私的映画評論

奪還 DAKKAN アルカトラズ (原題:Half Past Dead)
【監督】ドン・マイケル・ポール 【出演】スティーブン・セガール、モリス・チェスナット、ジャ・ルール

 アルカトラズと言うと『ザ・ロック』でも出て来たが、こちらは"ハイテク"化してるアルカトラズ。その為に、アルカトラズにCGで新たな建物などが加えられている。
 しかしやっぱりセガールだけの作品になってしまっている。囚人を率いて、アルカトラズを占拠した傭兵部隊に立ち向かう訳だが(設定だけだと普通は逆になりそうだが)、囚人にももう少し活躍の場が欲しかった。アメリカでは人気のラッパーが出演しているが、その所為でバックにはラップ音楽が流れる。『電撃』でも思ったけど、セガールにラップは似合わない・・・。
 アクション監督に香港の人を採用していて、鎖での空中格闘や一風変わったカンフーアクションが見れるけど、余り斬新性は見当たらない・・・。女性の悪役が1番この香港直伝のアクションを見せてる感じ・・・。
 「沈黙」シリーズじゃないのに、ストーリーそのものは受け継いでる感じ。「テロリストが占拠した所には無敵の男・セガールがいた(偶然にも)」というそういう風なのである。
 セガール映画と言うと、セガールは悪役の死体を利用してのアクションが多いように思うけど、今回は自分が1度死んでの再利用。原題の"Half Past Dead"とは「仮死状態」と言う意味がある。邦題の"奪還"は何を奪還するのか作品からは良く伝わらない・・・><。
 別に何をする訳でもないけど、ストーリー上の鍵を握る死刑囚が1番良い味を出していた。その死刑囚よりも周りの服役囚の方が倍以上に悪に見えた。
鉄道員 <ぽっぽや>
【監督】降旗康男 【出演】高倉健、大竹しのぶ、広末涼子

 原作の方が良かったというとそれで終わってしまう(原作を超える映画は余りないのもあるけど)。高倉健の演技も原作の台詞を言わせたらこんな感じなんだろうなぁと思う。1番気になるのは広末涼子の存在。セーラー服姿も素朴な感じも似合っていてミスキャストではないだろう。が、どうもコギャル語の台詞回しが気になってしょうがなかった。まだ田中麗奈を配置した方がマシだった気もする。
 鉄道員一筋の男が定年間近になって人生を振り返る。しかし高倉健は"定年間近"には見えない。というか、逆に"定年越え"の「70歳以上の老人」に見える。メイクとかの所為だろうけど、これでは映画のように「定年後の再就職」を考えるよりも"余生をどう過ごすか"の方を考えた方が良いのでは、と思ってしまう。
 家族を犠牲にしてまで鉄道員の仕事一筋の男だったにも関わらず、周囲からは認められている。その所為で、娘の霊(!!)が現れて「お父さんは今までの一生で良い事が1つもなかった」なんて言われても説得力がない。周囲に厄介者扱いとかされてると感動モノの台詞になってただろうけど・・・。感動ストーリーだったろうけど、私はこの手は感動しないなぁ・・・。
燃えよドラゴン (原題:Enter The Dragon)
【監督】ロバート・クローズ 【出演】ブルース・リー、ジョン・サクソン、ジム・ケリー

 まさにリーのアクション真骨頂の作品。ストーリー的には「007/ドクター・ノオ」に似ていて目新しい物がないが、まぁ公開から30年経った今となっては目新しくは感じないかな・・・。
 言われないと気付かないのだが、実はジャッキー・チェンの映画初出演作でもある。ただこの作品では首の骨を折られてやられる役だけど・・・。
 ストーリーこそ単純であるが、密度の濃い脚本やリズミカルな演出、敵の義手や、鏡の部屋での決闘など見どころが多く作られている。この映画から生まれたような設定も多く、例えば敵の設定は『スター・ウォーズ』のダース・ベイダーに似ているし、鏡の部屋で老師の声が聞こえてくるのも『スター・ウォーズ』にもあった。
 この映画のもう1つ凄い所は「銃」というものが一切出て来ず、カンフーだけで1本の映画に収めている所である。日本でヌンチャクが流行になるのもこの映画から。ほんの10秒足らずしかヌンチャクのシーンはないのに、その約10秒の間にリーは難しいと言われるヌンチャクの妙技を見せてくれる。
 この作品を観るとリーの動きの早さは、ジャッキー・チェンやジェット・リーでも叶わないんじゃないかと思う。

   <キャッチコピー>
○龍は死なない!無敵の空手がある限り・・・敢然と挑み そして勝つ!(*初公開時)
白いドレスの女 (原題:Body Heat)
【監督】ローレンス・カスダン 【出演】ウィリアム・ハート、キャスリーン・ターナー、ミッキー・ローク

 悪女モノとしては面白い。出来映えはB級サスペンスの香りが漂うけど。トリック自体も見え見えな所もあるけど、ターナーの悪女ぶりに翻弄される。
 ただ、インテリ男が夢中になる程の女にも見えない。殺人が行われてからは怒濤の展開なのだけど、それまでが回りくどくて怠い。"火曜サスペンス"な感じなので、その手のドラマが好きな人には好きだろう。
 監督のカスダンは元は脚本家で、今まで『レイダース/失われたアーク』や『スター・ウォーズ』等誰もが知ってる作品の脚本を執筆している。
 エロチック不倫サスペンスというジャンルに位置付けしそうなこの作品も決して露出過多にはなっていない。ロークはこの時から既に悪役の常連だったんですね。この作品では時限発火装置の仕掛け方を教えるチョイ役だったけど。ハートよりもターナーの方が幾分存在感があった。
評決のとき (原題:A Time to Kill) 
【監督】ジョエル・シューマッカー 【出演】マシュー・マコノヒー、サンドラ・ブロック、サミュエル・L・ジャクソン

 この映画の主要なテーマは「個人による報復(私的制裁)は許されるのか」と言う事だと思うが、どうしても「黒人VS白人」の図式がメインになっている。日本に住んでると余り意識はしないものだが、黒人と白人の人種問題を躊躇なく取り上げた作品だけに観る価値はある。
 クライマックスの弁護士の最終弁論は鳥肌が立った。陪審員全てが白人で、被害者が"黒人の少女"だと彼らの心を動かす事が出来ないと知った彼は"白人の少女"と語って問い掛けた。ただ結構腹の立つ話でもある。黒人だったら許されず白人だったら許される・・・、今は差別はほぼアメリカではなくなったと聞くけど、”ほぼ”であって完全に差別が今もなくなったとは言えない・・・。
 ストーリーはかなり重めでインパクトも強い所為か、出演者に魅力が感じられなかった。アメリカの陪審員制度がかなりいい加減な制度である事も分からせる作品である。確かにどちらかと言えばハッピーエンドな感じで終わるけど、結果的には敵討ちやリンチを認めている映画ではないだろうか・・・。

   <キャッチコピー>
○裁かれるのは、肌の色か、正義か、愛か。
風と共に去りぬ (原題:Gone With The Wind)  MIDI
【監督】ビクター・フレミング 【出演】ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲイブル、レスリー・ハワード

 「タラのテーマ」を聞くだけで全てのシーンが思い出させるような往年の名作。日本ではこの作品が公開作初のカラー作品だった。放映時間231分は今となってはかなり長い(昔は200分以上の作品が多かった気がする)。ちなみにアカデミー賞は当時は「事前発表」で受賞者の感動が薄かった為に、翌年から封筒に変えられた。アカデミーの趣向まで変えた曰く付き。
 前半は良いのだが、後半はスカーレットの我が侭ぶりがちょっと共感出来ない。でもそれでも生き方は力強い。ゲーブルも魅力的だった・・・。
 黒人からは反発を浴びたらしいが、確かに黒人反発主義もちょっと入ってる・・・、でも本当にこれは39年という60年以上も前の作品には思えない。余り不思議と古臭さを感じない。原作は小説だが、小説は知らずに映画だけ知ってる人の方が多いかも(私もそうだけど)。
 何時までも「風と共に去り」ず(忘れられずに)に世界中の人々の心を掴む作品に思う・・・。
タラのテーマ
北北西に進路を取れ (原題:North by Northwest) 
【監督】アルフレッド・ヒッチコック 【出演】ケイリー・グラント、エヴァ・マリー・セイント、ジェームズ・メイソン

 ヒッチコック作品の中の傑作の1つ。アクションは今観れば目劣りするかも知れないけど、トウモロコシ畑(何故か昔の作品には多く登場する)での飛行機襲撃シーンなど良くできている。テンポも速いので退屈せずに観られる。
 主人公の母役の女優は若い所為かどう観ても"母"には見えない。途中まで秘書役かとばかり思ってた。実際はグラントよりも年下らしい。そりゃそうだろ・・・。
 最初から最後まで息をつかせぬ展開だったのに、ラストは「あれ?」って感じで終わってしまったのは惜しい。軽飛行機襲撃シーンがいわば、この作品の名シーンなのだが、この後この作品から色々引用されたりする場面が多いので、「映画の教科書」とも言えるかも知れない。巻き込まれ型スリラーの古典。
 主人公には当初、ジェームズ・スチュワートとグレゴリー・ペックが候補に挙がっていたそうです。
摩天楼はバラ色に (原題:The Secret of My Success) 
【監督】ハーバート・ロス 【出演】マイケル・J・フォックス、ヘレン・スレイター、リチャード・ジョーダン

 J・フォックスはまさにサクセス・ストーリーにピッタリの俳優だろう。この作品では彼の1つ1つの表情が魅力的。こんな風に世の中上手く行けば良いんだけど、まぁ現実はそう甘くないですし・・・。
 もう公開から15年以上経ってるけど、未だ色褪せない。J・フォックスやスレイターをもう観なくなったのが残念だけど。ストーリーは呆れさせるほどに気持ちいい。J・フォックスはこの作品の演技で『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のオファーが入ったんだそうだ。
 この不況の世の中(ただその会社の稼ぎ方が下手だとも言われるけど)、この作品は田舎者があの手この手を使ってトップに上り詰めるまでを描いているので、生き方が何か参考になり、落ち込んでる時も忘れて逆にやる気になりそうである。
 J・フォックスって『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でもそうだったけど、何か困った顔が凄い似合う。困った顔をしながら善の道の方へ進む役とか・・・。多分悪役は似合わないだろうな・・・。やるとしても"万引き"とかの小さな犯罪向けに思う。でも、1番可愛そうな事はこの邦題の所為で、J・フォックス出演のタイトルに「バラ色に・・・」がまとわりつく事である。日本の配給会社は結構いい加減である・・・><。

   <キャッチコピー>
○や・っ・ぱ・り・マ・イ・ケ・ル・に・は・コ・メ・デ・ィ・が・よ・く・似・合・う・!
未来は今 (原題:The Hudsucker Proxy)
【監督】ジョエル・コーエン 【出演】ティム・ロビンス、ポール・ニューマン、ジェニファー・ジェイソン・リー

 コーエン兄弟の作品は評判良いのだけど、この作品はちょっと物足りないかも。フラフープのオチは苦しかったし、ただトップになれれば良い、というアイデアは如何にもアメリカ的で、もっと色々人生があっても良かったと思う。ラストの天使も寒い・・・。
 でもニューマンの威厳と脚本は良かった。その為かストーリーの完成度は高め。ロビンス演じる社長が新商品を考え出すのだけど、特に2つ目の商品は笑ってしまった(観てのお楽しみ)。
 ただ、物語の背景が不況下なのでちょっと暗め・・・というか今の日本と何処となく世の中が似ていた・・・(給料から天引きされたりクビになったり)。
 冒頭から主人公が自殺しようとするなど、コメディとは思わぬ展開なのに、見終った後は何故か爽やかな感じを受ける不思議な作品。
狼 男たちの挽歌・最終章 (原題:喋地雙雄)
【監督】ジョン・ウー 【出演】チョウ・ユンファ、ダニー・リー、サリー・イップ

 邦題こそ『男たちの挽歌』シリーズに入ってるが、作品的には別物。その証拠にユンファは殺し屋に扮しているし、その標的などに『男たちの挽歌』シリーズの悪役が出演していたり、男の友情に今作では"愛"が加えられている。
 しかしウー監督らしく怒濤のアクションの連続。銃撃戦と敵の数は最大かも知れない。中盤の屋敷での銃撃戦では、ゲームのように、車や林から同じ服装の敵がわらわらと沸きます。みんなが同じ顔に見えたのは気の所為?。
 日本も"任侠映画(ヤクザ映画)"を得意としてる国だが、日本の作品なんて目じゃないくらい凄い。ユンファの銃の撃ち方がカッコイイ。血が確かにシリーズを通して多い作品ではあるけど、スプラッターまではいかない。相変わらず、弾の装填という作業がないので、銃撃戦時に銃に何発入ってるのかという疑問はシリーズを通して変わらない。
 しかし、ウー作品に"愛"などという女性が絡む話は要らない気がする。どうも女性が絡むとストーリーがイマイチになってしまう。キスシーンがないのが救いではあるが、銃撃戦でも必死にこの女性を守るので、逆に足手纏いに見えた(目が見えない設定だからしょうがないが)。ただその女性を演じるイップは盲目の演技は上手い。本業は歌手なので、挿入歌や劇中歌として披露する歌も上手かった。
 結末はシリーズ中1番後味が悪い・・・。ちなみに90年代にはユンファとトニー・レオンで『新・男たちの挽歌』をウー監督は製作している(これもお薦め!)。

   <キャッチコピー>
○さらば拳銃、さらば熱き男たち・・・。


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