〜参観日〜
進藤夫婦の愛娘:真矢は、小学校入った。
「ねぇ、真矢ちゃんのお母さんとお父さん、見たことないんだけど、どんな人なの?」
真矢の一番の友達:桜が真矢に尋ねる。
「ん?パパとママ?えっとねぇ、パパもママも優しいんだよ。ママはねぇ、すっごい美人なんだよ?」
真矢は嬉しそうに満面の笑みで話す。
「そうなんだぁ。見てみたいなぁ・・。あっそうだ。今度の日曜日参観日でしょ?真矢ちゃんところは来るの?」
真矢は暗い表情になる。
「・・・わからない・・。真矢のパパもママもお医者さんだから・・。お休みじゃないかもしれない・・。」
桜は、残念そうにしていたが、真矢の寂しそうな顔を見て、元気を出させようとするが・・。
「そんな事言って、嘘じゃないのかぁ?ぜってぇ嘘だよ。嘘つき〜。」
クラスの男の子たちが、真矢をからかっている・・。
「違うもん!真矢、嘘つかないもん。・・・絶対に嘘じゃないこと見せてあげるわ。」
たまき譲りの強がりが出た・・。それから、真矢が悩む日々が続く・・。
〜家〜
夜遅くに帰ってきた母:たまきが、慌しく食事を作っている・・。今は救命じゃないが、救命で呼ばれると、そっちも手伝いをするというハードな仕事っぷりだ・・。
「真矢、ごめんねぇ・・・。遅くなっちゃったわね。さっ、食べましょ。パパ、もう少ししたら、帰ってくるからね?」
優しい笑顔で真矢をみる。真矢はたまきをじっと見つめる。
「ママ、いつもありがと。お仕事大変なのに、こうやって、真矢の好きなもの沢山作ってくれて。真矢幸せ。」
たまきにしがみつく。たまきは、優しく真矢の頭を撫でる。
「何言ってるの?私は真矢の母親よ?真矢の喜ぶ顔が見たいもの。真矢の喜ぶ顔を見ると、ママ元気になるの。がんばろうって思うのよ?さっ、食べましょ。」
二人揃って食事をする・・。
「ねぇ・・。ママ、今度の日曜日お仕事?」
たまきは真矢を見て、考える。
「日曜日?えっと・・・。お休みだと思うけど・・。どうしたの?」
真矢はたまきの顔を覗き込むように見つめる。
「えっとね・・。参観日があるんだけど・・。来れる?」
たまきは、笑って頷く。
「大丈夫よ。みんなにちゃんと言って、お休みもらうから。」
真矢は嬉そうに残りのご飯を食べたのだった・・。
「楽しみにしてるからね。ママ!でも、無理だったらいいよ。ママ忙しいから、倒れたら困るもん。」
子供なりにたまきを気遣う。
「真矢が心配しなくても大丈夫よ。ママはお医者さんなんだから。楽しみにしててね。日曜日。」
真矢は嬉しそうに、椅子から降り、たまきにしがみついて喜んだ。
「ありがとう、ママ。大好き!」
それから、真矢は日曜日が楽しみになった・・。
〜医局〜
たまきは早速神林のところにやってきた。
「あの、神林先生。今度の日曜日なんですが、真矢の参観日があるので、休みにさせてもらえませんか?」
進藤が顔を上げてたまきを見る。
「参観日なのか?」
進藤が訊ねる。
「ええ・・。初めての参観日だし。学校での真矢を見たいしね・・。」
母親らしい顔になる。
「いいよ〜。大きくなったねぇ・・。小学生かぁ・・。美人なんだろうねぇ・・。真矢ちゃん。」
笑顔で神林が答える。
「・・・そうですね。かわいいですよ。」
進藤が親ばかぶりを発揮する。
「・・・親ばかね。・・・お嫁に出すとき、恐ろしいわ。」
たまきが意地悪そうな顔で進藤を見ると、睨まれた。
「・・・うるさい。嫁の話はまだ先だろ・・。」
この言葉にみんなは大笑いをする。
「香坂先生、大変ですねぇ・・。・・・すいません・。」
みんなにからかわれ、苦笑する・・。
「じゃぁ、私参観日に行ってくるね。楽しみだわ。」
「じゃぁ、進藤先生も休みにしようか?進藤先生も見たいでしょ?」
神林が気を使ってくれている・・。
「いいんですか?忙しければ連絡してください。・・・お言葉に甘えます。」
ということで、二人は参観日にいくことになった・・。
〜参観日前日〜
真矢は家でソワソワしていた。
「真矢、早く寝なさいよ〜。忘れ物はない?嫌よ〜、忘れ物が多いって言われたら・・。あっそうだ。パパお仕事終わったら、見に来るって・・。だから、楽しみにしてろって。」
たまきが、遊んでいる真矢をみて、苦笑しつつ言うと、真矢が目を輝かせて喜んでいる。
「本当?やったぁぁ。パパとママが来てくれるんだ!楽しみだぁぁぁ。じゃ、おやすみ!」
真矢がたまきにしがみついて、おやすみの挨拶をする。
「おやすみ。いい夢見てね。」
真矢の額にキスをして、真矢が寝室に向かった・・。
「ふふ、大喜びね。あたしも何着て行こうかしら。」
たまきも楽しみにしているようだ・・。
〜当日〜
真矢は、慌しく学校に出かけていった・・。
「じゃ、ママ遅刻しないでよ〜。いってきまぁす。」
「それはこっちの台詞よ。いってらっしゃい。」
送り出したたまきは、家事を済ませ、準備に取り掛かった・・・。
「あっそうだ。一生に連絡しとかなきゃね。」
「もしもし?一生?大丈夫よね?今日。10時からだから、遅れないでよ?」
『ああ・・。10時からだな?これから、帰る準備をして、直接学校に行くよ。』
「わかった。じゃ、校門のところで待ってるわ。」
『わかった。変な格好するなよ。真矢が笑われるんだからな。』
「・・・うるさいわね。変な格好なんかしないわよ。ったく・・。あなたこそ・・。」
『じゃぁな。きるぞ。』
電話を終わらせ、家を出るたまき・・。
〜校門〜
まだ、到着していないようだ・・。
「まだかな・・。あと20分よ・・。あ!来た来た。こっちよ。一生。」
息を弾ませながら、進藤がやってきた。
「遅くなった・・。じゃ、行こう。」
たまきは笑顔で、一緒に並んで教室に入っていった・・。
「あそこよ。真矢・・。やだ、緊張してるのかしら・・。」
わが子を見つけ、嬉しそうに微笑む。
「ああ・・。初めてだからな・・。顔がひきつってる・・。誰に似たんだろ・・。お前か?」
「失礼ね・・。あなたでしょ・・。あたし平気だもん。」
後で小声で言いあいをしている・・。懲りない夫婦・・。
「え〜、今日はお母さんやお父さんが来てくれてますねぇ・・。じゃ、お母さんとお父さん。ご自分のお子さんの隣に座ってください。」
子供たちは後ろをみて、自分の親を見つけて招きをしている。
「パパ!ママ!こっち。」
嬉しそうにたまきと進藤を呼ぶ。苦笑して二人は真矢の隣に座る。
「あ〜、真矢ちゃんとこのパパとママ?すっごい美人だねぇ・・。真矢ちゃんの言ったとおりだ・・。ほら〜、言った通りだったじゃない。」
子供たちが騒ぎ出した。
「何?なんのこと?真矢・・。」
たまきは恥ずかしそうに呟く。それもそうだ。みんなの注目の的になっている。
「真矢がね、ママはすごい美人だっていったら、うっそだぁぁって。ママ美人だもんね。パパ!」
たまきは進藤を見ると、苦笑して頷く。
「ああ。俺たちのママだからな。」
たまきは顔を真っ赤にして進藤を睨む。
「・・あなたのママじゃないわ。ったく、こんなとこで何言ってるのよ・・。」
それから、子供たちが親のことについて、作文を作ったようだ。
「私のパパとママ。 進藤真矢。
私のパパとママは、お医者さんです。救命センターというところで働いてます。パパは救命医をしていて、命を助けてあげる大変なお仕事をしています。ママも一緒に働いていて、心臓外科医をしています。心臓の病気の人を助けているそうです。お仕事で遅くまで、時には朝までお仕事をしてます。でも、真矢のために、時間をさいて、こうやって来てくれてます。私は、パパとママの子供でよかったと思います。パパ、ママいつまでも元気でがんばってください。そして、いつまでも仲良くしてくださいね。パパとママにお願いがあります。」
たまきのほうをみている。たまきは首を傾げる。
「えっと、妹か弟がほしいな。お願い、パパ、ママ。」
教室に親の笑い声が聞こえてくる。たまきは顔を真っ赤にして俯いた・・。進藤は苦笑して、
「真矢、わかった。・・・ママと相談してみないとな・・。」
たまきの方を見ると、進藤を睨むたまきが・・。
「ちょっと、家で言えばいいでしょ・・。ったく、親子なんだから・・。・・・すいません・・。」
周りに謝る・・。
「・・・顔が真っ赤だぞ?親子だろ・・。お前も・・。」
「以上です。あっ最後に、パパ、ママ!大好きだよ!」
満面の笑みで二人を見て、無事参観日が終わり、3人仲良く家に帰ったのだった・・。
〜家〜
「ったく、へんなこと言わないでよ・・。恥ずかしかったじゃない・・・。」
ため息をついて、夕飯を作った・・。
「えぇ?なんでぇ?だって、真矢ほしいんだもん。みさきちゃんところ、妹ができたんだって・・。真矢もほしい・・。」
たまきは、唖然とした・・。おもちゃなら買ってやってもいいが・・。子供・・。
「っそう・・。考えておくわ。さ、食事をしましょ。」
3人揃って食事をするのは、久々だったので、盛り上がる。
「パパ、ママにもいったんだけど、妹か弟がほしいんだ。」
進藤は思わず噴出しそうになる。
「で、ママはなんていったんだ?」
たまきを見ると、苦笑する。
「・・・考えておくわって・・。ねぇ、パパ〜、お願い〜。」
たまきは、進藤が何て答えるかさり気なく聞いている。
「・・・そうだな・・。そろそろいいかもな・・。」
たまきは、進藤を見つめると、進藤が笑っている・・。
「やったぁぁぁ。楽しみだぁぁぁ。ごちそうさまでした。」
自分が食べた食器をキッチンに運んで、部屋に入った・・。
「・・・ちょっと、なんてこというのよ・・。二人目なんて、まだ考えてないわよ?」
たまきが小さい声で、抗議をする。
「・・別に今すぐ作ろうってわけじゃないんだ。あんなに、楽しみにしてる真矢に、だめだなんて、言えるわけないだろ・・。」
たまきは、ゴニョゴニョと「そうだけど・・。」と文句を言っている。苦笑して食事を済ませ、ソファでくつろいだ・・。
「とんだ、参観日だったわ・・。人前で妹がほしいって言い出すし・・。」
たまきもコーヒーを飲みながら、ソファでくつろいでいる・・。
「そうだな・・。まぁ、ゆっくりと考えればいい・・。」
苦笑して、進藤もコーヒーを口に運ぶ・・。
二人は新たな悩みを抱えるのだった・・。