聴かずに死ねない〜Sly & The Family Stone

さて待望の(?)新企画「聴かずに死ねないこの1枚」がスタートします。

記念すべき第一回目は神様スライです。
「スライ」と聞いて「あのドラムのスライ・ダンバー?」と思った人はかなりのレゲエ通だけれど、今回取上げるのは残念ながらあの「スラ・ロビ」のスライではなくて、究極の「ソウル/ファンク/ポップ/ロック」グループ(ややこしいな)であるスライ&ザ・ファミリーストーンである。

このバンドは音楽的にもかなり画期的であったけれど、メンバー編成自体もまた画期的であった。黒人と白人混合であり、かつ男性と女性混合でもあるというそのメンバー編成は当時の米国における音楽産業および社会背景を考えるとかなり革新的である。そのロック的な衣装も刺激的であった。80年代にプリンスがザ・レヴォリューションというバンドを編成する際に念頭においたのは、このスライのメンバー編成(黒人・白人・男性・女性)であるという。(実際プリンスはヒラヒラ衣装まで真似していた)

さて「聴かずに死ねないこの一枚」をどれにするか、というのは実は難しい。「Dance to the Music」も「(I Want to Take you) Higher」も「Thank You」も「Runnin' Away」も「Family Affair」も「Everyday People」も問答無用の名曲であるからだ。しかし、無理やり一枚選ぶとすれば世間的にはやや評価の低いアルバム「暴動(There is a Riot goin' on)」を推したい。

1971年に発売されたこのアルバムはベトナム戦争でよもやの敗戦に至りつつあったアメリカと歩調を合わせるかのように(皮肉にも星条旗のジャケットである)全体にえもいわれぬ「BLUES」の漂う音盤であり、一般的には「スライ衰退(もしくは没落)」を示すものとされている。いわゆる「チョッパーベース奏法」の創始者たるラリー・グラハム(超ファンキー魔人!)はこれ以降グループを離れることになるので、「スライにおける最後のラリー・グラハム」という位置付けで聴いてみるのもおもしろい。全編で彼の「行き切らない」抑えたファンク・ベースが「生」なサウンドで収録されていてたまらない。これは打込みでは決して再現できないグルーヴである。

この「暗い」と評されることが多いアルバムはしかし、不朽の名曲「Family Affair」(全米1位!)が収録されているだけでも、やはり「聴かずに死ねない」と認定せざるを得ない。

傑作「Thank You」や「Higher」で聴かれるファンクネスの爆発はここでは抑制されており、その抑制の隙間から時折顔を覗かせるファンクの青白い炎が癖になる絶品である。ポップやロック、ソウル、ファンクが高次元で融合された彼らの音楽が現在のポップ・シーンに与えた影響は計り知れない。

・・・とかなんとか書いてきたが、3月には「エッセンシャル・スライ&ザ・ファミリーストーン」という2枚組のベストが発売されるそうだから、手始めにそれを聴くのがいいのかもしれない(←なんじゃそりゃ)。

今なお無数のヒップホップ・アーティストに引用され続けるスライのジャンル無用の極上グルーヴ、あなたはこれを聴かずに死ねますか?

2003年2月5日



Shake Your Booty!!