この部屋には僕の想像を掻き立てる物が何もない。 真っ白な壁は見飽きたし、白衣のナースはおばちゃんばかりだ。
たまには綺麗なお姉さんでもこないかな。
でも、最近、まぁ、綺麗とまではいかないかも知れないけど、決まって18:12。真っ白な服を着た君が来る。
白い、純白のワンピースを着た君。他に、服をもっていないんだろうか。
眠っていたようだ。
この頃、眠ることが多くなった。このまま目覚めないんだろうか。
何か、体はここになくて、心が宙に浮いて不安と恐怖を疾走する。 もうやめよう。
目覚めないことは、このプラグと同じらしいから。
又、眠っていた。
只、今日は君がいた。 寂しそうな目をした笑顔の君がいた。
最近考えれることが多くなって嬉しい。 何故だろう。あのひとの顔が思い出せないんだ。 あの白が眩しすぎるのかなァ?
今日はいいことを教えてもらった!
この窓の向こうには「サ、ク、ラ」がある! でも、このガタガタヒラヒラが邪魔で見えない。 そうだ、明日あの人に見せてもらおう。
がっかりだ。
「サ、ク、ラ」は僕にあの気持ちを思い出させた。 このプラグ達と同じ気持ち。
でも、綺麗だった。
それは僕の視界一杯に飛び込んできたピンク。 ザワザワッ。頭の先からお尻へと突き抜けて僕はそのまま動けなかった。
ゆらり、ゆらり、ゆらり、あまりに儚いそれらはまるで脆弱な君。 僕。
ゆらり、ゆらり、ゆらり。
サクラ、なんて知らなければ良かった。もう、見たくて見たくてたまらない。
でも、白い救世主さん達は見ちゃダメだっていうんだ。 ちぇっ。でもいいや。きっと君がこっそり見せてくれるから。
桜が、その輝きの量を減らしてゆき、彼は目覚めた。
目が覚めるとね、緑色になっちゃってるんだ。僕の桜。
君に聞いたら、「もう、桜も終わるの」っていう。 終わるんだ。その事実が痛い。 いつまでも、見ていたかったのに。
望み。僕はあの桜になりたい。
そして、綺麗な。
「今夜が‥あの桜が散ったら‥それまででしょう。」
君が泣いてる。
なんで?悲しまないで。僕はね、あの桜になるから。
この部屋は嫌いだけど、その側のあの木の下で眠りたい。 ピーピーピーピーうるさいのはもういらないよ。
ああ、今日は、いい風が吹くね。
夢を、見たよ。 あの人に伝えてくれないかなぁ?
僕はね、夢を見たんだ。
夢の中に、君がいたよ。 僕は真っ白な空の下、すべてを育む大地から君のところへグングン伸びて、
おっきなおっきな腕を広げて、とってもとってもあったかい風が吹いてた。
その下にね、君がいたよ。
僕は、こんな夢の中なら、ずっと眠り続けてもいいって思ったんだ。
あぁ、早く、来ないかなぁ。
また眠ろう。君のもとへ‥。