〜たまきが、極道の妻に?!〜



 いつもにぎやかな救命に、いつもと違うドスが聞いた叫び声が木霊している・・。

(男)「おい!誰もいねぇのかよ!大親分が打たれたんだよ!医者いねぇのか!」

 そこにいた患者、看護師が威圧され、固まっている・・。

(たまき)「・・・静かにしなさい!ここは病院よ。具合の悪い患者がいるの!落ち着きなさい!」

 そこにいたたまきは、その恐持ての男たちにタンカをきった・・。

(進藤)「おい・・。あまり、刺激するな・・。」

 たまきは進藤を睨み、男たちの前に立つ。

(男)「お前、医者なのか?見てくれ。」

(たまき)「・・・お前って言われる覚えはないわ。・・・早く連れ来なさい!」

 たまきは、固まっているスタッフに声をかけて、準備を進める。みんなたまきを見ている。

(進藤)「・・・お前、怖くないのか?」

 苦笑しつつ、たまきを見ると、

(たまき)「・・・怖いけど、患者でしょ・・。・・・何かあったら、助けてくれるんでしょ?まぁ、早く片付けちゃいましょ・・。」

 子分達が、傷ついた大親分をベッドに寝かせた・・。

(男)「どうなんですか?大親分は助かりますか?」

 必死にたまきにしがみつく。

(たまき)「・・・出て行きなさい!ここからは私たちの領分よ。私たちに任せて出て行きなさい。治療が遅れれば命にかかわるわよ。それでもいいの?」

 初療室にたまきの怒鳴り声が響く・・。みんなは、先ほどと違い、別の意味で固まる・・。

(大親分)「お前たち・・。その先生の言うことを聞くんだ・・。・・・ぐ・・。」

 苦痛に顔を歪める。

(たまき)「大体あなたもよ。打たれるようなことしてるから、こんなことになるんじゃない。これから処置をするから、多少の痛みは我慢して!」

 それから、言葉とは裏腹にいつものように丁寧に治療を進める・・。

(進藤)「・・・レントゲン・エコー準備!」

 次々と検査のオーダーをする・・。

(たまき)「・・・サチュレーション下がってるわね。・・・酸素アップして、出血も多いわね。輸血追加!」

 エコーを見ると、肺の損傷がひどい・・。

(進藤)「・・・開胸して、止血しないと・・。」

 たまきも賛成し、急いで準備に取り掛かる。

(たまき)「神林先生、挿管してください。トロッカー10Fr.用意して。開胸セット準備!輸血10単位!高峰さんこれから、手術します。いいですね。」

 力なく頷き、麻酔が掛けられる・・。外では子分が心配そうにうろうろしている・・。

(進藤)「・・・サポートする・・。」

(たまき)「頼むわね。」

 二人の息のあった手術により、手術は成功した・・。患者をICUの個室に収容し観察していくことになった・・。

(神林)「さすが二人だねぇ・・。完璧だね。・・・あとは・・。問題のあいつらに・・。」

 怯えた顔で、カーテンの向こうを見る。

(たまき)「・・・いいです・・。私が説明しますから・・。進藤先生、一緒に来てくれる?」

 進藤は頷き、子分と共に、説明室に向かった・・。

〜説明室〜

(たまき)「・・・高峰さんの経過を説明します・・。ご家族の方は?」

 すると、恐持て集団の中から、少し小柄で情けない顔をしている男が手をあげる。

(孫)「・・・わたしです・・。父は去年・・同じように撃たれて・・・即死でした・・。」

 たまきは、孫を見据えてため息をつく・・。

(たまき)「・・・そうですか・・。銃弾は右肺を突き破ってました・・。そこから出血してましたので、緊急手術をして、止血をしています。溜まった血を管で持続的に抜き取る管をいれてます・・。状態がおちつけば、一般病棟に移ってもらいます。感染を起こさなければ、大丈夫だと思います。」

 すると、他の組員が声をあげる。

(組員)「・・・おいおい!大丈夫だと思いますって、どういうことだ!いい加減な治療をしたんじゃないのか!」

 たまきはその声の主を睨む。

(たまき)「何よ。私の治療に文句があるの?最善の努力はしたわ。でもね、絶対に大丈夫なんていうことは、今はいえません・・。出血が多かったですからね。あとは、患者の生命力にかけることね。・・・いい?さっきもいったけど、他の患者に迷惑をかけたら、そっこく退院してもらいますからね。いいですか?」

 恐持ての男たちは、たまきの威勢のよさに言葉を失う・・。

(孫)「よろしくお願いします・・。」

 というと、解散することにした・・・。そのまま部屋に残った二人・・。

(進藤)「お前、あのヤクザたち、お前の威勢のよさに言葉を失ってたぞ・・。」

 たまきは進藤を睨む・・。

(たまき)「・・・・文句あるの?こっちが下手に出てどうするのよ・・。悪いことなんてしてないもの・・。大体、ああいう弱いものを力でねじ伏せるようなやつなんて、だいっ嫌いなのよ・・。ったく・・。」

 進藤は部屋を出て行こうとするが、たまきがついてこない・・。怪訝な顔でたまきを見ると、

(たまき)「・・・さっさと行きなさいよ・・。私ここで休んでるから・・。何かあったらよろしくね。」

 よく聞いていると声が震えている。進藤は思わず噴出した・・。

(進藤)「お前、本当は腰が抜けるほど怖かったんじゃないのか?・・・声震えてるぞ。」

 たまきは笑う進藤を睨む・・。

(たまき)「うっるさいわね・・。怖かったに決まってるじゃない・・。私をなんだと思ってるのよ・・。悪い?」

 進藤はたまきの傍により、たまきの方を抱き、安心させる・・。

(進藤)「・・・悪かった・・。もう、大丈夫だ・・。何かされたりしたら、すぐ言うんだ。俺がちゃんとついてる・・・。」

 少し安心したのか、そっと立ち上がり、いつものたまきに戻った。

(たまき)「ありがと・・。じゃ、行きましょ・・。患者は待ってくれないわよ。」

 進藤は苦笑しながら、部屋を後にした・・。



〜ICU〜

 二人は、先ほどの高峰のところにやってくると、すでに患者は目を覚ましていた・・。

(高峰)「・・・おい。お前たち、先生が見えた。お礼をちゃんとしたんだろうな・・。」

 手術をしたとは思えないほどの威圧を感じる・・。たまきは思わず、後ずさった・・。

(たまき)「大人しくしてください。・・・痛みますか?」

 患者の傍に立つと、高峰は怪しい笑みを浮かべる。

(高峰)「・・・いい女だな・・。どうだ、俺の孫の嫁にどうだ?」

 布団から手を出し、たまきのお尻を撫でる・・。

(たまき)「・・ちょっと、どこ触ってるんですか!・・いい加減にしなさい!」

 患者から離れ、注意をするが、聞くどころかわらっている。

(進藤)「・・・なにするんですか・・。」

 進藤が注意をすると、真顔で睨む・・。

(高峰)「ほぉ、この女のこれか・・。威勢がいいな・・。香坂先生って言うのか・・。なかなか魅力あるな・・。わしが、運ばれたときのあんたのタンカよかった・・。こんな集団に向かって普通のあんたが、あそこまで言えるなんてな・・。ますます気に入った・・。」

 たまきは眩暈を感じる。進藤も・・。

(たまき)「私には、この人がいます。ですから、お孫さんとお付き合いは出来ません。」

 きっぱりと断りをいれる・・。

(高峰)「そんなに簡単に答えを出さなくてもいいじゃないか。なんなら、わしの愛人でもいいぞ?ワハハハハハハ・・イタタ。」

 傷に響いた・・。たまきはため息をついた・・・。

(たまき)「はい、もう面会はお終いよ。安静にしていてください。いいですね?」

(高峰)「おい、先生がそう言ってるんだ。俺は大丈夫だから、帰れ。」

 しぶしぶたまきに頭を下げて出て行く。

(たまき)「何かありましたら、言ってください。では、失礼します。」

 進藤と一緒に出て行った・・。

〜屋上〜

 たまきは怒った顔をしている・・。

(たまき)「・・ったく・・。あのエロじじい・・。」

 整った顔から信じられない言葉が出る・・。進藤は苦笑して隣に座る。

(進藤)「じじいっていうな・・。怒りはわかるが・・患者だからな・・。」

 そういう進藤を睨む・・。

(たまき)「何よ。恋人が他の男に体を触られたのよ・・。平気だっていうの?・・・気持ち悪いったら・・・。はぁ・・。早く退院してくれないかな・・。」

 深いため息をつく。

(進藤)「あの出血だったんだから、当分は無理だろうな・・。主治医を変わろうか?」

(たまき)「お願いするわ・・。」

 疲れた顔をして、そういうが・・・。



(高峰)「あぁ?あんたが主治医になっただと?どういうことだ!香坂先生を出せ!そうしないと、あんたたちが困ることになってもいいのか!」

 主治医を変わると言い出した途端、暴言を吐き出す・・。困り果てた進藤だったが、たまきにさせるわけには行かなかった・・。

(たまき)「・・・何大きな声出してるのよ!この前言ったわよね。他の患者に迷惑かけるようなことがあったら、退院してもらうって・・。静かにしなさい!」

 たまきの怒鳴り声で大人しくなる・・。

(高峰)「なんで、主治医がこいつなんだ!あんただったんじゃないのか!あんたが主治医にならならいんだったら、病院を脅してやる!」

 たまきはため息をついて、仕方なく引き受ける・・。

(たまき)「わかりました・・。」

 それから、つまらないことでたまきを呼び出しては、たまきの体に触れ、たまきも嫌がるが、患者ということもあり、どうすることも出来なかった・・。

(進藤)「大丈夫か?・・・あの患者・・。」

 怒りを抑えながら、たまきを心配している・・。

(たまき)「ったく、患者だと思って・・・。他の看護師たちもやられてるみたいだわ・・。ったく・・。いい加減にしてほしいわ・・。今なんか、胸掴まれちゃった・・。」

 進藤の顔が厳しくなる・・。

(進藤)「何?・・・・必要以上あいつのところに行くな。」

 たまきは怪訝な顔をする。

(たまき)「あたしだって、好きでいってるわけじゃないわ。呼び出されるんだから・・。行かなかったら行かなかったらで、大声で暴言吐かれるんだから・・。仕方ないじゃない・・。」

 ソファに座り、足を前に投げ出し、眠ってしまった・・。疲れているみたいだ・・。

(進藤)「・・・・。」

 このままでは、たまきの身が持たない・・。悩む進藤だった・・。

(桜井)「あのぉ・・。香坂先生は?・・・高峰さんが・・。」

 怪訝な顔で、桜井を見る進藤・・。

(進藤)「・・・今、寝てる・・。疲れてるみたいだから、俺が行こう・・。」

 進藤は高峰のところにやってくると、高峰は進藤を睨み、すごみを見せる・・。

(高峰)「・・・なんでお前が来るんだ!俺は香坂先生を呼んだはずだぞ・・。」

 進藤はそれでも食い下がる・・。

(進藤)「こっちは迷惑してるんだ!あなたが下らない用事で香坂を何回も呼び出すから、疲れが溜まってるんだ!あいつは俺の大事な女だ!あいつが苦しんでいるのに・・・。好きなら相手のことをちゃんと考えろ!自分のことばかり考えるな!俺はあいつのためなら、命なんて惜しくない!いいか、またあいつを、お前の私用でこき使うんだったら、この俺が許さない・・。」

 進藤の勢いに押される・・。

(高峰)「・・勇ましいな・・。わかった・・。そこまで香坂先生を大事にしてるんだったら・・。・・・香坂先生を俺の孫の嫁にしたかったんだけどな・・。香坂先生なら、この世界でも十分やっていけそうだし・・。あっそうだ・・。なんなら、お前も俺の組に入るか?そうすれば、跡継ぎにしてやってもいい!お前もやっていけそうだしな・・。」

 笑ってそういっている高峰を苦笑して、見る・・。

(進藤)「・・・たしかにあいつは、やっていけそうですが・・。俺たちは医者です・・。」

 そうだろうな・・。と、ため息をついて、これまでのことを謝る。



 それから、高峰は元気になり、退院していった・・。

(高峰)「香坂先生、色々と迷惑かけたな・・。なんかあったら連絡しろ・・。俺が協力させてもらうからな・・。あの先生に泣かされたら、任せときな・・。」

 たまきは苦笑して、進藤を見る・・。

(進藤)「安心してください・・。泣かせませんから・・。」

 苦笑して、高峰を見る。笑顔で去っていった・・。

(たまき)「ふふ・強力なバックがついたわね・・。大変ねあなたも・・。」

 と、笑って医局に戻ったのだった・・。

 残された進藤は、苦笑してボソっと呟いた・・・。

(進藤)「お前だけで、十分恐ろしい・・。」

 それからは、平和な日々が続いたのだった・・。



〜END〜

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