〜お化け屋敷?!〜



・・・11月24日  港北ランド 開園・・・・。

 という、チラシがポストに入っていた・・。

(進藤)「・・これなんだ?」

 テーブルに置いてあった紙を見つけ、たまきに訊ねる・・。

(たまき)「ああ、それ?ポストにはいってたのよ・・。明日オープンらしいわよ?休みだから、多いでしょうね・・・。」

 キッチンから顔だけ進藤の方を向けて、答えている・・・。

(進藤)「ふ〜ん・・。言ってみるか?明日お前も休みだろ?」

 たまきが振り向いて嬉しそうにうなづいている・・。

(たまき)「本当?行きましょう!色々あるみたいよ。観覧車とか、ジェットコースターとか、ジェットコースター大好きなのよねぇ・・。あなたも一緒に乗りましょうよ。」

 手を拭きながら、進藤の隣に座る。

(進藤)「俺は、ああいうのは嫌いだ・・。観覧車いいな・・。夕方くらいに乗ると、夜景が綺麗だろうな・・。」

 たまきは不満そうに進藤を見る・・。

(たまき)「え〜、あたし観覧車のほうが苦手だなぁ・・。落ちそうじゃない・・。」

 進藤は笑ってたまきのほうを見る・・。

(進藤)「・・・お前でも怖いものがあるんだな・・・。」

 たまきは進藤を睨み、お風呂に入りにいった・・。

(たまき)「うるさいわね・・。お前でもって失礼ね・・・。ったく・・。」

 進藤は苦笑して、チラシに目を通したのだった・・。

(進藤)「・・・お化け屋敷は、当園の自慢です・・?・・・ほう・・。いいな・・。」

 進藤の頭の中では、色々な考えが浮かんでいるようだ・・。しかし、変な想像なのだろう・・。

(進藤)「・・・いや、あいつお化けにタンカきってそうだな・・。無理だろうな・・。」

 苦笑していると、たまきが出てきて、まだ不機嫌そうに寝室に入っていった・・。

(たまき)「あなたも入れば?明日早く行きましょうね。込むんだから・・。」

 顔は不機嫌だが、久しぶりのデートのため、やはり楽しみにしているようだ・・。

(進藤)「そうだな・・。」

 というと、進藤は風呂に入り、二人は明日に備えて早く寝ることにした・・。



〜翌日〜

(たまき)「ん・・。まだ眠い・・・・。あっそうだった・・。今日遊園地に行くんだっけ・・。何時かしら・・。」

 時計を見ると、9時だ・・。たしか開園は10時・・。

(たまき)「いっけない・・。寝過ごした・・。一生!一生!起きて・・。」

 進藤は、まだ眠そうに布団を被る・・。

(進藤)「・・・眠い・・。」

 たまきは、進藤を起こそうと必死に、布団を取り上げたりしているが、なかなか起きない・・。たまきは考え込むと、進藤の上に馬乗りになり、頬をつねる・・。

(たまき)「お〜き〜な〜さ〜い〜!ねぇってば・・・。」

 進藤は、薄目を開けて、たまきの顔を見る・・。進藤の手がたまきの腰に回る・・。

(進藤)「・・・おはよう・・・。頬をつねるな・・。痛いじゃないか・・。」

 たまきは、やっと起きた進藤を少し睨むが、微笑んでおはようのキスをする・・。

(たまき)「おはよう。だって、一生起きないんだもん・・。早く準備して行きましょうよ。ね?」

 今日のたまきは、機嫌がすこぶるいいようだ・・。進藤もそんなたまきを嬉しそうに見ている・・。

(進藤)「そうだな・・。さて、準備するか。」

 たまきは、進藤から離れ、準備に取り掛かった・・。

(たまき)「ズボンがいいわね・・。外は寒そうだから暖かくしていかなきゃね・・。」

 張り切っている・・。進藤はすでに準備を整えていた・・。

(進藤)「・・・早くしないと昼がくるぞ・・。」

 呆れてみているが、百面相のたまきを愛しそうに見ている・・。

(たまき)「・・・わぁかってるわよ。まぁこれでいいわ・・。じゃ、行きましょ・・。」

 二人は戸締りを確認し、仲良く手を繋いで出かけていった・・。

〜遊園地〜

 すでに開園していて、たくさんの人でにぎわっていた・・。

(たまき)「やっぱり、すごい人ね・・。はぐれないようにしなきゃね・・。」

 進藤は、たまきの手をしっかりとつなぎ、頷く。

(進藤)「・・・そうだな・・。これだけ人がいると、見つけづらいからな・・。変な男に連れてかれるなよ・・。」

 心配そうにたまきをみる・・。たまきは、眉を潜める・・。

(たまき)「子供じゃないんだから・・。ったく・・。そんなに言うんだったら、この手を離さないでよ・・。」

 今日のたまきは、ずいぶんかわいらしい・・。進藤は、優しく微笑む。

(進藤)「わかった・・。離さない・・。」

 チケットを二人分買うと、中に入り、パンフレットを見ながら、たまきはあれこれ考えている・・。

(たまき)「まずは、ジェットコースター乗りましょ・・。体力が残ってるうちに、乗っておいたほうがいいわ・・。」

 進藤は、嫌そうな顔をしているが、たまきが強引に連れてってしまう・・。

(進藤)「まぁ、待てって・・。後でもいいじゃないか・・。・・・たまきって・・。」

 逃げ腰の進藤を睨みながら、最後尾に並ぶ・・。

(たまき)「案外、女々しいのね・・。男でしょ・・。俺についてこいっくらいいえないの?」

 たまきの言葉に苦笑する進藤・・。

(進藤)「ったく・・。わかったよ・・・。乗ればいいんだろ・・。はぁ・・。」

 誰にでも嫌いなものはある・・。順番が近づくに連れて、繋がれている手に力が入ってくる・・。

(たまき)「大丈夫?・・・緊張してるの?そんなに怖いの?」

 進藤の顔を覗きこんで、心配そうに見ている・・。

(進藤)「・・・うるさい・・。ほら、もう順番だ・・。」

 たまきは、苦笑しながら、乗る・・。手はつながれたままだ・・。

(たまき)「いよいよね・・。大丈夫?ショック死しないでよ・・。」

 すでに、顔は強張っている・・。

(進藤)「うるさい・・。その時は、お前が助けてくれるんだろうな・・。」

 ジト目でたまきを睨む・・。

(たまき)「え?嫌よ・・。恥ずかしい・・。かっこ悪すぎ・・。」

 ビーーーー

 その合図で、発射する・・・。

(たまき)「あ〜、楽しみ〜。ねぇ、あそこ見て〜、後であそこに入りましょうね・・。」

 上から見えるアトラクションを指さし、進藤に話しかけるが・・・。

(進藤)「・・・・。」

 体が硬直している・・。

(たまき)「ちょっと、大丈夫?今からなのに・・。っそうだ、おまじないしてあげるから、手を貸して・・。」

 苦笑して、進藤の手を自分の顔に近づける・・。・・・進藤の手の甲に、唇をつけ、進藤の手を握った・・。

(たまき)「これで、大丈夫よ。」

 進藤は、顔が引きつりながら、たまきを見る・・。

(進藤)「・・・ありが・・・・。とぉおおおおお。」

 お礼を言おうとしたが、すでに重力通りに落ちていった・・。たまきは進藤を心配して、見ていたが、あまりの普段とかけ離れた進藤を見て、笑い続けていた・・。

(たまき)「きゃ〜〜ハハハハハハハハ。」

 やっと、ブレーキがかかり、元の位置に戻った頃には、たまきは、笑い疲れて・・・。進藤は恐怖で疲れて・・。

(進藤)「もう乗らないからな・・。」

 少し放心状態で、呟くと、たまきはまた笑い出した・・。

(たまき)「っもう・・。笑っちゃって、楽しむ所じゃなかったわよ・・。もうあなたってば、面白すぎ・・。」

 降りる階段で、足を押えている進藤をまだ可笑しそうに笑っている・・。徐々に進藤が不機嫌になる・・。

(進藤)「・・・そんなに笑わなくてもいいだろ・・。人は誰だって苦手なものがある・・。・・・大体わざわざ落ちることないだろ・・・。なんであんなもんがいいんだ?俺にはわからん・・。」

 胃の辺りを押えている・・。

(たまき)「ったく・・。あそこで少し休もうか?あたし飲み物買ってくるわ。席取ってて。」

 苦笑しながら、自販機でお茶を買う・・。

(進藤)「あいつに、怖いものあるのか?観覧車が怖いっていってたけど・・。」

 かなり、参っている・・。遠くからたまきがこっちに歩いてくるのを眺めていた・・。その顔は、楽しそうだ・・。

(たまき)「はい・・。お茶でいいわよね?大丈夫?」

 進藤は苦笑する・・。

(進藤)「・・・はぁ・・。もう二度と乗らないからな・・。あっそうだ・・・。あそこのお化け屋敷行こう。どうやらここの目玉らしいぞ?」

 一瞬たまきの表情が固まった・・・。進藤はその変化を見逃さなかった・・。

(たまき)「へぇ・・。子供騙しじゃない・・。ああいうのって・・・。」

 意地悪心に火がついた・・。

(進藤)「あれに入ろう。さっ調子も戻ったから、行こう。」

 たまきはなぜかしぶる・・。

(たまき)「・・・入るの?バカバカしいじゃない・・。わかりきってるわよ・
・。」

 進藤は、さっきまでの勢いが無くなったたまきを見て、苦笑するが、強引にたまきの手を引っ張っていく・・。

(進藤)「怖いのか?」

 進藤が意地悪そうに呟くと、たまきは進藤を睨み、ツカツカと歩き出した・・。

(たまき)「ばっかじゃない・・。あんな子供騙しなんて、怖くないわよ・・。」

 しかし、近づくにつれ中から悲鳴が聞こえてきて、つながれた手に力が入っていく・・。気持ち震えている・・。

(進藤)「怖いんじゃないか・・。強がるなよ・・。」

 たまきは、怖いというのを素直にいえない・・。

(たまき)「怖いわけないじゃない・・。」

 中に入ると、真っ暗だ・・・。

(進藤)「さて、楽しみだな・・。」

 声をかけると、たまきの返事がない・・。たまきを見るとすでに立ち止まり辺りをキョロキョロと見渡し、警戒している・・。

(たまき)「あまり離れないでよ・・。手、離さないでよ・・。」

 進藤の後ろをぴったり体を寄せている・・。(一列じゃないと入れない・・。)進藤は微笑んでしまう・・。

(進藤)「そうやってろ・・。」

 最初のうちは、おっかなびっくりだったが、徐々に慣れてきたのか・・。

(たまき)「うわっ。驚くじゃない!飛び出してこないでよ!バカ!」

 お化けに喧嘩をうっている・・。進藤は苦笑しているが、内心面白くない・・。

(進藤)「何喧嘩うってるんだよ・・。」

(たまき)「うっるさいわね・・。飛び出してくる方が悪いのよ・・。」

 どうにもならない言い訳をしている・・。

(進藤)「そうじゃないと面白くないだろ・・。」

 たまきの首筋に冷たいものが滴り落ちると・・・。

(たまき)「・・・きゃぁぁぁぁぁぁああぁぁぁ・・・。一生〜〜。」

 たまきの大音響の悲鳴が進藤の耳につく・・。

(進藤)「どうした?」

 しきりに首を触っている・・。

(たまき)「な・・ななななにか、首に・・・。ぽたってぇぇえぇ。」

 真っ暗なので、確認できない・・。近寄ると、どうやら涙を浮かべているようだ・・。

(進藤)「見せてみよ・・。」

 たまきの首に手を当ててみると、液体らしきものがあった・・。

(たまき)「何・・・何?気持ち悪い〜〜。」

 たまきの情けない声を聞いて、つい笑ってしまう・・。

(進藤)「水だろ・・。さ、行くぞ・・。」

 楽しそうだ・・。たまきはその一件で半泣き状態だった・・。聞こえるもの・見えるものが怖いらしい・・。最初繋がれていた手を離し、後から進藤を抱きしめるような格好でしがみついている・・。進藤は歩きづらさを感じるが、その感触に満足そうだ・・。

(たまき)「ねぇ・・まだ?ねぇ・・。」

 進藤の前でつながれているたまきの手にそっと自分の手を置き、安心させようとする・・。

(進藤)「もうすぐだ・・。」

 すると、明かりが見えてきた・・・。しかし、最後に待っていたのは・・。

(たまき)「・・・・きゃぁぁぁああああ・・・。」

 最後の最後で、たまきは気を失ってしまった・・。

(進藤)「たまき?・・・おい・・・。」

 たまきを慌てて抱き上げ、出口に向かった・・。そのお化けも心配そうだ・・。

(係員)「・・・大丈夫ですか?こっちにどうぞ・・。」

 そこは、控え室みたいなところだった・・。そこにたまきを寝かせる・・。

(進藤)「・・・すいません・・。まさか、こんなにも怖がるとは・・。」

 苦笑して、たまきの額にお絞りを置く・・。

(係員)「いえ・・。じゃ、何かありましたら、声をかけてください・・。」

 残された進藤は、苦笑してたまきの顔を見ていると、たまきが横に体を向けた・・。

(たまき)「・・・・ん?・・・いやだぁぁぁ。」

 たまきの視線の先には、お化けのお面が・・。進藤は苦笑して、声をかける・・。

(進藤)「大丈夫だって・・。あれはマスクだ・・。作り物だ・・。・・・大丈夫か
?」

 たまきは、進藤の声に気づき、抱きついた・・。

(たまき)「・・・怖かった・・。もう、嫌・・・。だから言ったのに・・・。」

 言ってない・・・一言も・・。進藤は苦笑する・・。

(進藤)「すまなかったな・・。大丈夫だ・・・。」

 たまきの背を摩り、落ち着かせる・・。徐々に落ち着きを取り戻したたまきは、体を離し、恥ずかしそうに俯く・・。

(たまき)「・・・もう、入らないからね・・。こりごりよ・・。」

 声がかすれている・・。目を見れば真っ赤だ・・。

(進藤)「怖かったんだな・・。」

 頭を撫でていると、たまきは不貞腐れた顔をする・・。

(たまき)「子供扱いしないで!大体、あなたが入ろうって言わなければこんなことにならなかったのに・・。」

 さっきまでの弱気なたまきではなく、いつものたまきに戻っていた・・。

(進藤)「・・・。」

 苦笑してしまう・・。

(たまき)「まったく・・・。出ましょ・・。」

 立ち上がると、足がふらつく・・。

(進藤)「大丈夫か?」

 たまきは苦笑して、進藤を見る・・。

(たまき)「腰が抜けちゃってるみたい・・。」

 進藤は噴出して、たまきをおんぶしようとする・・。

(進藤)「ほら・・。」

(たまき)「え?嫌よ・・・。この年になっておんぶって・・。恥ずかしい・・。」

 顔を赤らめて嫌がる・・。

(進藤)「だったら、お化けのマスクが飾ってる所で休んでるか?」

 たまきはマスクを見つけ、顔を引きつらせ、しぶしぶ進藤の背中に乗っかった・・。

(たまき)「・・・わかったわ・・。」

 進藤は嬉しそうに微笑み、外に出て係員の人にお礼をいって、芝生のところにたまきを下ろした・・。

(進藤)「なんか、意外な一面をお互い見れたってことだな・・。」

 たまきを見ながら、呟くとたまきは可笑しそうに微笑んで頷く。

(たまき)「そうね・・。でも怖かった〜。あの首筋に何かが落ちてきたときから、も〜ダメだった・・。」

 思い出したのか、体を振るわせる・・。

(進藤)「そうだな・・。でも、俺はよかった・・。あの密着感はたまらないな・・。」

 たまきは進藤を一瞬睨み、微笑んだ。

(たまき)「でも、あなたの温もりがなかったら、とっくに気絶してたわ。」

 進藤はたまきを嬉しそうに抱きしめる・・。辺りは日が傾き、人もまばらになってきた・・。

(進藤)「じゃ、最後に観覧車でも乗って、景色を見るか・・。俺がついてるから、大丈夫だ・・。」

 たまきは頷いて進藤と観覧車に乗り込んだ・・。

(たまき)「あまり動かないでね。」

 進藤は二人並んで座りたかったが、傾くから嫌というたまきの声で、向かいあって座ることになった・・。

(進藤)「・・・こっちにこいよ・・。」

(たまき)「嫌よ・・。傾くっていったじゃない・・。」

 そういうやり取りが頂上まで続いたが、強引に進藤が隣にうつった・・。

(進藤)「大丈夫だからって・・。」

(たまき)「・・・もう・・。・・・でも、外綺麗ね・・。」

 進藤は微笑んで同じ景色を眺める・・。進藤は肩に手を回し、二人きりの空間を楽しんだ・・。

(進藤)「たまき、こっちを見ろ・・。」

 たまきは、進藤に言われ、進藤のほうをみると、

(たまき)「何?ん・・。」

 二人の唇が重なる・・。たまきもいつもと違う空間に酔っているのか、進藤の首に手を回し、人目を気にせずに唇を合わせ続けた・・。

(進藤)「・・・いつもと違うんだな・・。こういうのもいいな・・。」

 嬉しそうだ・・。

(たまき)「ばか・・。今日は特別よ・・。」

 優しく微笑んで進藤を見る・・。地上にたどり着くと、夕食を済ませ家に帰りくつろいだのだった・・。

(進藤)「寝るか?」

 疲れたのか、ソファで眠たそうにしているたまきに向かって言うと、頷いてふらふらしながら、進藤と寝室に向かったのだった・・。

眠ってしまったたまきを見て、今日はなかなかいい一日だったと微笑んで自分も眠りについた・・。

〜翌日仕事場で〜

 そこには、遊園地の話題が上がっていた・・。

(たまき)「あっそこね、昨日行ったわ。結構楽しかったわよ。」

 すると、城島と馬場が食いついてきた。

(馬場)「進藤先生とですか?」

 たまきは苦笑しながら・・、頷く。

(たまき)「当たり前じゃない・・。他に誰と行くのよ・・・。」

(城島)「お化け屋敷とかもいったんですか?」

 二人は頷く。

(馬場)「でも、香坂先生よりお化けのほうが逃げそうだよね・・。」

 馬場を睨む・・。後で笑っている進藤だった・・。

(たまき)「何がおかしいのかしら?進藤先生・・。」

 睨まれ咳払いをする・・。

(城島)「あれ?どうしたんですか?何かあったんですか?」

 たまきは慌てて反論する・・。

(たまき)「何もあるわけないじゃない・・。」

 その後も質問してこようとしたが、ホットラインによって、邪魔?されたのだった・・。

〜END〜

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