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感想文 ※ネタバレあり。以下を反転させて読んで下さい。
これはいいですよ。歴史物としても、女性の成長記録としても。王宮が舞台ですから、物騒な話とかヘビーな仕打ちとか下ネタも当然ありますが、エンタメ系メロドラマではなく上品で非常に落ち着いた仕上がりになっています。映像的にめずらしく好きなんです。立場が弱いときのエリザベス周りは薄暗く陰うつな感じ。恋をして楽しいときは柔らかい光に包まれ、女王として決心を固めていくときなどは強さを感じるほど眩しい光に包まれている。身分違いの恋でファインズと女王の寝室で逢瀬を重ねるのですが、エリザベスのベッドのまわりにかけられているカーテンの模様が面白いんです。人の目の柄なんですよ。カメラは覗き見でもしているように(召使いたちは実際聞き耳を立てたり覗いたりしている)そーっとベッドに近づいていくと、無数の目に出会うわけです。カーテンがこちらを見つめ返しているんです。まるで女王の床を覗く無礼者は誰だと言うかのように。
あとキャストもよかった。ファインズは残念ながら添え物として、ジェフリー・ラッシュも良かったですし、あとで気がつきましたが、スコットランド女王がファニー・アルダンだったんですねぇ。ナイフを玩んでいるときのあの目つきが印象的でいい女だなぁとずっと心に残ってました。あとで「8人の女」の時に惚れちゃったので、やっぱこういう女が私は好きなんだと改めて自覚したよ(笑)あと「ドーベルマン」でブレイクしたヴァンサン・カッセルがスコットランドのバカ王子役で出てましたね。そうそう、カッセルが女装で乱交パーティやってるところにエリザベスがやってきて、みんなのまえで求婚をていよく断られたシーンのエリザベスのセリフが使えるんです。誘いは断りたいけど怒らせてはいけない相手に、「あなたへの愛と尊敬の気持ちには変わりはありませんがここはお互いに国政のために涙を呑んで別れを選ばねば....」というような内容のことを言う。これがうまいセリフでね、言われた相手は「しょうがない、賢明な判断だ」と見掛けは上位にたったまま引き下がるしかないと。現代でも会社の取引先のスケベオヤジのしつこい誘いを円満かつスマートにお断りする時にもってこいですよ!
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