底に解説付き
としちゃんの結婚式に行く
2006
01.21
私の友達はみな、何故か結婚しない…と思っていましたが、時は経つものです。洋裁仲間でワクワク隊〔※1〕の第一隊員であったとしちゃんが、結婚するということになりました。しかも愛媛にお嫁入りするというのです。毎週洋裁教室+αで会っていた友達が、海を隔てた土地へ行ってしまう!こりゃ、さみしい!と、思っていたのもつかの間、花嫁から招待状をもらい、その封筒の中に一枚のスモーキーグリーンのカードが入っていました。 そのカードにはこんなことが書かれていたのです。

誠に恐れ入りますが当日披露宴で幸せ多き カップルのはなむけに 花嫁と一緒に楽器演奏 お願いします

そうでした。そういえばちょいと前の洋裁の時間で、「よ〜し!結婚式でサックス吹いてやる!花嫁とセッションしてやる!」と、ノリで言ってしまったのでした。ご依頼が来てしまいました。
さて、それからというもの、11月から猛練習。演奏曲は二人が好きな曲「シングシングシング」です。二人とも楽器を始めて1年も経っていないのに、スイングジャスの王道シングシングシングを吹くなんざ無謀ってもんですが、かなり頑張りました。二人のスケジュールを合わせ、1月10日に初の音あわせ。伴奏CDをかけて、前奏、最初の指のキーを押して、息を吸い込み、気合の入る最初の音。
「!!!!!????」
何だこの不協和音!!!
何がおかしいんだ??と、いろいろ探ってみると、…私の音だけがトンチンカン。しかし、私は楽譜通りに吹いている。???実はこの楽譜、としちゃんのフルート用の楽譜をアルトサックス用に変調したもので〔※2〕、同じ音を二人で吹くはずでしたが、テナーサックス用と間違われて変調されていたのです。おぉ、のぉ。。。式は21日だ。あと10日しかない。今から正しく変調しなおすにも時間がないし、正しい楽譜をもらっても、こんな難しい曲を練習しなおすなんて、間に合うハズがない。 急遽楽器店へ行き、「簡単かつ聴き栄えのする伴奏CDつきの楽譜」を探します。すると、困った時のディズニーだのみ(としちゃん談)、白雪姫やシンデレラなどのお姫様映画曲特集の楽譜が…。そして、簡単そうで聴き栄えのする「アラジン〜ホールニューワールド」が!即購入。あと10日。あと10日でこの曲をカンペキに吹けなければ、花嫁とのセッションが台無しになる。こいつぁヤバイ。それから、サックスの先生に泣きつき、急遽レッスンをしてもらったり、毎晩毎晩練習したのでした。 私はまだいいのです。問題は花嫁の方でした。としちゃんは九州四国を往復、ただでさえ忙しいのに、曲チェンジとな!そして一週間後、不安いっぱいで迎えた最初で最後の音あわせ。ドキドキしながら吹くと、「!!」おぉっ。私が間違う所はとしちゃんが吹ける。としちゃんが間違う所は私が吹ける。→何とかなる。何とかなるっ!すっかり気をよくして、安心している私にサックスの先生は言いました。「フルートは間違っても分からないけど、サックスは間違ったら丸分かりだからね。」 ヒイィィィ.....
そんなプロローグのあった結婚式ですが、洋裁の先生を含める教室の仲間総勢6人が呼ばれました。結婚式の時間からいって一泊旅行になります。これはみんなで車に乗り込み、道々観光しなくてはなりません。そうと決まれば、いてもたってもいられない人が、ひとり。もの凄い行動力と明るさの、しーちゃんです。彼女はその行動力で地元オーイタの店という店、観光という観光を知り尽くし、毎年海外旅行へ行き、ふらりとスイスへ一人旅するような人です。 彼女のおかげで温泉付きの旅館予約も、そして観光スポットのリサーチも、集合時刻や船の予約など完璧。そんなしーちゃんが設定したスケジュールは、何と朝6時集合。披露宴は14:30〜ですよ。どんだけ事前に遊ぶんでしょう。7時台のフェリーに乗って、四国は八幡浜に着きます。そこからまず大洲のおはなはん通りを散策。そこら辺を歩くおじさんから「何にもねぇよ。」と言われましたが、いえいえ、古い町並みはステキでしたし、川がとってもきれいでした。 ちょいとお腹がすいたところ、屋台に出くわしました。おじちゃんが田楽を焼いています。田楽〜!?大好き田楽!食べる食べるっ!で、みんなで食べることに。おじちゃんは焼いている間中、四国なまりのほがらかな話をしてくれます。ふと見ると、草を編んで作ったバッタが。作り方を聞くと、気のいいおじちゃんは私達6人全員に2つづつバッタをくれたのです。田楽は思ったより大量に出てくるし、昆布茶もサービスだし、大盤振る舞い。地元とのふれあい。旅って楽しい。


田楽を喰らう
田楽を食べ、大洲を出発し、披露宴会場へ向かっている間中、しーちゃんは「何だかこの旅、2時間ドラマのサスペンスみたいだね〜。」と言い出し、「女だらけの湯けむり殺人事件 〜美人添乗員が謎を解く!!〜 バッタに隠された謎!」と勝手な題名を考え、始終「バッタが…バッタが!」とハマっていました。そんな何故かバッタというキーワードだけでウケる人々を乗せ、車は披露宴会場へと。カパッと開いた車のドアの脇で、ド〜ンとそびえる式場を見上げ、アルトサックスを持って立ち尽くすわたし。。。 ヒ〜来てしまった。とうとう来てしまった。初めて人前でサックスを吹く、その会場へ。今さらながら「ヤベェ…」という気持ちになってきました。考えれば人前で楽器演奏なんて、小学校のマーチングバンドのスネアドラム以来です。しかもあの頃は「アハ。こんなのヨユ〜。」て感じで演奏できるほど完璧に練習をつんでたのに。でも今回は…習得がかなり困難な吹奏楽器を始めて1年未満でロクに音も出せないのに10日しか練習してないおまけに一回しか音あわせしてない!人前に立てるほどです…か? 現実逃避でとにかく着替えましょう。会場奥には遠方よりお越しの方々の為のお着替えルームがあります。この日の為に用意したドレスや着物に身を包み、ドレッサーの前では気合の入るメイク。一番若い、が、唯一既婚者のゆいちゃんは、ひとりだけお着物を選択。着付けの師範であるしーちゃんが着付けます。(まだバッタでウケている) しかしこの選択が後に悲劇を。。。着替えてから、楽器を係りの人にあずける為ロビーへ向かおうとした時、おおっっ、花嫁登場。これがウワサの白無垢。さすが姐さん、キレイっす!


新郎新婦と洋裁軍団
披露宴会場は、壁紙からオブジェまで、ちょっと乙女な感じにかわいらしくまとまっており、席に着くみなさんも、現実離れした服装でセレモニーを待っています。そこへ新婦による意地の選曲〔※3〕「愛の賛歌〜越路吹雪バージョン」で新郎新婦登場。スゲーよ。スゲー選曲だよ。さすがだよ、姐さん!緊張が見て取れる新郎の隣りで、涼やかな新婦の笑み。例にたがわず、お偉いさんの長〜いスピーチで始まる結婚式でしたが、それが長いと気づかないくらい、わたしの緊張はピークに達していました。 何故なら、高砂席向かって右の端に、あろうことかドン帳付き階段付きの立派なステージが目に入ったからです。。。。ん?あれ?もしかして、わたし、あの上で吹くわけ??そんな不安をよそに披露宴は進みます。お食事中、司会者が各テーブルをまわり、ランダムに選んだ人に無理矢理スピーチさせていました。次は私達のテーブル…全員がピクリとも動かず息を潜めて司会者と目を合わさぬよう。明らかに違う風格の先生が指名されると思いきや→たった一人着物を着たゆいちゃんが犠牲に…。 そうこうしてるうちに宴もたけなわ。余興の時間です。余興は3幕。新郎の同僚→新婦と私→新郎の友達の順。第一幕が始まる頃、担当の人が、くの一の様に、サササーっと私の隣へやって来てひざまづき「そろそろお願いします。」楽器を組み立てに外へ出るわたし。上の階にある、誰もいない暗い倉庫で、こっそり音出し。今でこそイキナリ音を出せと言われても何とか出せますが、この頃の私の技術はそこまでいっておらず、その上寒〜い季節で楽器がキンッキンです。とにかく音出しして体と楽器を暖めよう。
そんなメーワクな私を倉庫まで探しに来て出番を知らせるくの一。さぁ覚悟を決めましょう。会場へこっそり入って席に着きます。しばらくして第一幕が終了、司会者が高らかに次の演幕を紹介。名前を呼ばれてステージへ。高砂席から新婦もやってきてステージへ上がります。祝福の言葉の後に、まずは言い訳がてら舞台挨拶。マイクの前でしゃべっている時に、ふと思い出しました。「あ、そういえばわたし、人前に立つの、嫌いじゃなかった。」むしろ好きだった。あんなにキンチョーしといて。 挨拶がサラリと済みかけたところに、スタッフの方々がワワワワーっと、楽譜立てとマイクをセットし始めました。オイオイちょっと待てよ、こんな垂直で低くちゃ楽譜が見えないよ、と楽譜立ての角度を調節しかけた途端、「♪♪♪〜」前奏だぁぁぁぁ〜。待ってくれ〜。あわてふためいてマッピにハメたキャップを床にスッ転がし、下歯カバーもつけずに♪〜。何とか出出しの音に間に合いました。純白のドレスを身にまとった新婦のフルートは、春の風のように軽やかに、会場をかけめぐっていきます。 一方その隣りでは新婦の友人が仁王立ちでサックスをかまえ、昭和テイストな〔※4〕音色を響かせています。演奏終了後、「とても10日間の練習とは思えない演奏でした。」と、司会者のフォロー。舞台を降り、一人楽器を片付けに会場をあとにしました。拍手を背にステージ脇の扉を開けた途端!次の余興のスタンバイをしていたハードゲイ3人が目の前に。3HGsはわたしを見るなり「お疲れ様でしたーっっ。」…演奏終了後に、芸人からの挨拶…何か、何かわたし、ミュージシャンみたいッ!!


新婦とセッション
という軽い勘違いをぶちかました後は、もう、ただひたすら「ホッ」としてました。楽器を片付けて席に戻ると、お褒めの言葉が飛び交う中、音楽にうるさいいのちゃんから一言、「リードミスと音が裏返ったの、2回ミスしたでしょ。」…おおせの通りに御座います。出演時に食べられなかった大量の料理をたいらげ、おなかパンパンになった頃、披露宴もめでたく終了。わたしたち洋裁軍団は一泊だというのに、会場内のお花を欲張ってガッツリかかえて会場を後にしました。 もう夕暮れ。お宿に向かいましょう。って、引き出物6人分、車に入るのでしょうか。。。まずオーイタを出発した時点で、荷物の多すぎる人々がチラホラ見受けられ、すでにギュウギュウ感があり、心配していました。案の定、引き出物でパンッパンに膨れ上がり、天井まで着くほどの荷物を各々かかえ、重い車は一路松山へ。しーちゃんの予約してくれた「花ゆずき」は、露天温泉のあるきれいな高級旅館。やっとのことでギュウギュウの荷物を取り出して、チェックイン。 まずは温泉ですな。浴衣に着替えてお風呂へGO。お湯につかれば少しはお腹が減るかも…と、みんな思っていましたが、甘い!何せ披露宴の大盤振舞料理を「ついさっき」食べ上げたばかりです。減りゃあしねぇよ。そのままホテルの夕ご飯の時間になってしまいました。豪華な会席料理を前にして「・・・。」 うまそうだ。うまそうだが。頑張って一生懸命食べていると、「今日マグロの解体ショーをやったの。」と女将さんがお盆いっぱいのマグロのにぎりをド〜ン。うぷ・・・。


湯上り
(スッピンの為モザイクをかせさせていただきました)
後ろから背中をたたかれると出てしまいそうなくらい、食道ギリギリまで食べ、嘔吐覚悟でまたまた温泉へ行きます。いろんなお風呂を堪能した後、「明日は有名な道後温泉に朝一入るぞ。しかも朝6時の太鼓の音を聞きに行く。」と誰ともなく言い出したので、エライこっちゃと思いながら、床につきました。正確には寝静まった暗い部屋でわたし一人、爆笑オンエアバトルを布団の中から笑いを押し殺して見ていたため、最後に眠ることになりましたが。 朝5時50分。律儀にケータイのタイマーをセットした、りょーちんとわたし、二人の荷揚っ子〔※5〕がもそもそ起き出します。ものごっつ眠いスーパー。声を掛けても誰も起きやしねぇ。何だよ、あんなに意気込んでたのに。・・・二度寝だな。そうしてまたタイマーをかけて起きましたが、荷揚っ子以外起きやしねぇ。・・・三度寝か。結局みんなが起きたのは朝食終了時間30分前でした。道後温泉へ行って30分入浴後、朝食。その後みんなは再び温泉へ。 ここでぐっすり寝ていない荷揚っ子二人が、あまりの眠さに、もうすでにお布団が片付けられている畳へダウン。。。BB〔※6〕がゲリラライブをしています…マサコちゃんと走って行きます…KOOさんが私に話しかけています…という夢を見て起きると、何と!今さっき夢の中で聞いていたBBの曲がホテルの窓の外から聞こえる!BBがいる!浴衣のまま走って外へ。・・・という二重の夢を見たので、早速新婦にメールしたら、まんまと騙されていました。
2006
01.22
着替えてホテルのロビーへ行くと、しーちゃんの親戚と女将がいました。女将はとても面白い人で、2時間サスペンスに多数出演、ホテルに芸能人も泊まる、ゆえに芸能人に友達も多いとか。「鶴太郎ちゃんと仲いいのよ〜。鶴太郎ちゃんがいいともに出演する時アルタまで行ってね〜。水野真紀ちゃんも。真紀ちゃんホントにキレーよ〜、肌とか白ーくってね〜。あ、あと船越。」と、何故か船越だけにキビシイ女将。あんまりおかしかったので「あと、船越。」というフレーズがしばらくマイブームになってしまいました。 今日の観光は、砥部焼き(しかも女将の知り合いのいる砥部焼き観光センター)、そして古い町並みが残る内子町です。まずは松山から近い方の砥部焼き観光センターへ行きます。「山にぶちあたるからその左側」と言われたので山へ向かいました。ところが、山へはぶち当たるどころかすい込まれていきます。砥部焼きは松山からすぐと踏んでいたわたしは「着いたらトイレに行こう。」と思っていたのですが、Uターンもできないクネクネ道を延々進んでいる状況に「砥部焼き、ナメちょった…。」と思い始めました。 しかし、あまりにも続く山道に疑問もわきはじめ、絶対コレ、道間違ってる、と気づいた時には、車に酔ったいのちゃんが完全に死んでいました。やっと巡り会えたローソンのトイレに駆け込むわたし&いのちゃん。お互いスッキリしてから店員さんにここは何処かと尋ねると、何やら違う市町村の名が返ってきました。それなら砥部焼きは何処かと尋ねると、もの凄いビックリした顔で「もっともっとずーっと松山の方ですよ!」あたー、もっともっとずーっとですか。そんなわけで、山道を戻り、ようやく砥部焼き観光センターへ。
  

一目でハマったタルト人 ROCKやで
洋裁の先生は、趣味で陶芸をするほど焼き物好きです。他のメンバーもどーやら焼き物が好きらしく、ギラギラした目で砥部焼きを物色しています。わたしはそこまでの情熱がないため、ひととおり焼き物を見た後、工場見学をしていました。見学を終え、ふと四国お土産コーナーを見ると・・・。「タルト人」・・・。タルト人のシール、ボールペン、ケータイストラップ。そして極めつけにタルト人の顔(タルト部分)の絵の下に「オヤツ」と書かれたTシャツ!!!グッと来たゼ! 結局、最後まで買い物をしていたのは、この私。しかも焼き物でなくタルト人。すっかりタルト人に魅せられて、内子町へ向かいます。途中道に迷ったので、かなりのタイムロス。お腹もペッコリーノです。そんな私たちを知ってか知らずが、内子町ではマラソン大会が。車が進みません。やっと人々が走り去り、レストランへ。ご飯を食べてから内子町を散策する頃には、そろそろ暗くなって来て、さっさと観光しなさい!というわけで、内子町を半分だけ往復しました。 愛媛旅行の仕上げは、「じゃこてん」。八幡浜の練り物屋でじゃこてんを各々ガッツリ買いました。これで思い残す所なし。いよいよ四国ともお別れです。臼杵行きフェリーへ。何だか雲行きが怪しくなってきたゾ。っつーか、吹き飛ばされそうな風ゴーゴーだゾ。大しけ間違いナス!もう寝るしかない。酔い止め薬で寝ていても、大揺れで起こされます。フワッと浮いて落ちる感じが飛行機の乱気流みたいで、寝ぼけて何度も思いました、「飛行機が落ちる!!」


芸能人の写真盛り沢山 和蝋燭屋さん
底の解説
〔※1〕GOGOワクワク隊→見てみて
〔※2〕アルトサックスはE♭の移調楽器なので
〔※3〕その他「刑務所の中」サウンドトラックなど
〔※4〕ムード歌謡チックな音色です
〔※5〕二人の通った小学校は生徒をこう呼ぶ
〔※6〕Black Bottom Brass Bandのこと