素材のしっかりしているものは 『糸車』
下級武士の娘お高は、糸くりをして父と弟を養っている。お高には実の親があり、出世をしてお高を引き取りたいという。実母の愛、自分に用意された全ての幸福を捨てて、貧しい養父のもとに帰っていく。次の日、さわやかな朝の陽射しが、明かり障子いっぱいに射しつけている。お高の操る糸車の音が、そのうららかな空気をふるわせていた。
『ちっちゃなかみさん』
向島の笹屋という料理茶屋の一人娘、お京の婿取りをめぐって物語は展開し、健気な少女の心が全てを幸福に導くというお話です。ここに登場する女性達、少女の加代、お京、その母のお照と異なる時代の3人が、なんと自らの意志を持って強く生きていることか、目を見張る思いがします。