愛の言葉(滝萩之介)



    繊細なリュートが
    そっと音色を響かせて
    私を感じさせてくれる

    昼が終わり
    夜のとばりがおりたら
    声をひそめて囁くように弾こう

    リュートの音色が始まり
    それが息づき
    泣き声のようになり
    艶を帯びた音色になると
    貴方を想って心臓が激しく波打ち
    昼間は眠っている切ない想いが
    貴方へ向かって
    心の奥底から引き出される

    愛は
    甘い音色の中で思想する














    愛の歌(日吉若)



    貴方の心に触らないように
    私の心をどうしたらいいだろうか
    どうすれば
    貴方のいるここではない世界へ
    私は行けるだろう

    無くしたものと住む暗闇の中で
    貴方の心の奥底が揺れても
    私は揺れない

    遠く静かな場所に
    私の心を隠すことが出来たら
    どんなに私はほっとするでしょう
    でも
    私たちに触る
    貴方と私に触ることの出来るすべてが
    二本の弦からひとつの音を奏でる
    ボーイングのように
    私たちをひとつにする

    私たちはどんな楽器の弦なのだろう
    私たちを奏でるひとは誰なのだろう
    心を溶かす
    甘い音色が響く









訳詩:蜜屋文子
樺跡のページに訳詩の参考があります。



 補足説明

 シュレーゲルの「愛の言葉」もシューベルトの歌曲です。
 訳詩に出て来る「リュート」はマンドリンに似た弦楽器です。

 「愛の歌」はリルケの詩集より
 訳詩に出て来る「ボーイング」は、多分弦楽器を弾く時のワザ?
 か何かなのかなぁ?
 音楽用語のようです。無知ですいませ……。

 参考文献
 筑摩書房 世界文学大系53リルケより
 昭和34年発刊(私生まれてないよ!)