伝説のALT(4)



ねぇ。


こんなゲーム、していいんでしょうか?


仮にも教師ですよ?

これだから外人は嫌なの。

アメリカ人は特に。

戦争大好きなんだもの。

野蛮なんだもの。


では、話の続きをしましょうか。

スティックのり(大)が飛んでくるまでの時間

およそ0.5秒。

よく、まるでスローモーションのようだった といいますが

全然早かったです。

一瞬でした。

私達のとった行動といえば

身構えることくらい。

だって一瞬ですよ。

考えてる暇もなかったです。



バシッ!



のりがぶつかった音がしました。


・・・・・。


あれ・・・?痛くない・・・。

M子にあたったのかな?

そう思ってM子の方を向くと、M子も私を見ていました。

M子「あたった?」

私「ううん。M子は?」

M子「いや、あたってない。」

周りを見ると、私の横に立っていた部員Aが右腕を押さえていました。

あぁ、この人にあたったのか・・・。


部員A「・・・・痛っ・・・・・。」


シモンせんせーーーーーーい!!!


負傷者ですよ!!!

ついにケガ人がでてしまいましたよ!!!

もう懲戒免職間違いないですね。

こんな危険なゲーム、親達が許すわけがありません。

しかし、シモンは顔色一つ変えませんでした。

ただ、部員Aをジッと見つめています。

いえ、
睨んでいるといったほうが正しいですね。

すると、部員Aがのりを拾って言いました。


「 I like cat the best. 」

おい。
まてまて。

痛いんだよね?腕。

痛いっていったよね。

腕だって押さえてるじゃない。

なのにどうして?


ねぇ、どうして続けようとするの!?



もうやめて!

もう十分だよ!

部員同士傷つけあうのはもうやめて!

お願いだから!

こんなの部活動じゃないじゃん!

協力のカケラもないじゃん!

部活って何!?

ねぇ何!?

みんなで協力して何か活動をするものじゃないの!?

英会話部はこんなことが日常茶飯事なの!?



「 When is your birthday ? 」


スッ。
←のりをふりあげた音。


それでもゲーム続行ですか。


だめだ、完全にイカレてるよ、この部。

そんなにシモンが怖いですか。

その気持ちはわかるよ、痛いほどに。

私だって怖いからね。

でもこんなのいけない。

やっちゃだめだよ、こんなゲーム。

私は、ついにこの地獄ゲームを終わらせることを決意しました。

そんなことをしたらどうなるか。

命に関わる行為だってことは百も承知です。

でも、日本人として、人間として放っておくわけにいきません。


サッ。


私は部員Aの目の前に手を差し出しました。

部員A「え・・・・?」

私「のり、貸して。投げなくてもまわせばいいじゃない。ね。」

部員A「でも・・・。」

私はのりを半ば無理やり奪いました。

「 Jeanuary 13. 」

私「 Do you like dogs ?」


スッ。←のりを手渡す音


私は隣にいるM子にのりを渡しました。


M子「 Yes, I do. 」


よし!

やったよ!

ゲームの流れを変えたよ、私!

多くの人たちを救ったよ!

部員は全員、安堵の表情を浮かべています。

やっとこの忌まわしい地獄ゲームから解放された・・・。

部員の気持ちは一つです。


しかし。


これを快く思っていない方が約一名。



シモンです。



彼女を不快にさせることはわかっていました。

覚悟の上でやったことです。

完全に彼女を敵に回しました。

彼女は険しい表情をしています。

そして



「 Oh----u. OKOK. Stop. 」



と苦笑いをして言いました。


ゲーム終了。


こんな平和なゲーム、彼女は望んでいなかったのですから

中断するのは当然ですね。

部員の安堵の表情は一変し、恐怖に満ちた表情になりました。

中には私の身の安全を心配する表情の方までいました。

事実、私が一番心配でした。

シモンは部員に席に着くよう促します。

彼女の話が始まりました。

どうやら、今日はこの辺で終わりだといってるようです。


部活動終了。



「 See you again next week. 」

(来週また会いましょうね。)



アホぬかせ!

二度とくるか!

英会話部は週一回、火曜日に活動しますが

その後一度たりとも出席したことはありません。

彼女を敵に回した以上、参加できるワケないじゃないですか。

二年になり、OCもなくなったのだから

部活動にさえ行かなければ大丈夫。

私は、前向きにそう考えました。

実際、シモンと偶然廊下ですれ違う時

睨まれはしましたが、それ以上何かされることはありませんでした。


ようやく、悪夢は終わったのです。

今度こそ本当に終わったのです。


しばらくして、驚くべき知らせが伝えられました。

ホームルームの担任の話の時です。


担任「え〜実は、シモン先生がアメリカへ帰られました。」

!?



帰ることになったんじゃなくて、もう帰ったんかい!


やっぱりモラルはないようです。

 
お別れの挨拶もせずに帰るなんて。

日本人には考えられません。

まったくなんて礼儀知らずな!

でもそんなことはどうでもいいんです。

突然の別れに、少々驚きましたが


本当はすごく嬉しい。


何といってもこの安心感がたまらなくいいよ。

もう彼女におびえて暮らさなくていいんだ。

もう彼女と関わることは二度とないんだ。

彼女は私の心に大きなショックを与え

また最大級の恐怖を埋め込んだ。

これ以上ないくらいに私は怖かったよ。


本当に怖かったよ。


彼女が私に与えたものは

一時的な恐怖ではありませんでした。

心の奥底に、恐怖を植え込んだのです。

おかげで、シモンがいなくなったというのに

職員室へ行くのが怖かったり

語学教室の前を足早で歩いたり

天パの外人を見るとビクッとしたり

夢の中にシモンが現れうなされたり・・・。


後遺症です。


彼女の恐ろしさといったら後遺症が残るほどすごいんです。

今でもたまに夢の中にでてきます。アイツ。



一面、シモンなんですよ。

シモンで埋め尽くされてるんですよ。周りが。




超怖いよ。マジで。

面白半分でこの話を読んでいる方。

私はあなたにこの恐怖をキチンと伝えたいよ。

本当に怖いんですよ。

伝わらないかな?

少しでも多くの人に彼女の恐ろしさをわかってもらおうと思って

似顔絵をアップすることにしました。

本当に似てます。

こんなに上手く書けると思いませんでした。

マウスでかいたのに。


さぁ、ご覧下さい。


自称ベジタリアンのシモン・イスパランダ。

伝説のALT。




しっかり見てください。

刺激に耐えられなくても責任は一切負いません。

夢の中にでてきたって知りません。

全責任を自分で負担してください。

いいですね?

私に文句言わないで下さいね。

絶対

では、どうぞ。





















制作時間約20分。

ね。

怖いでしょ。

実在するんですよ、彼女。

さて、今回で 伝説のALT は終わりです。

本当はもっとたくさん話があるんですけど

長々しく書くのもなんだし

とっとと終わらせて次に進みたいので終わらせました。

ちなみに、彼女がアメリカへ帰った理由は



ホームシック 



だそうです。



嘘くさっ!!!


自分の家の豚肉の味が恋しくなったんだ!

そうに違いない!

それ以外ありえない!


*感想など聞かせてもらえれば嬉しいです。



-完-



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