島が進藤だけに聞こえるように呟き、進藤は苦笑して後を追った・・。
〜屋上〜
たまきは、一人遠くを見て文句を言っている。進藤は苦笑して後ろに立つ。
「ったく・・。何がこれからの関係を打ち崩すよ・・・言いたい放題言って・・。」
たまきは進藤に気づいていない・・。
「そんなに嫌なのか?俺と付き合ってるって言われて・・。」
苦笑してたまきに訊ねる。
「・・え?い、嫌じゃないわよ・・。・・・どうしてそんな事言うのよ・・。」
「・・・俺は嬉しかったけどな・・。お前とそういう風に見られて・・。」
たまきは進藤の顔をじっと見つめる。
「・・・それって・・。どういうこと?・・・はっきり言ってよ・・。」
進藤は苦笑してたまきの傍に立てる。
「・・・俺はお前のことを、他の誰よりも大事に想ってる。・・・好きらしい・・。」
たまきは、進藤をじっと見つめ、微笑んだ。
「・・・好きらしいって・・。あなたらしいわね。・・そうね、私もあなたの事好きらしいわ。」
二人は顔を見合わせて、笑いあって、抱きしめあった・・。
「でも、明日からやりづらいわね。」
たまきが顔を顰めて進藤を見る。
「関係ないだろ・・。今まで通りで良いじゃないか。・・・仕事の時は・・。」
たまきは笑って頷く。
「そうね・・・。仕事の時はね・・。でも、みんなには言わないでね。まぁ、ばれるのも時間の問題だけど・・。いいでしょ?」
進藤は笑って頷いた。
「ああ・・。隠れて付き合うのも、いいかもな・・。」
「そうね・・。」
二人から、温かな空気が流れ、いつまでも抱き合ってたのだった・・。