あとがき 〜編集より〜



この作品は、言わずと知れた「とも先生」の記念すべき第一作目である。まずは最初に、「連載お疲れさまでした」と言うべきだろう。変則日程にも関わらず無事強化週間に連載がまとまったことは、放送局側としても大変ありがたいことであった。

さて、前置きはこのくらいにして内容に関することに触れていくことにしよう。ヨーロッパ風の設定になっているが、我々の生活に即して考えると、よくある「ちょっと仲が悪い(?)お隣さん」のお話である。「家」対「家」というほど大袈裟に対立しているわけではなく、大揉めの連続というわけではないが身内の一部が迷惑をかけるというのは、世間でしばしば見られることだろう。(もっとも私はそのようなことを直接的経験した事はないが)
それぞれの家族構成を考えると、「ラス〜一族」は、やはり長男が柱となっていることが窺える。物語の中心を構成する上でも「ラスチン」は欠かせない存在になっており、それがそのまま一族の名称になっている。一方、「ボルッチ〜ノ一族」は日本にもよくある、良くも悪しくも末っ子が中心という家族構成のようだ。こちらは末っ子に族名をつけていることからそのことを見て取れる。もっと分析するならば、この物語を構成している中心をもって、族の名前を決定している、と考えることも可能である。そして、族の名前になっている「ラスチン」「ぼる子姫」それに「ミライ姫」を加えた3人によって物語は展開していくことになる。また、ヨーロッパ風の設定に拘らず、「ぼる子」という、「子」が末尾についた名前が日本的ではあるが、持ち前の特異な喋り方と個性から考えると、名前にすら違和感があったとしても、それも当然であろうか。

そして物語の方向性を決定するところで、「あかまる王子」の登場である。彼と「ぼる子姫」がキスをするか否か、という所がクライマックスだ。こちらは「ラス〜一族」の末っ子であるが、「ぼる子姫」とは対照的につらい立場である。男兄弟の悲哀とも受け取れるこのポジションは物語的には目立つ位置にあるが、「あかまる王子」としては厳しいものである。(「あかまる王子」、大変ね)と心で思うばかりだ。そして無事に(?)キスという物語最大の難を乗り越える。「あかまる王子」はきっとこの先も色々な難が待ち受けている事だろう・・・お疲れ様。
また、脇で「マーチン」「そらっち〜にょ」「とも様」といったチョイ役達が、この話に彩りを沿えて、ストーリー構成に貢献する。「にゅ〜ま王子」については後から付け足しで登場した感が強く、少々違和感があると言わざるを得ないが、最終話でひと盛り上がりみせるのにはその登場に意味はあったかもしれない。
最終話は、元々縮小版が存在し、ある程度結論がみえているだけに盛り上げが大変だったはずである。とも先生の手腕が問われる場面だが、ここもうまくまとめていると感じた。

巻末に人物紹介があるので、これについても少しだけ言及することにする。
とても好評だったコーナーであり、すべての人物に立体感を与える項目であった。私も楽しく読ませていただいた次第である。物語が(揉め事)→(解決)という構図であるせいか、それぞれの個性に、ややマイナス面の説明が多めに盛り込まれているようだ。(「ミライ姫」はこの物語における一服の清涼剤的な存在であるので、前向きな紹介文であった。)もう少し他のキャラクターのいい面が説明されると、また物語の読み方も変わってくるかもしれない。

色々書きもしていない立場でこれまで『凄く小さな国の物語」について、この場を借りて語ったが、それにしてもこの物語、本当に某所の縮図としては完成度の高いものだ。全くあの場所を知らない人が読んでも、その様子を知ることが出来、知っている人には共感を覚えさせるだろう。

最後に、この長文に目を通していただきましてありがとうございました。(この項目は、管理人ぶりが担当いたしました)



   とも先生の次回作に乞うご期待!!