Minolta X-700


Camera is more than a tool!


Minolta X-700(Taken by Minolta α-7 w/AF50/1.4 w/Close-Up Lens)


貧乏な学生時代、自分にとって「イチガンレフ」という言葉、その響きは憧れであり、同時に「自分には無縁な世界」を意味していた。カメラを趣味にするなどということは到底不可能なことであったから、長い間自分があの「イチガンレフ」を手にすることができるなどとは夢にも思っていなかった。自分にとって「イチガンレフ」とは「まとも」で「高級」なカメラの総称であった。しかし時は流れ、気がつけば女房ができ、廉価なカメラの1台や2台、なんとか買うことができるようになった自分がいた。

そうして初めて買った「イチガンレフ」がこのX-700である。まとも、といっても中古であったが・・・。いずれにせよ、記念すべき我が家の1台目のカメラであり、何があっても手放すことのできない愛着深い1台である。

そもそもこのカメラを買うきっかけになったのは大学時代の恩師宅での出来事である。

年の瀬も迫ったある日、重篤な病気から奇跡的に生還した先生の家に年末の挨拶に行った。先生は久々の対面にご機嫌で、「君、ぼくがチベットのラダックへ行った時のスライドでも見たまえ」と言う。そこはまさに先生が瀕死の病を患った当の場所なのだけれど、そんなことはお構いなしにスライドを並べて「見ろ!」と迫る。そして小さなビューワーを覗いてみたら、そこにはなんともビビッドな色彩で捉えられたチベットの風景があった。その目を刺すような色彩にノックアウトされてしまった。

「先生、これ素人でも撮れるんですか?」と訊いたら、「これで撮ったんだがなあ」とカメラを見せてくれた。今思えばそれはニコンのFG20というカメラだったのだけれど、型番まで記憶できなかったため、ペンタ部の形状だけを頭に叩き込んだ。

後日すぐさまカメラ屋へ行き、先生のカメラと同じものを探した。しかし、ニコンのあの形状のカメラはなかった。それでも似たような形状のカメラがショーウィンドの中にあった。それが35-70ズームを装着したこのX-700であった。あくまでもニコンにすべきか迷ったけれど、店員のおじさんが「いいカメラだけどね〜」というので買うことにした。

このモデルは関西カメラメーカーの雄ミノルタが誇るXシリーズ、その最終形であり20年の長きにわたり市場に存在した名機(ワタクシ的に)である。

上掲の写真はAEロック機構の付いていない初代モデルで日本製であるが、後に販売終了の報を聞き、AEロック付きの最新版も入手した。それはもはや中国製であり、20年間市場に存在するために必要なコスト削減の厳しさを教えてくれるものだった。 勿論中国製だからといって粗悪なわけもなく、現在その最新版は家人の愛機になっている。

そのいかにもエイティーズなガンダム的デザインが今になってみれば、たまらない。てのひらにしっくりくるグリップの形状、布幕横走りのまろやかなシャッターの感触、大きく見やすいファインダー、など美点の多いカメラである。
このカメラが写真撮影のイロハを教えてくれた、という意味で、自分にとってはエポック・メーキングな1台である。

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