第1話 QJとLS
アメリカとは奇妙な国で自国の文化に絶大な自信をもっているにもかかわらず、自国の才能には実に冷淡である。
90年代に入り、日本で"クラブ"という単語が銀座のママさんが経営する高級バーとうい意味から若い衆が集う汗と音楽の場という意味に変化し、ジャズもサンプリングの対象として落ち着き、幻の名版がつぎつぎとCD化されていった。90年の半ばにはクインシー・ジョーンズのアルバムは日本ではあたりまえに手に入る代物になっていたのである。
ところが、本国アメリカでは彼の旧盤は中古レコード屋のファイルの中にうもれ、今だに"We Are the World"の人である(本当か?)。
そんな中、クインシー・ジョーンズのラテン・ナンバーを集めた"Big Band Bossa Nova"がCDリリースされた。一発目から"Soul Bossa Nove"と、「オースティン・パワーズ」の影響の再販?と考えたくなる出だしであるが、UFOの"Moon Dance"に奇麗にサンプリングされているジョビンの"Desfinado"のカバーも収録し、おまけに未発表曲も含んでいるお特なコンピレーションである。それで、なんと価格はタワー・レコードで$11、95の安値。
このところVerve Recordはガレスビーのラテン・コンピも出したし調子イイ感じ。
ところで、"Big Band Bossa Nova"にピアノで参加しているラロ・シフリンの"Dirty Harry Anthology"は一時出回ったが、最近さっぱり店頭に並ばなくなってしまった。シフリンのサントラもなかなかアメリカではCD化されない物の一つ。"Bullitt"のサントラは日本盤が一時期ヴァージンなんかに並んだ事もあるが、これも今ではさっぱり見かけない。自分の手元にあるのは日本で購入したドイツ盤(ちなみに"Bullitt"のサントラ・ジャケットは本家ムービー・ポスターよりもシブイ!)。
このアルバムを聞くと、クインシー・ジョーンズのアレンジャーとしての才能に浸れる。スタン・ゲッツの何とも品のないジョビンのカバーは耳にするたびに苦笑いしてしまうが、クインシー・ジョーンズのセンスの良さには毎度関心させられてしまう。
安いし、結構売れるんじゃない?これ。
次回へつづく.....