Hi-fi show at Heathrow (2003.September 26-27th)


 ヒースロー空港近くの2つのホテル、ルネッサンスとメリディアンを使って行われたHi-fiショーに行って来ました。同時期に別の場所で、もっと一般よりのバジェットHi-fi、ホームシアター中心のショーも開かれており、こちらはピュアなHi-fi色を強めたものとなりました。

 開場10分前についたときにもすでに結構な列が出来ており、英国では熱心なHi-fiファンがまだまだ健在であることを伺わせます。

 さて、展示各社のポイントを記していきます。私の関心はSACDプレーヤーが中心で、アナログなどはあまり注意して見ていません(苦笑)ので、その辺ご了承ください。


ソニー

 Hi-fiの分野では日本市場よりも存在感の大きいソニー。クリスマス商戦向けというSACDプレーヤーとマルチチャンネルアンプがメインで、実機を使ったデモを行っていました。

 デモはSACDプレーヤー「SCD-XA9000ES」とオールデジタルのマルチチャンネルアンプ「TA-DA9000ES」に7.1ch配置のスピーカー「SS-X90ED」の組み合わせによるもの。SCD-XA9000ESとTA-DA9000ESはたった一本のiLINKケーブルでつながれていました。デモは綾戸知恵の「イマジン」をCDとSACD2chでそれぞれ聴かせ、次にナットキングコールをCD、SACD2ch、SACDマルチで、最後にピンクフロイドの「狂気」から「マネー」をSACDマルチでというものでした。
 CDとSACD2chの比較では、SACDにした途端にサウンドイメージが奥行きを増し、細かい音は聴こえているのに静かになったような感じがします。演奏の場の空気といったものが感じ取れるような気がするのもSACDの方。価格を考えるとこの組み合わせはかなりの実力を持っていると思いました。

 

 別室に展示されていたSCD-XA9000ES。前面パネルの一部がスラントしたデザインになっているのが新鮮。主な操作ボタンはこのスラント面に設置されています。ちなみに私は「めちゃめちゃカッコ悪い」と思いました。次期メインソースとして考えていたのですが、このデザインで見送り決定です。重量は16.2Kg。背面には技術面でのハイライトの一つであるiLINK端子が装備され、アンプ、TA-DA9000ESとのデジタルリンクが出来るようになっています。この端子をつなぐだけで、CD、SACDの全ての信号をデジタルでアンプに伝送することが出来ます。先代の倍の12個のDSD DACを装備し、2chの時はフロントのステレオに6つずつ、マルチの時はそれぞれのチャンネルに2つずつ、とSCD-XA777ESで好評だったパラレル構成のDACのコンセプトを継承・発展させています。ちなみにもらったカタログには「Fixed Pick-Up Mechanism」がSCD-XA9000ESにだけ採用されているという記述があり、とうとうSACDマルチ対応の光学系固定メカ復活か!という希望が持たれます。この機構面での充実振りを見るにつけ、デザインの悪さが本当に残念です。。。

 

 こちらがSCD-XA9000ESとペアになるTA-DA9000ES。まずその巨体にビックリしますが、ソニーの関係者によるとこのアンプに採用したデジタルアンプ「S-Master PRO」は小型軽量化にも一役買っているそうです。SCD-XA9000ES同様のスラントしたフロントパネルをもつデザインで、やはり私から見ると相当ブサイク。背面の端子には圧倒されるばかりです。重量は28.5kgと思ったよりは重くありません。
 ちなみにiLINKを使った接続はSCD-XA9000ES&TA-DA9000ESの組み合わせでしかできません。他の下級モデルにはiLINK端子自体がついていないのです。
 このアンプの最大の目玉はデジタルアンプであること。今までプリ段がデジタルのアンプはAVアンプを中心にいくらでもありましたが、このアンプはパワー段もデジタル。クォリアシリーズでも使われたこのS-Master PROは、数年前にオーディーショウで参考出品され、「ノーチラス801を軽々と鳴らすソニーの手のひらサイズのデジタルアンプ」として話題になったものが実用化されたもののようです。この機種も機構面は新機軸の機能もあり有望な機種ですが、やはりデザインの悪さが残念。

 こちらは中級機種のSCD-XA3000ES。SCD-XA333ESの後継機というポジショニング。SCD-XA9000ESとの違いは、DACが8個に簡略化されていること、光学系固定メカ、FBシャーシ、内面銅メッキなどもなしで、重量は8kg。


マークレヴィンソン と、その他色々

 

 マークレヴィンソンはレヴェル、Ayreなどとともに輸入商社によって展示がされていましたが、音が聴けるデモはなし。ただ、カタログふんだんに用意されていました。マークレヴィンソンの英国での評判は「良いが高すぎ」と質実剛健を旨とする英国人にはあまりウケが良くないようです。
 超ドキュウ(MS IME変換できず)のADプレーヤーも展示されていました。


ネイム

 

 リンと並ぶ国産代表、ネイム。今回はミドルクラスの5シリーズに新製品を出し、メインストリームへの回帰を伺わせました。伝統のDINではなく、RCAジャックが装備されているもの大きな特徴(!?)。SACDやDVD-Aといった次世代オーディオの製品こそありませんが、落ち着いた風合いのよいサウンドは相変わらずで、老舗健在を感じました。英国特有の言葉「Subtle」が一番似合うメーカーです。


ミュージカルフィディリティ

 中堅・ミュージカルフィディリティはTri-VistaシリーズのSACDプレーヤーとプリメインアンプを展示。使用していたスピーカーはソナス・ファベールの傑作・グァルネリでした。両方とも軍用に開発された真空管を使っている変り種です。脚の部分は真空管の暖まり具合のインジケーターとなっていて、電源オンで赤に、出力段がOKになるとオレンジに変わり、最終的にウォームアップが終わると青く光るという、凝った仕掛けになっています。ちなみに電源オンから青になるまでは35分かかります。
 パーカッシブな音楽は苦手で「透明」「クリア」「見通しのよさ」という言葉とは遠く感じるその再生音ですが、風合いの良さを感じさせることも確かで、これが好きな人もいるだろうなと感じさせる音でもありました。
 ちなみにSACDプレーヤーのメカはソニー製。生産予定は800台で、そのうち500台はTri-Vistaプリメインアンプのオーナーに、残り300台はTri-Vistaセパレートアンプのオーナーに割り当てられるということです。そんなにMFのペアを欲しがる人がいるのかな?というのも疑問ですが。。


アヴァンガルド

 

 ホーンスピーカーの雄、アヴァンガルドは昨年は1ブースだけでそれもHalcroのアンプと組み合わされるという、非常にニッチな組み合わせだったのですが、今回はあちこちで目にしました。この「Trio」は右の写真で見られる通り、オールアナログ、糸ドライブのアナログターンテーブルと真空管アンプで駆動されていました。やはりホーンはいいですね。音がストレートに前向きに出てくる感じで、浸れます。私の現用のスピーカー、ソナス・ファベール「アマティ」の座を脅かすとしたらこれだろうな、という気がします。


Halcro + Accustic Arts + 神木

 面白い組み合わせのブース。スイッチング電源を使った最新のアナログアンプ、Halcroと、オーソドックスながらドイツ独特の完璧主義が貫かれたアクースティック・アーツの製品群と、未来的なカバスのスピーカー、そしていつもながら謎の存在のチューニングデバイスメーカー、神木(シュン・ムック)。スピーカーの背後に立っている三本の棒や、スピーカーの右につりさがっている円錐など、何故これが音質改善になるのだろうと首を傾げてしまいます。それでもここで流れていたマイルス・デイビスの「ライブ・アラウンド・ザ・ワールド」は、天井のビビリを除けばなかなか良い音で鳴っていました。アクースティック・アーツのAMPIIは£6500(120万円)。日本で買うより安い数少ない製品の一つです。


アキュフェーズ

 日本のニッチ・ハイエンドの雄、アキュフェーズ。おなじみの製品が並んでいますが、その値段は目を疑うほど。SACDプレーヤー、DP-85は£12000(210万円)、アンプは一世代前のものを売っていますが、それでもC-290V、P-1000ともに£12900(240万円)という破格の値が付けられています。その価値が認められているというよりも、これより安くしても買う人は買うし、買わない人は買わない、ということなのでしょう。実際、「アキュフェーズ」の名を知らない人の方が圧倒的に多いです。
 私的にはSACDをPCMに変換するプレーヤーは問題外なので、アキュフェーズ製品も問題外です。


クレル+ソナス・ファベール

 これはアブソリュート・サウンドという最大手のディーラーの3つのブースのひとつ。入るには整理券が必要です。
 ここでフィーチャーされていたのはクレルのエレクトロニクスとソナス・ファーベルのクレモナシリーズ。クレルのStandard、SACD Standardをソースに、Showcaseシリーズをプリアンプ+パワーアンプに使い、ソナス・ファーベルのクレモナをフロントに、クレモナ・オーディターをアンビエンスに、グラヴィスをサブウーファーに使った組み合わせ。
 再生音はあまり感心するものではなく(ソースが悪かったせいもあるのですが)、クレモナの欠点である、音量によってレンジ感が変わるという性質が浮き彫りになってしまったようなデモでした。音質自体は好きな部類だけに残念。オーディターは割高な値段といい、これならちょっと足してクレモナを買ったほうが良いと思わせてしまいます。
 クレルの機器は、トップエンド陣は飾ってあるだけで、普及クラス(?)のKAVシリーズが主役だったのですが、絵、音ともにこのシリーズを高い金を出して買うなら日本製の方がずっと良いと思ってしまいました。特に個人的に期待していたSACDスタンダードはまだこなれていない感じで、硬い音をだしてました。インピーダンスの高そうな音、と言ったらわかっていただけるでしょうか???このプレーヤーのDACは192KHz、24bitのPCM変換するものを使用しています。


ウィルソンオーディオ+ゼータ

 

 アブソリュートサウンドのもう一つのブース、ウィルソンオーディオ(後の一つはマーティン・ローガン)編。システム7をThetaのエレクトロニクスで駆動。部屋にはオーディオ・リサーチの機器も飾ってありました。右の写真のアンプの背後に見える黒い箱は電源ではなく、トランスペアレントのケーブルの一部。
 デモの前に、システム7がこのショーのスピーカー・アワードを受賞したという発表。このショーで英国製以外のメーカーがこの賞を獲得したのは史上2回目で、たった一回の前例は同社のシステム6だったとのこと。
 デモはレゲエにはじまり、鼓童のパーカッション(スピーカーの背後の観葉植物が派手に揺れていました)、女性ボーカル、しめにブーレーズ+ウィーンフィルのマーラーの3番という充実した内容。どの曲も「The Hi-fi」といった趣で鳴り、さすがの実力です。ただ、司会の冷徹な話し振りはその製品にも通じるものがあるような印象で、毎回感心しながらも、欲しいと思ったことのないメーカーでもあることも事実。


アヴァロン

 独特の多面立方体のエンクロージャーが特徴的なアヴァロンのスピーカー。基本的に分析的なサウンドであまり好きなメーカーではないのですが、ここではアナログプレーヤー+真空管アンプで、なかなか良いところに落ち着いた感じで鳴っていました。アナログソースということで、ステレオイメージや音場感が今ひとつなのはしかたないところ。セッティングは背面にたっぷりスペースを取った上に吸音材をふんだんに使っていて、ホテルの一室でのセッティングの難しさとともに、この出品者の真剣さの一部を伺わせているかのようでした。


マランツ

 マランツはついにフラッグシップのセパレートアンプを英国市場に投入。受注発注で、6週間がリードタイムだと担当者が言っていました。
 マランツは日本ではB&Wの販売代理店ですが、英国ではB&Wがクラッセ(カナダ)の販売代理店であることから、B&Wとペアでのデモは見られません。今回も、名もないスピーカーを使ってのデモとなりました。ソースは日本ではとっくに生産中止になっているSA-12S1。なかなか良いアンプだと思うのですが、派手派手な青い照明は安っぽくてイマイチ。


PMC

 英国では一定の地位を築いているPMC。新製品のOB1は人気の現行機種FB1にスコーカ−を加えたような形で、より広いレンジでの忠実性を追求しています。サイズと比した時のそのマッシブな低域は健在。長いトランスミッションロードに起因すると思われるわずから低域のレスポンスの遅さも相変わらず。
 ペアとなる機器は、TEACのX-50Wとブライストンのアンプの組み合わせでした。ちなみにこちらではTEACのハイエンド機種は(英国ではESOTERICのブランドは使っていない)マークレヴィンソンと同等の評価(良いが高すぎ)を確立しています。TEACのハイエンド機もアキュフェーズと同じく、日本価格より遥かに高価。


その他

 ルーメンホワイトそっくりのドライバーユニットを使っているメーカーを発見。

 

 日本でもマイナーな47研がブースをかまえていました。知名度は低く、観客もちらほらでしたが、がんばれ!日本の中小メーカー!

 ツイーターにオールリボンを使ったスピーカー。アクティブタイプで電源が必要。

 ピュア・マルチを志向していたブースのひとつ。


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