聴かずに死ねない〜Ivan Lins

今回の「聴かずに死ねない」は、今企画初のラテン系、ブラジルの至宝(である筈)イヴァン・リンスである。

そもそもブラジル系の音楽を聴くようになったのは、パット・メセニー・グループを聴くようになってからで、そこから「パットを聴く以上はブラジルも無視できんだろう」ということでジョアン・ジルベルトやジョビンなどをちょこちょことつまむようになった。

今回のイヴァン・リンスはパット・メセニー・グループの「Still Life」「Letter From Home」あたりを好きな人ならハマること確実な名盤である。




今から10年ほど前、河原町のヴァージンの試聴コーナーでたまたま出会ったのが今回紹介する、一聴即死の名盤「SOMOS TODOS IGUAIS NESTA NOITE ('77)」と「A NOITE ('79)」をカップリングした2in1盤である。

さて、1曲目「クアドラ・ヂ・ホーダ (輪になって踊ろう)」、いかにもブラジルなリズムで幕をあける。戦慄の歌声、文句なしにハッピーなコーラス、天翔けるような楽曲の展開に悦楽のリズム。

音楽もこのレベルになるともはやラテンだのポップだのという区分けになんの意味もない、ただただ極上の大吟醸である。こんなに素晴らしい音楽を聴くこともなく人生を終えるなどということは、一度聴いた後ではちょっとありえない話である。

「ワタシ、ラテン系の音楽ってちょっとNGなのよね」という人も心配御無用。とにかく強烈にメロディがポップなので、ブラジル・ビギナー(つまり筆者のようなタイプ)にもとっつきやすい。メロディーがよく、コード進行がクールで、リズムが最高ならもう文句のつけようがないわけで、解説する事そのものが困難なほどハイレベルな作品なのだけれど、それでも俺は書く!(なんのこっちゃ)

この文章を書くために、今CDを聴きながら書いているわけだけれど、曲が良すぎてなんとも解説が困難で途方にくれる。一曲ごとにコメントしようと思ったのだけれど、どの曲も凄いのでそんな荒行はやめることにした。ま〜その〜、とにかくですね、歌がうまい。抜群にうまい。演奏も素晴らしい。アレンジも絶妙。うだうだ言う暇があったら、黙ってこの音の波に身を任せてしまえ!ということで、こうなるとただ一言、


生まれてきてよかった。


と。

それ以外にコメントのつけようもないわけで・・・。

驚いた事にこの2枚、全曲捨て曲なしのオール・パーフェクト盤という、ポップ史上でも類い稀な奇跡の仕上がりで、スローからアップまで、まったく外れナシというのも恐ろしい話である。これを聴いて「なんだ、よくないな」と思うような人がいたらそいつのCD代金を払ってやる!(くらいの気持ち、てことで・・・)

CD屋に行ってこのCDがあるのに買わない(即ち聴かない)というのは、トレーシー・ローズ的金髪グラマーが全裸で迫ってくるのに「いえ、僕には家内がいますので」などと意味不明なことを言って断るようなものである。品質会議で顧客が「本当のことを話してください」と言っているからといって本当に「実は課長以上が全員ボンクラなんです」などと真っ正直に答えるくらい愚かしいことである。

ブラジルの音楽を聴いてみたいけれど、何から聴いていいかわからない、そんあアナタにこそお薦めする問答無用の大傑作、一度耳にしたら抜け出すことは不可能である。

のっけから一気に気分はブラジ〜ルになるので、お金はないけどブラジルへ行きたいという人は、このディスクでヴァーチャル・ブラジ〜〜ル@ホームをお楽しみください。

どういうわけか、この盤を聴くと少年時代の夕焼けを思い出してしまうおセンチな筆者なのでした。

2004年3月4日




Shake Your Booty!!